030-遠大なる復讐
序章はこれで終わりとなります。
翌日、俺はさらに三体の配下を手に入れた。
人間が素体のハイブ生物は、性能がよくなるらしい。
疑われたとしても受け答えが出来る。
つまりは、中から操られているというよりは、全てをハイブの細胞に置き換えたような生物という事だろうな。
『フム、壮観ダナ』
俺はうんうんと頷く。
自分に誰かが跪く姿など、そうそう見れるものではない。
とはいえ、こいつらを跪かせるために〈侵蝕堕落〉を使ったわけではない。
俺はさっそく命令を下す。
『オ前達ノ子供ガ集マリヤスイ場所ヲ教エロ』
『東ノ.....里山デス......』
『明日ノ昼ガ終ワッタ後、全員ヲ集メルノダ』
『ハイ』
そしてさらに翌日。
俺は22体のハイブ生物を手に入れた。
認識にさえ捉えていれば、〈堕落〉は多人数にも有効だという事も分かった。
何の罪もないこいつらだが、役に立ってもらおう。
『初ノ任務ヲ与エル』
そしてその日の夜、俺は堕落させた個体全員に対して命令を下した。
充分に数が揃ったなと感じたからだ。
やる事は単純である。
要するに、夜陰に乗じて自分の親兄弟を麻痺毒で麻痺させて連れてこいという命令だ。
ハイブ化によって身体能力が向上している子供たちは、いとも容易く家族を制圧。
集落の殆どの家族が集められ、恐怖の視線でこちらを見る彼等に対して、俺は――――
「〈侵蝕堕落〉」
容赦なく侵蝕を開始した。
ものの30秒程度で、その場にいた人間は全てハイブへと変わり、更に40人程度がハイブへと加わる。
ここまで来れば、集落に残っている人数は大した数ではない。
『オ前達、集落ニ居ル全テノ人間ヲ捕マエテ来イ』
『『『『ハイ』』』』
総勢55体の勢力をもってして、俺は集落を制圧。
一人ずつ〈侵蝕堕落〉にて堕落させ、計198体のハイブ生物と、村を手に入れるに至った。
ここにいるこいつらは、またいつも通りの生活に戻る。
だが、その生活の中心には俺がいて、かつその事は外部に知らされない。
完璧だ。
ハイブ生物に年齢は関係ない。
そのため、子供ですらまだ無力な赤子を除き全員がハイブ戦闘員となった。
「ドミネーター様、お夕食です」
「ありがとう」
贅沢や浪費の概念を捨てた彼等にとっては、一人の穀潰しの食事を用意するくらいは容易い。
少しの間、俺はここで厄介になる事にした。
この村も、国に属している以上は交易商人が来る。
そいつらから情報を得て、次の目標の攻略を開始するためだ。
目標というのは、この辺で一番大きな都市。
その名を、シーアルーンという。
蟲どもも順調に支配域を広げていて、先んじて村の地下にまで根を伸ばして来ている。
このままバレないように都市へと潜入し、内側から堕落させていく予定だ。
都市クラスの戦力を手に入れれば、この国をこっそり乗っ取る事も簡単だからな。
そしてそれは、願望の中の俺がやって来たことと同じだ。
上手くいく、そのための道筋は過去が示してくれるからな。
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