第26歩 灼熱部屋
70年代、日本でフォークロックブームがありました。
当時の有名人気バンドのギタリストで音楽プロデューサーHさんから
聞いた話。
当時のバンドはTVの歌番組出演も多く、また各地でのコンサートも精力的に活動していた。
ある日コンサートが終わり軽い打ち上げの後メンバーがホテルにチェックインした。
10分も経たないうちにボーカルの女性がHさんの部屋を訪れた。
「私の部屋、暑くて居られないんだけど」
他のメンバーと確認に行ってみると確かに暑い、まるでサウナのようで部屋に居られない。
季節は真冬、ストーブもヒーターも点火していない。
直ぐフロントに連絡し従業員が二人やってきた。
「確かに暑いですね・・・おかしいなぁー」
窓を開けドアも開けたが部屋の温度は下がらない。
もう休みたいし部屋を変えてくれと談判してボーカルの女性は別の部屋に移動した。
翌日は移動日でメンバーと昨夜の暑い部屋の話をしていると妙な話になってきた。
「まさか、あのホテル過去に火事になったりしてないよね」
「それがどうした」話すうちに、皆、気味が悪くなってきた。
次の街に到着してホテルにチェックインした。
部屋は申し分ない、皆ゆっくりくつろぎ、そろそろ寝ようかという頃Hさんの部屋を誰かがノックする。
出てみるとボーカルの女性が、うんざりした表情で言う。
「私の部屋、床が水浸しなんだけど・・」
又、メンバー全員で確認に行くと床のカーペットに大きなシミが有り、水浸しだった。
直ぐにフロントを呼び出して部屋を変えてもらった。
「こんな事、初めてです」従業員が言う。
それ以降も沢山あちこち泊まり歩いたが後にも先にも、その時のみで以来、他に妙な事は一度もないのだそうだ。




