その11 理想郷は東方に。
★ 狂想爆炎ピアチェレディ!
第四話『夢想家どもの、終末糾弾』
その11 理想郷は東方に。
teller:リュート=シューター
◆
雪原地帯で僕が起こしてしまった【妖精因子】の暴走が、とりあえずはひと段落して。
じいじ――ブラウニーも、スリープモードに入ってしまって。
僕、リュート=シューターはWITTSに保護されることになった
このままスズベルと……えっと、たしか、凪哉……の二人に同行してイース・トーヴ支部に行って。
僕の希望次第では冥助が入隊の便宜を図ってくれるらしい。
……だから。
僕は、WITTSに入ろうと思う。戦闘員として。
遠い未来。
じいじが起きたその時、また話せる時間ができた時。
じいじが笑ってくれるくらい、かっこいい僕になっていたいから。
じいじが眠ったあとも、『ブラウニー』の【レディ】としての機能はそのままなんだそうだ。
修復不可能なのはじいじの心が宿った心臓部だけで、スリープモードにしてじいじの自我を出さないようにすれば【レディ】としてはまだ存分に動くらしい。
……って、冥助が言ってた。
だから僕がこれからも魔女と戦うとしたら、やっぱり『ブラウニー』に乗りたい。
寝てるところごめんね、じいじ。
でも、じいじの心は眠っても僕の心と一緒だって言ってくれたから。
もう少しだけ、僕のそばにいて、僕の勇気に力を貸して。
そして、いつか待ってて、じいじ。
僕、ちゃんと頑張るから。
【妖精 因子】。
気持ち悪い実験施設なんかで無理やり発現させられた、大嫌いな力だけど。
僕はこれからこの力の使い方を学んで、覚えて、何もかも強くなって。
やれるとこまでやってやる。
僕が思っているより多分ずっと広い、この世界で。
『……昔のスズベルくんってさ。リュートくんとちょーっと似てたんだよね』
「えっ……なんかヤダ……」
『ガチのドン引きありがとうリュートくん。……スズベルくんは安定して人望ないなあ……』
【妖精因子】を暴走させて、僕は自業自得にもすっかり疲弊してしまっていた。
今の僕はWITTS支給品の簡易テントの中に居て、同じく支給品の毛布にくるまり、膝を抱えて、それで。
僕は――凪哉=ラブクラフトが冥助に解毒処置を受けている様子を見学していた。
冥助は自分の【レディ】……『マザー』を起動したら反動で、基地に居る本体へのダメージが深刻だとか話していた気がする。
それが嫌なのか、冥助はなかなか魂を実体に戻してはいない。
未だに電脳空間を介した機械やら立体映像やらを駆使しながら、今回の騒動の後始末を続けているみたいだった。
名前もわからない機械を使った解毒処置を受けている凪哉のそばには、冥助の立体映像がゆらゆら揺れている。
それから、凪哉。
詳しい経歴はまだ聞けてないけど、凪哉は僕と同じでWITTS入隊志望者らしい。
毒で苦しんだはずの、凪哉。
僕の自分勝手なソウゾウが、こんな僕の心の狭さが、異空間を作った時にスズベルと凪哉を邪魔者扱いしちゃって、毒まで出して。
……僕のせいで、この凪哉って男はひどい目に遭ったんだ。
まだ解毒処置中っていうことは、苦しいの、今も続いているはずなんだ。
そう思うと、目を逸らしたくなる。
俯きたくなる。
僕のせいなのに、僕のせいだ僕が悪いんだ、ってちゃんと向き合えない自分は。
……やっぱりまだ、かっこ悪い僕のままなんだろう。
『いたいけなお子様がそんな悲しそうな顔するもんじゃないよ、リュートくん。心配しなくても、凪哉くんに毒の後遺症は残らないよ』
冥助の言葉を受けて、凪哉がやけに穏やかな表情で振り返る。
「……ふむ、リュート殿はぼくを心配してくれたのか。かたじけない」
……どう反応したらいいかわからなかったから、黙ってしまった。
だってそもそも、僕のせいだし。
……って言うか、凪哉ってちょっと喋り方変わってるな……突っ込んでいいやつなのかなこれ……。
「ところで冥助殿、スズベルはどうした? 先程から姿が見えないが」
『スズベルくんも一応は毒食らってたんだけどね。処置受けたけど治りやすい体質でもあるから、今は元気よ。忙しいめーすけさんの代わりに支部への連絡だの被害報告だのバリバリお仕事中なわけさアレでも』
……スズベルが、バリバリお仕事。
なんでだろ、あんまり想像できない。
少しぼんやりしていたら、冥助が急に僕に話を振ってきた。
『さっきの話の続きだけどね、リュートくん』
「……え……さっきの話……?」
『スズベルくんが変にチャラくなったりめんどくさい性格にグレたの、大体めーすけさんのせいだから。リュートくんとか凪哉くんは別に将来ああはならんよ。君たち純粋若者コンビはだいじょーぶ。立派に育つさ』
「じゅんすいわかものコンビ……」
「ちょっとやめてよ……何その変な呼び方」
冥助の急なトンチキ発言に、凪哉はきょとんとした顔で言葉をそのまま復唱していて、僕はじとりと冥助を睨んでしまう。
だけど冥助は、そんな僕らを軽々と笑い飛ばすだけだった。
……なんかこいつ、やりにくい。
とりあえず、僕は気になったことを訊ねてみる。
「……っていうかさ、僕が昔のスズベルに似てるってどういうこと?」
『んー……まあ、スズベルくんがWITTSに入ったのも、今のリュートくんと同じ10歳の頃だったりするんだなあ。あとほら、本人にも話してもらったんでしょ? 子どもの頃、心のある【レディ】に会ったことあるって』
「ああ……その話ならば、ぼくも少し聞いたな」
『お、良かったじゃん凪哉くん。スズベルくんからの好感度&信頼度、順調に上がってるんじゃない?』
「しまった……嬉しくない」
『やべっ、人から向けられる好感度ほんと低いなアイツ……』
無自覚かもしれないけど冥助と凪哉がアホなやり取りを始めたから僕が居心地悪くなってると、冥助の視線が唐突に僕を捉えた。
『……スズベルくんは過去があまりにワケありすぎるし本人無意味に見栄っ張りだし無駄に秘密多いからこっちも勝手に話し辛いんだけどさ、あいつ、リュートくんに対しては昔の自分とだいぶ重ねてるんじゃない? だってあのアホ、珍しく面倒見良かったからさ』
……まあ、確かに。
僕のピンチに単身駆けつけたのは、結構な無茶だったと思うけど。
ふと、しばし静かになっていた凪哉が口を開く。
「……冥助殿。スズベルが……荒んだ? ような原因は自分にあると話していたが……それは、冥助殿がいつか正気を失うことと関係しているのか? …………冥助殿が未来に狂うことは、真実なのか?」
凪哉の言葉に、僕までぎくりとする。
そうじゃん。
この冥助とかいう男、なんか勝手に、重苦しい末路抱えてるって話だった。
凪哉の表情は険しくて、僕まで緊張しているってのに。
冥助の表情は、反応に困るくらい穏やかなもので。
『……ほんとだよ。ここにいる俺以外の全員が天寿を全うした、ずっと後の未来の話だけどさ。俺はいつか確実に狂う。たった一人で、誰にも何にも救われずにおかしくなるんだよ』
……なんで。
なんでこの人、そんなことを、そんな穏やかな声色で話すんだろう。当事者なのに。
冥助は――というか冥助の立体映像はマイペースに、ストレッチじみた伸びまで始める。
『スズベルくんも、出会ったばっかの頃はまだ気難しいなりに可愛げあったんだけどねえ。俺にやっと心開いてくれたタイミングで俺のやべー末路知っちゃってさ。そしたらまあ……斜め下の方向にすごい勢いでグレたっていうか、モテないチャラ男というクズくて悲しい生き物に退化しちゃったというか』
「め、冥助殿……そこまで言わなくても……」
「……思ったんだけど、未来のこと云々抜きにしても……冥助ってスズベルへのからかい方とかこき下ろし方の勢いが凄いせいでスズベルから反発されてんじゃない?」
『げっ、マジか……』
……マジで驚かないでほしい。
自覚ないかもしれないけど、冥助ってだいぶ口悪いと思う。
ううん、と冥助が頭を掻き、俯いたり空を仰いだり、悩んでいる仕草を見せる。
『スズベルくんのハートがちょいトゲトゲしくなってから、正直ずっとどーしよーかなーって感じなんだよねえ。一応親心持っちゃってるからほっとけなくて、そばにはいるけどさ。……でもなんか毎日どーすっかなー……って感じで生きちゃってるんだなあ、めーすけさんは』
ふざけたような話し方ではあったけど、冥助は冥助でマジメに悩んでるのかもしれない。
追い討ちをかけちゃうかもしれないけど、抑え切れず僕は訊ねた。
「……ね、冥助。ほんとに君は狂うの? ぜったい?」
『うん、絶対』
悲しくなるほどの、即答だった。
冥助はへらりと笑って、僕と凪哉に一歩近付く。
『だからさ。これから君らの物語、たくさん聞かせておくれ。君らの人生の中で起きる素敵な物語、俺にたくさん教えてよ。いつかの俺が退屈しないように』
「……物語?」
『俺はいつかの最後、必ずたった一人になる。一人だけで生き続ける。……けどみんなと心を通わせた日々をずっと覚えてれば、それは独りじゃないはずだから。なるべくこの心が狂うのが遅れるように、お喋りしよ? 俺は絶対、ぜんぶ憶えてるからさ』
優しい声だと思った。
でも僕は、簡単には頷けなかった。
まだ色々納得も整理もできてないし、何より。
色々が始まったばかりの僕にはまだ、自分の物語に自信が無い。
だけどそんな僕に反して、凪哉はハキハキとした調子で語り始めた。
「……冥助殿には感謝している。貴殿が居なければ、ぼくは我が友亡き後に進むべき道を見失っていた。だが」
そう言って、凪哉は突然に僕の腕を優しく引いて。
冥助に負けず劣らず穏やかで晴れやかな微笑で、こいつは冥助の方を振り返って言った。
「……貴殿は自らの運命を決まりきった結末だと思ってるかもしれないが、一つ覚えていてほしい。――ぼくは、奇跡だ。ぼくは貴殿の幸せを諦めない。それは恐らく、スズベルも同じだろう。……あの男は、『永遠』を随分と嫌っているようだからな」
――冥助の、返事はなかった。
凪哉はそのまま僕を連れて歩き出してしまう。
毒の処置はとっくに終わっていたらしい。
僕は結局、冥助に大した言葉は言えなかったけど。
諦めない選択肢もあるんだな、って。
凪哉の言葉を聞いて、ようやく思い出せた気がした。
少し歩いたところで、凪哉は立ち止まる。
そしてしゃがみこむようにして、僕と視線を合わせてきた。
「……改めて自己紹介を。ぼくは、凪哉=ラブクラフト。恩人であるブラウニー殿を想い未来に踏み出そうとしているリュート殿の志に、ぼくは感銘を受けた。貴殿への協力は惜しまない。困ったことがあれば、なんでも言ってほしい」
……あまりにまっすぐで誠実な言葉に、面食らってしまった。
だって。
「……きみ、優しいんだね。僕のせいで……毒に苦しんだのに」
「貴殿のせいではないだろう。……それに、大事な者の命が脅かされて取り乱す気持ちは、ぼくにも少しはわかる」
……あ、そういえばさっき。
『我が友亡き後』……とか言ってたっけ。
僕が質問するより先に、凪哉はあっさりと自分のことを語った。
「……ぼくは既に、何よりも大切な友を失っている。もう二度と会うことは叶わない。……そういう意味では、深い交流があったらしき【レディ】を失ったというスズベルと、立場は似ているかもしれないな」
……驚いた。
けど、何か、僕の心が確かに動く。
みんな、何か大事なものを失ってるんだ。
でも前に進もうとしてるんだ。
……僕も、そう生きれるかな。
脳裏に浮かんだ僕の願いを支えるように、凪哉が優しく語りかけてくる。
「ぼくは、ブラウニー殿との再会を目指す貴殿の希望を守りたい。……共に精進しよう、リュート殿。WITTSの新米戦闘員同士、よろしく頼む」
僕の目の前にしゃがんだまま、凪哉は僕に手を差し出してくる。
少し、躊躇っちゃったけど。
慣れてないけど。恥ずかしいけど。
僕もまた、手を伸ばした。
「……うん。……凪哉。毒でひどいことして、本当にごめん。それと……こんなに優しくしてくれてありがとう。これから、よろしくね」
ぎこちなく伸ばした僕の手は、凪哉に固く握られる。
僕にとっては、生まれて初めての握手。
握手を交わしてくれた凪哉。
大人っぽい顔立ちのくせに、意外と無垢な顔で笑ったひと。
このひとのこんな笑顔を僕はこの時、初めて知って。
それがなんだか、ちょっとだけおかしかった。
◆◆◆
そうして。
支部との連絡を済ませたスズベルが戻ってきて、僕たちはWITTSイース・トーヴ支部に向かうことになったんだけど――。
「ああクソ!! 狭い!! 暑い!! むさ苦しい!! 地獄かよココは!? 何が悲しくて野郎三人で密着しねえといけねーんだよ!? 美女を呼べ美女を!! 今すぐ!! 早く!!」
うるっっさ。
…………まだ雪原地帯を抜けてないのに、ブリキハートのコックピット内でスズベルが暑い暑いとうるさく喚いている。
ブリキハートの、ほんとなら一人用のコックピット内。
ここには今、操縦役のスズベルと――同乗している凪哉と僕の三人が、ぎゅうぎゅう詰めになっている。
なんでかと言うと、凪哉の愛機ジェーン・ドゥには雪原地帯に対応できる装備がないのと、僕のブラウニーはボロボロだから。
せめてこの広い雪原を抜けるまでは、僕と凪哉はブリキハートの中でお世話にならないと凍え死んじゃう、というわけ。
ジェーン・ドゥは特殊な保護布を巻かれた状態でブリキハートにずるずる引きずられているけど、ブラウニーは……僕の『心』の中に収納されている。
【妖精因子】持ちならこういう【レディ】のしまい方もできる。
……僕としては、じいじとココロ同士がずっとぴったり一緒みたいで、ちょっと嬉しいけど。
冥助の魂は、今は電脳空間を介して通信用の端末に宿っているみたいで、その端末はさっきからふよふよと辺りを飛び回っている。
おしくらまんじゅうみたいになってる僕たち三人を面白おかしく傍観しているみたいだ。性格わるっ。
「……冥助。魂、自分の実体に戻さなくていいの?」
『うえー……だってやだなあ、戻りたくないなあ……代償きついんだよ、ありとあらゆる不調にやられるんだよー……仕組み的に絶対死ねないから生き地獄なわけよー……やだな~……』
「うるっせオッサン! 暑苦しいのに重い話すんじゃねえ! ますます気が滅入る!!」
冥助にキレ散らかすスズベル。
……冥助のからだとか命とか未来とか、一番デリケートに感じてるのってスズベルのはずなんだけどな。
みんなの距離感、僕は正直まだよくわからない。
今日会ったばっかりだし。もともと僕、社交性とかないし。
……ただ。
じいじに置いてかれることに取り乱した僕に発破かけてくれたのは、スズベルで。
まだぼんやりとしてるけど、そりゃイヤだろうなって思い出をスズベルが山ほど抱えてることも知っちゃったから。
なんとなくだけど、僕はスズベルに――シンパシー? みたいなものを感じてるのかもしれない。
……だから、色々言葉や話を聞いてみたくなるのかもしれない。
僕が前に進む為のヒント、僕はできればスズベルの言葉から得てみたい。
「……ねえ、スズベル」
「あ?」
「そのうちさ……スズベルの昔の話、聞いてもいい?」
だから、聞いてみたのに。
スズベルはブリキハートの操縦桿を握ったまま、少し黙って――なんかムカつく笑い方をした。
「はっ、そう簡単に教えられるほど安いネタじゃねえよ」
「……なにそれ。ムカつく」
「……けどよ」
スズベルは腹立つ笑い方のまま、僕の両手のグローブを見た。
魔女と戦った時はスズベルがグローブを貸してくれたけどサイズが合わなかったから……今は、冥助が誂えてくれた小さなグローブに、僕のちっぽけな両手は覆われている。
「……テメエがオレのグローブが似合う男になったら教えてやるよ。それまでせいぜい気張って育ちやがれクソガキ」
「……なにそれ、ほんとムカつく」
なにさ、それ。
言われなくてもなってやるもん。
君なんかよりずっと、ちゃんとした大人に。
じいじの為に――そして、僕の為に。
『ごめんねー、リュートくん。このお兄ちゃん、人望ないくせに年下に兄貴ヅラしたがる悪癖あんのよ。カッコつけちゃってまあ』
「うむ。その点はぼくも気になってた。慕われたいのならそれ相応の振る舞いをすべきだな、日頃から」
「うっせーわ!! 二人がかりで茶々入れて空気壊してんじゃねえ!! 人がカッコつけてんの邪魔してんな!」
「え……意図的にカッコつけてたんだ……なんかヤだ……気持ち悪い……」
「テメエまで敵に回んじゃねえリュート!! かっわいくね~!! あ~……これだから野郎はよぉ……マジで今すぐこの空間に華やか美女来てくれ~……」
『うわ、出たよスズベルくんのナチュラル男女差別クソ野郎なとこ。マジでよくないよそれ。ほらもー、文句ばっか言ってないでちゃきちゃき進みなー? さっさとイース・トーヴ支部へゴーだよー。俺そろそろ本体に魂戻すけど、君ら着いても回復してなかったらぜひ看病頼むよー』
「あ? 寝ぼけたコト言ってんじゃねえぞオッサン。そんなことよりオレには支部到着後、即優先すべきもんがあんだよ」
……急にスズベルの纏う空気が変わった。
なんか、圧があるような。
……って言うか、親代わりらしい冥助の看病だか介護だかを『そんなことより』で一蹴するのは人としてどうなの――。
「なぜならオレには!! オレのことを健気に待ってくれているオレだけの
フェアリー・メイドこと
オレの心のオアシス! 大天使! ウルトラキュートな女神!! オレのかわいいアリスちゃん♡♡ を迎えに行くという最重要使命があるのだから!! っ、アリスちゃ~~ん♡♡♡♡♡ 待っててね~~♡♡ もうすぐ会いに行くからね、そのままランデブーだからね~~♡♡♡♡♡♡」
「……………………え、なに……コイツ……急にこわい……アリスって誰……? え、ほんと急に……なに……?」
『………………あーあーあーあー、台無しだよ台無し!! ちびっ子に兄貴ヅラしてみたりちょっとは長所も表に出してけるかと思ったら安定のクソ野郎だよもう!! あっっちゃ~~……ほんとコイツもう、どうすりゃいいかなあ……』
「…………!! スズベル貴様!! 操縦桿から手を離すな!! またこれか!! おい、惚けてないで正気に戻れ!! 足場が雪で不安定なんだぞ!!」
………………うん。
あのね、じいじ。
スズベルからも、凪哉からも、冥助からも。
きっと学べることは多いし、みんなのこと色々気になるし、僕も頑張りたいよ。
でもね。
「アリスちゃんアリスちゃんアリスちゃ~~ん♡♡♡♡ やっと君に会いに行ける♡♡ 再会したらオレの腕の中で愛を誓い合おうね~♡♡♡♡♡♡」
「スズベル!! だから貴様、操縦桿を――あ、機体が雪に沈…………」
……でもね、じいじ。どうしよ。
やばい。ついてく大人、間違えたかも。
――ちょっと、マジメに先が思いやられる。
◆5話に続く!




