表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/18

迷子探しと。(2)

「ヒィッ」



男のひきつる声が聞こえた。



「…?

なぜそうも怯える。貴様も同じことをしてきたのであろう。

ということは、いつかは同じ目にあうかもしれない。そういうことを念頭に置いて覚悟はしていただろう?」



ドラゴニカの影が広がる。

その影から得体の知れない“何か”がこちらを見ている。そんな感覚に男は陥っていた。



「さぁ、どう料理してやろう…っ?!」




その時、ドラゴニカは何か得体の知れないものが近づいてくるのを感じた。


なんだ。この感覚は。


その時の感情は、嫌悪に近い何かであったが。それ以外にも複雑な感情ものが入り混じっていた。


影を収め、その近づいてくるものに意識を集中させる。

もう目の前にいる男達のことなど眼中になかった。

…だからと言って男達は逃げ出せる様子でもなかったが。


ごくり。生唾を飲んだ時。



「ーーーーあれ、また知らない道に出た。」



それは現れた。

金糸を編んだような金髪。背丈は170は優に超しているだろうか。軽装であるが防具を纏うその青年は辺りをキョロキョロ見回し、そこでようやく私達に気づいたようであった。



「あ!

助かりました、あの、少しお尋ねしたいのですが…」


柔らかな物腰で近づいてきたその青年。


そう。初めて会ったはずだ。魔界にそもそも人はいない。それなのになぜ、こんなにも…



「…あの?」



まるで一族を皆殺しにした憎き相手と対峙するかの感情を抱いているんだ?


自分の感情が理解できず、目の前の青年を、ただただジッと見つめる私にどうしたらいいのかわからないのだろう。青年は困ったような表情を浮かべた。

しかし、その瞳はある一点を見つめ見開かれる。


「ちょ、血が出ているじゃないですか!」


「?」


青年の視線をたどると、たしかに血が出ていた。

どうやら無意識のうちに手を力一杯握っていたらしい。お陰で爪が食い込み血がポタポタと垂れていた。


「て、手当てしないと…っ」



「いや、いい。構わぬ。

これしきの傷、手当せずともそのうち塞がる。」



「そういうわけには!

じいちゃんも怪我人には手当をしなさいって言われてますし!」


青年は慌てたように近づいてくると、どこから出したのか白い布を私の手に巻き始めた。


いや、ほんとに魔族だからこれくらいの傷ならすぐ塞がるのだが。


私の手に布を巻き終えた青年はそこであたりの異様さに気づいたようだ。

その大きな瞳を見開き、ぎょっとした表情を浮かべた。



「これは、一体…」



確かに驚くのは無理はないだろう。

なんせ私の足元の地面は割れ、男3人が腰を抜かした状態なのだから。

青年も困惑しているのか、私の顔と男達を交互に見ている。




「…よい。興が削がれた。おい童ども。

今後、もしこのようなことをした場合…どうなるかわかっておるな…?」



「「「ーーーーッ!!!」」」



男達は頭をブンブンと縦に振る。それはもう激しく。頭が取れるんじゃないかってくらい。



「…ならば良い。早々に立ち去れ。

…今日あったことは誰にも口外するな。口外した場合も、ただでは済まさぬ。

ゆめゆめ忘れるなよ。」


さらに念を押すと、彼らの顔はさらに青ざめた。しかし、立ち去りたい思いが勝ったのだろう。フラフラになりながら、去っていった。



「ーーーあのッ」



男達が立ち去ったのを見届ける。

すると先ほどまで沈黙を守っていた青年が、声をかけてきた。



できればあまり関わりたくない。

さっきの負の感情は少し落ち着いているけれど…


チラリ金髪の青年を見やれば、彼はジッと私を見ていたのか目が合ってしまった。



「…っ、あの、取り込み中のところ邪魔をしてしまってすみませんでした。

ですが、恥ずかしい話、道に迷っていまして…

道を尋ねたいのですが…」




「…申し訳ないが、私もこの土地に着いたばかりでな。詳しく知らぬのだ。」



会話は早々に切り上げ、早く宿に戻ろう。

そう思い、その場を立ち去ろうとした時だった。



「あ!

ま、待ってくださいッ」



青年が私の手を掴み、止めてきた。




「…」



なぜ、引きとめられている?



「…離してくれぬか。」



青年も無意識だったのか、自分の手と私の顔を交互に見て、驚いたように目を見開いていた。



「あ、えっと…」



言いどもる青年。早く立ち去りたい私。

時が止まったような感覚に襲われた。

しかし…




「…っ、ドラゴニカ様!!!!!」



第三者の声により、その感覚は早々に取り払われた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ