表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスごと異世界転移した俺のハズレスキル『堕落』、実は最強の能力だった。すべてを奪われた俺は、ありえた自分となって復讐する  作者: 黴男
第二章:ハイブ拡大編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/64

062-学級委員、小林凛の思い

その頃、迷宮にて。

四層を通過した一行は、五層手前で野営していた。

迷宮攻略はこれで二度目だが、流石に野営慣れした一行は羽を休めていた。

中島が〈炎王〉のスキルで短時間だけ火を熾したので、各員のマグにはまだ温かいスープが注がれていた。


「........」


その中でも輪から少し外れた位置にいた小林凛。

彼女は、疲れから聞き専と化しており、時折マグの中身を飲む機械となっていた。


「しっかし、疲れたな」

「休めよ、見ててやるから」

「わかってるよ」


凛はその光景を見て、何かが足りないと感じた。

それは、クラスの中心人物の不足だ。

だが仕方ない事だ、彼等は今王都へ向かっていて、置き去りになった自分たちはただ待遇を受けることをよしとせず、迷宮攻略の為にここまで来たのだから。


「それにしても、私達っていつまでこうなんだろう?」

「いつまで? 魔王ってやつを倒すまでだろ」

「そうだけどさ、何年くらいとか」

「内田なら一年も待たせないさ」

「確かに、湊君ならね」


メンバーたちからの信頼は厚い。

内田湊はバスケ部所属で、実質エースだから、というのもあるだろう。

少なくともクラスの中ではトップクラスに運動能力に優れている。


「それに、ナイス判断だったよね。あいつがいたら....」

「ああ、まあな」


話題は別の人物へとシフトする。

クラスの中では、死してなお悪いイメージを持たれ、責任を押し付ける対象とされている男。

だが、凛は。


「....やめて!」

「こ、小林?」

「死んだ人が言い返せないからって、好き勝手言うのは違うでしょ」


立ち上がって制止した。

その勢いで、靴がマグを蹴飛ばして中の液体が零れる。


「あ、ああ......ゴメン」

「それに私、ちょっと後悔してる。彼にもう少し寄り添って上げれたらって」

「コイバナ? それってコイバナ?」

「好きだったのか? あんなヤツ?」


すぐに恋愛に結び付ける馬鹿を見て、凛は深い溜息を吐く。

そして、ある事ない事を考察し出す中島らを無視してマグを拾う。

零れた中身は、岩の地面を滑って砂の間に染み込んでいた。

覆水盆に返らず、もはや取り返す事は出来ないのだ。


「(私が真面目に取り合わなかったから...)」


凛は心の内で懺悔する。

彼女は昔、佐藤春樹へのイジリが限度を超えていると思い、個別に相談したことがあった。

だが、クラスで直接佐藤春樹に聞けば、


「ああ....大丈夫。..........................................いじめじゃないから」


と答え、内田と柏木に同じことを聞けば、


「真面目過ぎるって、ただのイジリだから」

「馴染みたがってるから、俺たちで輪の中に入れてやってんの」


という答えが返ってきた。

彼女自身も、二人を疑う事は一切しなかった。

彼女の中では、二人のイメージは中学の頃から変わらず、気配り上手でクラスの中心にいて、男女ともに人気が高いといった風だった。

そして、何より残酷だが――――

二人を疑わない以上、この件に深入りする義理を彼女は持たなかった。

学級委員長としてはクラスに協調しない存在を見過ごせないが、女としては佐藤春樹が発する拒絶の意思を読み取っていた。

長い沈黙の中には、彼なりの拒絶と対話の拒否が込められていた。

そう直感したのだ。


「(もう少し彼に取り合っていれば、少しは馴染める手伝いが出来たかもしれない)」


中らずと雖も遠からず。

そんな考えを浮かべながら、凜は次の戦いに備えて目を閉じた。

↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ