表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼と彼女の関係性  作者: 夜童アスカ
5/5

関係性の始まりと変化

番外編その1

静稀と出会ったのは、俺が小学校二年生の時だった。

当時の俺は、気弱で大人しい少年でいつもいじめっ子に泣かされていた。

その日、俺はいじめっ子に壊されたキーホルダーを握り締め、近所の公園のベンチで泣いていた。そんな俺に声をかけてきたのは、当時小学校一年生の静稀だった。


「どうしてないてるの?」

「これ、壊されて・・・・・・」


大きな目でじっと俺を見つめる彼女は、俺の手の中にある壊れたキーホルダーに気付いたらしい。「待っててね!」と言って、ごそごそとポシェットを漁る。


「・・・あった!

はい、コレあげる。元気だして」


そう言って彼女が俺に渡してきたのは、犬のマスコット付きキーホルダー。それを差し出す笑顔に、俺はドキドキした。彼女はそのまま立ち去ってしまい、名前を聞かなかったのを公開した。


しかし数日後、俺は彼女と再会した。いじめっ子たちが、彼女をからかっていたのだ。からかいの言葉に泣きそうになる彼女を見て、俺はいじめっ子たちに突っ込んでいった。

気付くと、俺と彼女の二人だけで、いじめっ子たちはいなくなっていた。俺が追い払ったらしく、彼女は何度もお礼を言った。

その安堵した笑顔に、俺は思った。


ーーーこの笑顔を、見ていたい。


「おれは、きりのあまね。

きみは?」

「しずき。かんざきしずき」

「しずき、これからはおれがまもるよ!」

「うん!」



こうして出来た、俺たちの関係性。

俺は静稀の番犬となり、静稀を危険から守ってきた。

時々、静稀に甘えると、彼女はとても喜んでいた。その時の笑顔はとても綺麗で、俺はその笑顔を見るためにますます静稀を守り、その分甘えた。


しかし、その関係性は変わりつつある。

きっかけは、静稀に出来た『男友達』。静稀も許容していたし、彼ーー田沼涼介は、静稀がクラスで浮かないようにしてくれているので、好感が持てた。

しかし、田沼に見せる静稀の笑顔は、俺が見たことがあるものとは、少し違っていた。

だから、見たくなった。

まだ見たことのない、静稀の表情を。

だから、欲しくなった。

『番犬』以外の役割が。

そして、気付く。

俺は、静稀を愛しているのだと。



俺は今日も静稀に愛を囁く。

静稀の『恋人』になるために。



「静稀、愛してる」

「・・・・・・私も、だよ」




鞄についている古びた犬のマスコットが楽しげに揺れた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ