その1 退廃世界トゥリララ・ロマンス
★ 狂騒爆炎ピアチェレディ!
第一話『ブリキと屍体のおとぎ話』
その1 退廃世界トゥリララ・ロマンス
teller:Hero
◆
――通信が、入った。
始まりの、合図だった。
『【WITTS】イース・トーヴ支部開発室より緊急通信。付近の隊員に緊急出動要請……っていうかスズベルくんだねー。聴こえてるー?』
緊急と言う割には、やたらと呑気な声が通信機越しにオレの名を呼んだ。
『ほーこく。大陸東部キャロッタ村近辺にて、魔女【リカルカ】出現。想定レベル1。こりゃまた随分とご機嫌に森林破壊中……で、被害は既に村に拡大済みでちょっちマジヤバそう。場所は俺がマップに送信しとくから、ちゃちゃっと片付けてきちゃってー』
「なんっつー気の抜けた緊急連絡だよ……」
コックピットでゲンナリと項垂れながらも、思わず呟きが漏れる。
オレの声色は、こんな緊急事態だってのに呆れのせいで脱力感を多く含んじまった。クソがよ。
気の抜けた通信のせいでオレの気まで抜けちまっただろ、と舌打ちを零ししそうになった時。
ぎょろり、と気配を感じた。
コックピット内の一部盛り上がった壁。
そこに埋め込まれたレンズの光が目玉のように動いていた。
軋む音と共に、瞬きを思わせる少しの点滅と一緒に。
先程通信で聴いたばかりの声が、今度は至近距離から、レンズの奥の奥から聴こえてくる。
『まあまあそう言わねーでよスズベルくん。君もう【レディ】に乗り込んでるから色んな手間省けて丁度いいのよ。助かる。便利。よっ、大陸七番色男』
「勝手に人の機体に入ってくんじゃねえオッサン! 大陸七番ってまた微妙な数字を……どうせ世辞言うなら大陸一番とか世界一とかもっとデカい口叩けや!」
『ラッキーセブン、ラッキーセブン。さささ、ちゃちゃっとさっさとレディゴーしちゃってよ?
スズベル=エメラルダーくん?』
レンズ近くに埋め込まれた多機能アームが、ガチャガチャと愛嬌を演出するかのように視界の隅で揺れ動く。
オレの愛機にそのまま『侵入』した、どっかの不届き者のせいで。
マスコットロボらしさを出したかったのかも知れねえけど、『中身』を知っちまってるから愛着もクソも湧かねえ。
顔見知りのオッサンを可愛く思えるほど、オレは心が広くねえ。
オレが『可愛い』と全力で思える存在は、『可愛い』の感情だけで頑張れる存在は――やっぱり可憐な女の子、だけ。
一応コックピットに乗り込んではいたが、自分の仮眠に合わせて機体はスリープ中だった。
眠りに落ちている機体を本格的に起動させるべく、オレは二つの操縦桿を両手で掴む。
耐摩擦用に嵌めたグローブ越しに感じる鉄の温度は冷たく、手馴れた感触は笑っちまうくらいに頼もしい。
対魔女特化独立掃討組織【WITTS】が擁する巨大ロボット、総称【レディ】。
魔女を討ち倒す乙女、はたまた淑女の名を冠した機械の戦士。
オレたち【WITTS】隊員、中でも戦闘パイロットにとっての、不屈の武器。
敵を刈る凶器、そのもの。
それを、今から叩き起こす。
なあ聴こえてるか、オレの愛機――『ブリキハート』。
「――ブリキハート、テイルスタート!
Get ready, my lady!」
自分の心臓の鼓動を掻き消すくらい、心臓そのものを揺るがすくらいに叫んで、両の操縦桿を思いっきり前に引き倒した。
心を揺らさなけりゃ、愛機と繋がることもできやしねえ。
オレの心はそんなに安くねえのに。
生身のレディ専用なんだけどな、オレのハートは。
無理くり強制的に揺らしたオレの心に引き起こされるように、オレの愛機のハートの方はお目覚めみたいだ。
薄暗かったコックピットに、明かりが灯る。
コックピットを埋め尽くしかねないモニターが光り、世界をクリアに映し出す。
光と共に、稼働音を掻き鳴らして、愛機は待機の姿勢を解いて、ゆっくりその場に立ち上がる。
オレ、スズベル=エメラルダーの搭乗【レディ】――名を、ブリキハート。
【レディ】の規格に従い、全長は5m程度の巨大人型歩行戦闘機。
こいつは元々は戦闘向きではなく、重装備での労働を想定されて造られた作業機だ。
が、そんな作業機をベースに改修、改造を重ね、作業機開発者の意図とは全く違う形で自由な戦乙女【レディ】として生まれ変わった、全区域順応万能戦闘機。
そいつがオレの、ブリキハート。
自由を、心を得た銀色の機体。
操縦者であるオレ、スズベル=エメラルダーの心と共鳴して初めて起動し、稼働する戦士。
起動の勢いで引き倒したまんまだった操縦桿を軽く握る。
試しにがちゃりと動かせば、だいぶ機体にこっちの存在が馴染んだ感覚があった。
下手に気合いを入れずとも、少しの操縦で、コイツはオレの思うがままに動く。
何度もコイツと一緒に戦ってきたから、そんくらいわかる。
操縦桿を強く握り締め、アクセルを踏もうとしたその時。
モニターに標的の反応が映った。
なるほど確かに、ご機嫌に暴れてやがる。
魔女【リカルカ】。
オレたちにとっての敵は、そんなふざけた名前をしている。
おとぎ話に出てくる魔女の帽子のような形の肥大化した角を持ち、それでいて多種多様な生物を模した姿が、各地に確認されている怪物。
災害がそのまま輪郭を得てしまった、討ち倒すべき、世界の破壊者。
リカルカが映るモニターの映像を拡大する。
通信で聞いた通りにリカルカは地形をまるっと破壊しかねない勢いで森林を薙ぎ倒し、潰し、地面を揺すり砂地を盛り上げ、小さな村を一つ、文字通りひっくり返そうとしているようだった。
「させるか、よッ!!」
モニターのマップ、標的リカルカの現在地を示す場所に、追尾用のマーカーを付けた。
リカルカの生体反応を感知するマーカーが光るマップに従い、相手の位置を意識しながら、ブリキハートを走らせる。
ブリキハートの脚部の足裏には、小型の専用車輪が取り付けられている。
そのおかげで大抵の地表は軽やかに、かつ最低限に抉り進み、その滑走は力強く道を拓く。
足元で僅かに砂塵を散らしながら、雪国のスケーティングのように地に真っ直ぐな線を引き、ブリキハートはリカルカの死角に差し掛かる。
標的と充分な距離を空けた状態で。
ここなら狙える、と弾丸をお見舞いしてやるべく右腕部の主砲を動かそうとして、オレはモニターを見て。
すぐさま操作を取り消した。
リカルカの手元に、逃げ遅れた村人が居る。
それも可愛い女の子。
怯えた顔して座り込んだ、小柄で髪が長い、清楚そうで純朴そうで――まあとにかくめちゃくちゃ可愛い。
いま主砲をぶっ放したら、あの子まで巻き込んじまう。
それはオレが到底許せる展開じゃねえ。
となると。
ブリキハートの移動速度を一切緩めないまま、オレは操縦桿近くのパネルに指を滑らせる。
ブリキハート頭部に位置するコックピットのハッチが開き、オレはハッチが開き切る前に自身の傍に立てかけていたクロスボウを構える。
『お、スズベルくんが妙にやる気出してると思ったら可憐な女の子発見。これはまたとてつもなく君の下心を感じるねえ』
また、声が聴こえた。
起動直前に散々聴いた声。
『そいつ』はまだブリキハートの内部に侵入していたらしい。クソが。
人の愛機にしつこく居座るそいつのせいで、レンズ付近のアームがガチャガチャとやかましく鳴って鬱陶しい。
本来【レディ】は機体が喋る機能を持たないはずだったが――いや今の状況でそのへん思い出すと頭こんがらがるな。
「ちょっとガチめに集中するから黙ってろ」
『黙るって、――ア゛ッ』
クロスボウを構えたまま座席を立ち、横にあったレンズをガッと勢い良く蹴り壊した。
不快なノイズ音が走ったが、気を散らかす声は止んだ。
これでしばらくはよし。
ブリキハートの滑走音を邪魔する程の風の音がごうごうと肌を刺す中、オレは狙いをリカルカの広く大きな手に定める。
人間の手に似た形状だが、その手は傘のように広がり女の子を覆い、今まさに彼女を飲み込もうとしている。
――ンなドス黒い汚い手で女の子に触るなんざ、百年早ぇ。
いや百年でもヌルい。もう一周は輪廻でもしとけ。
矢を、射った。
騒がしい風の音の核すら突き刺すように、一直線に放たれた矢がリカルカの手を射抜いた。
その衝撃で、リカルカの片手が砕け散る。
瓦解した手の欠片が女の子に降りかかろうとしていたが、ブリキハートの速度を一度も緩めていないことが功を成した。
先程レンズを蹴り壊したついでに、壁のモニターに表示されていたマーカーも足で踏んでおいた。
戦闘開始のタイミングで標的に、あのリカルカに付けておいたマーカーだ。
マーカーを踏んでおいたことで、ブリキハートには既に進路変更信号が送られている。
行き先は、マーカーすなわちリカルカの元。
つまりは、あの可愛い女の子の近く。
ハッチを開けっぱなしにした状態で、ブリキハートをリカルカと女の子の間に滑り込ませる。
一旦は弓を手放し、片方の操縦桿を押して機体を傾かせ、出来るだけ女の子に近付けて。
オレはハッチから飛び出すギリギリまで身を乗り出し、女の子に手を伸ばした。
恐怖で立てないであろう小さな背中に片腕を回し、彼女が驚いて姿勢を崩したタイミングで、もう片腕を膝裏に回す。
そうしてオレは、か弱い可愛い女の子を抱き込むように、コックピットへと引っ張り込んだ。
突然のことに目を見開いている彼女のご尊顔をじっくりと見て堪能させていただきたい気持ちは、一旦ぐっと堪えた。
彼女を膝の上に抱えたまま、手だけを操縦桿と操作パネルに伸ばし、改めて進路変更をブリキハートに命令する。
ブリキハートが新しい方向に滑走を始め、順調にリカルカと距離を空けている最中に、オレはようやく腕の中の可愛い可愛い女の子に声をかける。
「やあ愛くるしいお嬢さん、怪我はないかい?」
「ぇ……は、はい…………、ぇ、あ、愛くる、しい……!?」
状況がわかっていないのか、不安げに目を瞬かせていた女の子。
そんな子が、オレのキザったらしい口説き文句を呑み込むなり、ぼふんっと真っ赤になって慌て始めた。
超かわいい、めっちゃ癒し。
こんなうぶうぶな反応見れるならオレいくらでも頑張れちゃう。
これよこれ、やっぱり女の子はイイなあ……可憐な乙女って反応ほんと最高。
女の子はいざ抱き締めてみると、オレの身体ですっぽり覆い隠せるくらいには小さく細っこかった。
触れ合った全てから頼りなく弱々しい印象を受ける。
でもそれはそれで全然カワイイ。
守ってあげたくなる系っての? あんまりこういうタイプの子と話したことなかったけど、さすが女の子だからそりゃ可愛い。
そりゃ全然オレが守ってあげちゃう。
抱き上げた時に少し触れたサラサラの亜麻色の長い髪は指通りが良くてマジ素敵。
リボン付きのカチューシャがザ・少女、ザ・乙女って感じがしてやっぱりとてもかなり可愛い。
服装の方は別にリボンがくどくなくて村娘らしい素朴で清廉なゆるっとしたスカートとケープなのもピュアピュアな感じがしてめちゃ可愛い。最高。女の子最高。
「オレ、スズベル♪ スズベル=エメラルダー♡ お嬢さん、君の素敵な名前も教えて?」
「す、すて……っ??」
またも真っ赤になって視線をうろうろ彷徨わせてしまったかわゆい女の子。
オレがニッコニコで返事を待っていると、彼女はまたいくらか視線を泳がせたあと、ぽっと色付いた頬のまま告げた。
「あ、ありす……っ、 ……あ、えと……私、アリス=クロスロードです……っ」
「アリスちゃん♡ 名前まで可愛らしいね♡ ほんとに守りたくなっちゃう♡」
「かわっ……!? え、あの……守るって……あ、の、スズベル、さんは……」
リカルカと距離を取る為の滑走が終わりに差し掛かった頃。
コックピット全体と操縦席にいるオレを交互に見て、アリスちゃんはまた困惑したような色を瞳に宿す。
オレが何者なのか、オレがアリスちゃんをどうしたいのか気になるのかもしれない。
だったら、答えは。
アリスちゃんの頬に触れ、指でそっと彼女の目元を拭ってやる。
本人は自覚がなかったのかもしれないけど、あれだけ眼前に怪物リカルカが迫る恐怖を、ついさっきまでこの子は味わっていたんだ。
うっすらと滲んでいたアリスちゃんの涙は、オレの指で撫ぜて掻き消してやる。
「……オレはね、君の美しい涙を奪いに来たのさ」
オレの指のほんの一撫でによって涙を奪われたアリスちゃんは、固まってしまった。
固まった後もじわじわアリスちゃんの顔が赤くなっているのが可愛くてたまらなくて、じっくりゆっくり口説きたい気持ちでいっぱいになったが、リカルカの雄叫びで目を覚ます。
片手を砕かれた衝撃が回復しつつあるのか体のバランスが復活しそうなリカルカを見て、さっさとトドメを刺さなきゃと思い直した。
当初の予定通り主砲で勝利を飾れればラクだけど、アリスちゃん可愛いからちょっとイイとこ見せたい。
「アリスちゃん、オレにしっかり捕まっててね? ――行くぜっ、ブリキハート!」
オレがそう言ってアリスちゃんを抱え直すと、アリスちゃんは躊躇ったように、おっかなびっくりとした様子でオレの首に手を回し抱きついてくれた。可愛い最高、デートして後で。
アリスちゃんに抱きついてもらった状態で、もう一度クロスボウを構える。
リカルカは角が弱点だ。
魔女を思わせるけったいな角。
さすがの怪物でも弱点を剥き出しにする程バカじゃねえのか、普段は角を守る為に周りをベール状のモンが覆ってる。
が、さっき放った一矢で相手は揺らいでる。
片手の損壊のカバーに身体全体が必死なのか、滑走で逃げたブリキハートに対してすら、魔女さんは意識が集中できちゃいねえ。
角を覆うベールが完全に揺らいだ隙を、狙って。
弓を引いて。
オレはトドメの一撃を射った。
風を切り劈く一矢が、リカルカの角を一突きに刺す。
矢を穿たれた箇所から、魔女リカルカが崩壊していく。
呪いのような禍々しい叫びと共に、その身はぼろぼろと瓦解し。
風に乗ることも空に還ることもなく、ただ災いとして、魔女は消えた。
――かつて、あらゆる災いは『魔女』と呼ばれたそうだ。
永い永い時を経て、今この世界、【ナーサリフィア】にて。
言い伝えは、真実となった。
災いは、魔女の形で現れるようになった。
魔女【リカルカ】。
いつからか世界各地に出現するようになったそれは、自然災害の如く唐突に顕現し、意思も持たず全てを破壊し滅ぼそうと、多くの命を奪っていった。
だけど、言い伝えが真実になるように。
おとぎ話も、現実となった。
魔女リカルカとの戦闘を想定した機能や装備を持つ戦闘ロボット【レディ】。
【レディ】の誕生は、魔女に怯え滅びを待つばかりだった世界に希望を、未来をもたらした。
古き童話の多くにおいて、魔女や巨悪と対峙するのが無垢な乙女であるように、【レディ】は魔女【リカルカ】を打ち倒し続けてきた。
そして今、多くの【レディ】を擁し魔女を狩る為の組織の存在は、世に名を轟かせていた。
オレも――スズベル=エメラルダーという21歳の男もまた、そんな組織に身を置いていた。
対魔女特化独立掃討組織。
角を持つ魔女と対になるように、その組織の名はあった。
魔女狩りの尻尾、を元に、無理くりと言葉をこねくり回して――通称、【WITTS】と――。
◆
teller :Heroine
――銀色のロボットが、足を止めていた。
私と彼を乗せている大きな機体。
たぶん、【レディ】だ。
初めて見たから自信はないけど。
先程までその素早さで魔女を翻弄していたロボットが、今は地に膝をつけている。
頭部にあるコックピット、である此処からでも、すぐそこに地面が見えるくらいに。
ロボット。
えっと、確か、名前はブリキハート。
この人が――私を助けてくれた人が、そう呼んでいたから、多分そんな名前。
ちらりとメッシュが見える銀髪の、大人の男の人。
良く喋る人。沢山の言葉を持つ人。
とても良く、笑う人。
スズベル、さん。
いつから魔女が倒されブリキハートが機能を停止していたのかもわからず、ただただ身を強ばらせていた私とは違い、最後まで私をこうして守り抜いてくれたスズベルさん。
スズベルさんは一足先にブリキハートから地面に降りて、こちらに向かって手を差し出してきた。
導かれるように、差し伸べられた手を握る。
おずおずとした仕草に私自身の弱さが反映されている気がして、情けなくなった。
なのに浅ましい心臓が、彼と触れ合ったことに反応して、騒然と鼓動を鳴らす。
可愛いだとか素敵だとか、そんな、この人に言ってもらえた綺麗な言葉が、脳裏をずっと駆け巡っている。
触れ合った手に、涙を拭ってもらえた温かさを思い出す。
自分勝手に顔が熱くなるのを感じて、縮こまりたくなった。
握った手を優しく握り返され、スズベルさんに介助してもらう形で私は地に降りる。
その手が、離れることなく軽く引かれた。
咄嗟のことに息の仕方を考える前に、スズベルさんが私に対して跪く。
地に膝をつくブリキハートと、おんなじ。
跪いて、私の手を取って口元へ持っていく恭しい仕草が、あまりにも様になっていて。
まるで宝物か何かのように触れられて、自分がとても大切なものなんじゃないかと錯覚しそうになった頃。
彼は、私の手の甲にそっと一瞬の口付けを落とした。
「…涙を頂いた印に、ご挨拶を。お怪我はありませんか? オレの可愛い可愛いアリスちゃん?」
まるで誓いの儀式のような行為に。
紡がれた甘い『可愛い』に、私の名を呼ぶ声に。
ただでさえ熱かった顔から、火が出るような気さえした。
ああ、ああ、どうしよう。
心臓が、知らない音を立てている。
だったら今まで私を生かしていた拍動は何だったと言うの。
こんなの、私が、新しく生まれてしまったみたい。
きっと、スズベルさんは知らない。
彼に出会ってしまっただけで、私なんかの――アリス=クロスロードという、ほんの16歳の女の物語も、今ここから始まってしまったことに。
ヒーローに、出会ってしまった。
おとぎ話は、現実となった。
――始まりの、合図だった。
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