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箱館・怪談散歩  作者: オブチアスマ


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第74歩 そういう人

 私がFさんに、お会いしたのは仕事の延長上でした。


何処の馬の骨とも知れない私は伺(うかが)ったからといって、

どうする宛も無いのですが

「怖い話を何か知りませんでしょうか」

恐る恐る、お尋ねしてみますと


Fさんという御人は不思議体験が豊富な方だったのです。


 Fさんは小さな頃から御苦労を重ねてきた人でもありました。


子供の頃からの体験を鮮明に記憶していらっしゃって

昭和の懐かしい、お話にも華が咲き何度も、お会いして

細かい状況も御説明頂き取材は長期に渡ったのでした。


 怪談話や怪奇体験のみならず楽しい想い出話も飛び出して

私は、いつのまにかFさんの世界に引き込まれていきました・・・



 2019年夏、Fさんは市場のメロン販売店で、お手伝いしていた。


観光バスが到着すると一斉に乗客が繰り出して大変賑(にぎ)わっていた。


 お店に立っていると目の覚めるような美しい女性のお客さんが来た。


「あ、いらっしゃいませー」


「東京に送りたいのですが」


Fさんが対応した。

「産地も色々ありますが試食があります。

この中から自由に選んで、なんだったら

メロンにマジックで印をつけて自分で選んだものだって

証拠付けることが出来ますよ」

地方発送伝票を手に取って振り返ると


 誰もいない

 

「あれっ」キョロキョロと探していると仕事仲間の女の子が言う。


「Fさん、さっきから何、独り言、言ってるんですか?」


Fさんは、またやってしまったと渋い顔をしていると同僚の女の子が


「Fさんて、そ(・)う(・)い(・)う(・)人(・)なんですか」と聞いてきた。


「え何?」


「あのー霊とか見えてる人なんじゃないですか」


「んーいや、あのー・・・たまにね、でも今みたいのは久々やっちゃったもんねー」


Fさんは笑って誤魔化そうとしたが同僚の子は少しも笑わなかった。

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