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箱館・怪談散歩  作者: オブチアスマ


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第77歩 つらい扱い

 Fさんが18歳の時お寿司屋さんで見習い修行をすることになった。


一から手とり足とり教えてくれる訳もなく勝手が解らず

随分と苦労させられた。


 仕事の指示も

「いちいち言わねぇと、わかんねえのか」高圧的な態度の先輩が鬼に見えた。

見知らぬ街で慣れないはずの出前が一番、気の休まる時間だった。


 ある日の夕方、お店にお客さんがいらした。


おじいちゃんが一人カウンターに座った。


「いらっしゃいませ」お茶、サービスのお新香巻き、おしぼりを出して注文を聞いていると


先輩が

「お前さっきから何やってんだ」


「いや、お客様の注文・・・」言いかけて振り向くと誰も居ない。


「あれ此処(ここ)におじいさん居たんだけど・・・」


「誰もいねぇよ馬鹿じゃないのか、お前」


Fさんは当時を振り返り、それから先輩に随分馬鹿にされ

意地の悪い扱いを受けて本当に辛かったという。


「多分だけど、あの先輩・・・俺が怖くて気味悪がってたんだと思う」


親方や周囲の気遣いもあったのか

「うちに来て欲しい」人手不足という理由で他の寿司屋さんに移ることになり


「結果的には良かったと思う」と語ってくれた。

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