第88歩 チカチカ
ある日、病院の晩御飯を食べ終えFさんは自販機のある薄暗い待合室で入院仲間と談笑していた。
いつになくバカ話に華を咲かせていると自販機の灯りが
―チカ、チカ 点いたり消えたりする。
自販機の横には公衆電話があった。
誰かが通りかかると
―ピシッと明かりは点いたままで
またFさんと入院仲間二人だけになると
―チカ、チカ が始まる。
話が面白くゲラゲラ笑っていたが大声を出すとナースさんに叱られるので
クスクス我慢しながら笑っていた。
―チカ、チカも面白くなってきて我慢すればするほど
ツボに、はまってしまい笑いが止まらない。
すると笑っていた仲間が飲みかけのコーラを吹き出し一方を指さした。
――ブーッ
「あれ、あれ見てみろ」
何かと思ってFさんが自販機の方を振り返ると
横に設置されていた公衆電話。
おばあさんが電話をしていた。
でも、なんか変だな・・・下半身がない。
「Fさん見えてる?」
「うん見えてる、足ないな」
そのおばあさんはどこかに電話をしているような仕草をしていた。
すると、そばの廊下をバタバタ先生が走って行き少し騒がしくなってきた。
自販機の
―チカ、チカも続いていたが
―パッ
電気が付くと、おばあさんも消えてしまった。
入院仲間と誰か亡くなったかなと噂していたが
次の日、自販機から近い病室に入院していた、おばあさんが亡くなっていたと
入院仲間から聞かされた。




