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目が覚めるとそこは…異世界だった!Ⅱ エステルマギの埋蔵金  作者: 鷹茄子おうぎ
第2章 ザカリヤ・エステルマギとアインラスク

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出発

リアルナさんには「準備しといてね♪」と言われたものの、特にすることがあるとは思えない。とは言え、当日になって「今まで何してたの!」と言われると目も当てられん。


そこでアドバイスをもらいにいくと、セーターを変えるように、とのことだった。リアルナさんが言うには、今年の流行はフィッシャーマンズセーターなんだそうな。


「セーターなんて何だっていいだろう…」

「鈍いわねぇ…あなたは。流行はちゃんと押さえておかないと駄目よ」

どうでもよさげな俺に、リアルナさんは真剣な表情で小言を言ってくる。


「私も素敵なセーターだと思います」

ユリーシャも妙に拘っている。たぶんリアルナさんに唆されたんだろう。


でも、このセーターは黒雷の一部として運用するからな…ユリーシャの機嫌を損ねるのは得策ではない。変えない訳にはいかないだろう。セーターはフィッシャーマンズセーターに変更だ。それから、カレンからフェイスマスク付き防寒キャップを渡された。


「この前の休みの日に掘り出し物を見つけてな。フェリシアに知らせたら、近いうちに軍で正式採用されるかも…という話になったのだ」

カレンは真剣な表情でキャップを手渡してくる。


「つまり、試しに使ってみて評価してほしい…ってことか?」

俺も真面目な表情で受け取った。


「そうだ。今回は全員がこれを着用することになる」

ピリッとした緊張感が、今の俺が何者なのかを教えてくれる。


「どうでしょうか…?」

キャップを被ったユリーシャが、恐る恐る感想を求めてきた。


「ふむ…なかなか可愛いね」

何と言うか…神秘的な雰囲気を感じるね。悪くない。


被ってみると分かるが、これはかなり暖かい。フェイスマスクもそれほど息苦しくない。いい仕事をしてるね。誰かさんと違ってためになるぜ…さすがカレンだな。


いつもより長かったような1週間が過ぎ、いよいよアインラスク訪問の日である。もちろん、アインラスクには馬車で行くことになる。


レガルディアの馬車は、馬車と言っても馬車ではない。だからといって、元の世界の馬車よりもずっと速いという訳でもない。おそらく、たいして変わらないはずだ…拍子抜けするほどのスピードである。ライラリッジからアインラスクまでは約42km。馬車だと2時間余りで着くようだ。


もちろん、頑張って歩いて1日で踏破する人もいる。健脚なのは良いことだ。だが、世の人すべてが健脚という訳ではない。


では、そうではない人達はこの距離を2日かけて移動するのだろうか?それはさすがに時間の無駄のように思える。そこで全行程の半分を馬車で、残りの半分を徒歩で移動する人が増えていった。


そうなると必然的に両都市間の中間に人が集うことになる。その結果、生まれたのがカルケーストの街である。つまり、アインラスクにはカルケーストを経由して行くことになる。


経由と言っても素通りする訳にもいかない。よってアインラスクを訪問する際には、必ずカルケーストを訪問することになる。もちろん、今回の訪問でも例外ではない。


初めての訪問なので勝手がよく分からないのだが、御者席にはアマユキが迷うことなく座った。もしかして…運転できるのか?


「なあに?」

視線を感じたのか、アマユキに逆に質問されてしまった。


「それ、運転できるのか?」

「運転なんて誰にでもできるわよ。これは魔法具なんだから。御者に求められるのは馬の操作じゃなくて周囲の警戒なのよ」

なるほど…そういうものなのか。


確かにこの馬車は普通の馬ではなくホースゴーレムが引いているので、魔法具と言えば魔法具だ。それならアマユキの言う御者の役割にも納得である。そして、それはハンターでもあるアマユキにはうってつけだろう。


そうなると、残りの5人は客席に座ることになる。そう…5人なのだ。俺、ユリーシャ、カレン、フェリシアさん、そしてティアリス。


「何でティアリスがいるんだ?」

「ショウちゃんがミスした時の後始末役でしよ」

いやいや、日帰り旅行でミスることはねえだろ…。


「ティアリスは不測の事態があった場合に備え、カルケーストで待機することになっているのだ」

カレンが分かりやすく説明してくれた。ここでもカレンは誰かさんと違ってためになる説明をしてくれる。さすがだな。


この馬車は座席が2列で向かい合って座るタイプだ。いつもそうしているのだろう…ユリーシャとカレンが一緒に座った。当然、残りの3人が一緒に座ることになる。狭いね…。


「狭くねえか?」

嫌味の一つも言いたくなるぜ。


「3人座っているのだから、仕方がないでしよ」

「わざわざ一緒に行かなくてもいいだろう…」

俺だったら1人で行くね。その方が気楽だし。


「経費節減でしよ。ショウちゃんは四位武官のくせに生意気でし!」

それを言われると立つ瀬がないでし…。


「まあまあ、賑やかなことは良いことですよ」

フェリシアさんがにこやかに俺達のやり取りに割って入った。それは確かなんだけどねぇ…。


あれやこれやのやり取りの後、馬車がゆっくりと動き始めた。いよいよカルケーストへ…そして、アインラスクへ向けて出発だ。ちなみにリアルナさんはユリーシャ邸で待機することになっている。こちらは何かあった場合の連絡係だそうだ。

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