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11話 3人で挑むクエスト


 ガーベラが『阿吽の花』に入って数日が経った。


「ガーベラさんこのクエストなんですけど」

「あ、私のことはガーベラでいいから。リサにもそうしてるみたいだし」

「なら俺のこともツカサでいいよ」

「そ、そう? じゃあそうするね…それで?」

「ああこれなんだけど……」


 2人でクエストの確認をしているのを、側からサントリナが見ていた。


 そんな少女にリサが声をかける。


「不安そうなのが顔に出てるわよ」

「マスターが用事で外に行ってますから…皆んなのクエスト周りを支えるのは私がやらないと…」


 サントリナの言葉にツカサが反応した。


「そういえばソニアさん結構留守にしてること多いな」

「まああの人くらいの人材そういないからね。協会に呼ばれてることも多いんでしょ」


 そう、最近はツカサの特訓もリサやガーベラが付き合う形が多い。

 

「何かあったら私が手伝うから言ってよ」

「ああ、ありがとう」

「ただいま〜! お、皆んないるじゃん」


 そうこう言ってるうちに、ソニアが戻ってきた。


「いいクエスト〜? あるあるちょい待ち…」

「さすが!」


 ソニアが袋に入った書類を整理する。

 

「にしてもガーベラ、キミB級なんだって? すごいね」

「あ、はい」

「へえ…B級冒険者ってすごいんだ」

「今のツカサじゃ上裸で逆立ちしても勝てないよ」

「……下を脱いでも?」

「あははは。そりゃそう」


 ケラケラと笑うソニアとツカサを見て苦笑いするガーベラ。

 

「というか、ガーベラがそんなにすごいってことは、本当に俺足手纏いだったのか…」

「ガーベラも言ってたでしょ、貴方は腑抜けた雑魚って…」

「あ、あれ嫌いな相手に対しての減らず口とかじゃなくて本心だったんだ…」

「あ、いや……まあ」

「ああいやまあ!?」

「ぷっ……」

「いや、半分本気でしたけど、当てつけでついきつく言っちゃってその節は……」

「いいんだ、もう何回も謝ってくれただろ?」

「その謝罪を引き出してるの毎回あなたが話題にしてるからだけどね。何回目よこの腑抜けた雑魚イジりするの」

「8回くらい……?」

「よく飽きないわよね……」

「それくらいガーベラのナイフは俺の胸を突き刺したんだ。あと92回は擦るからな」

「は、はい……本当にすみませんでした」

「そんな本気で謝罪されたら俺が悪くなっちゃいそうだから軽そうに謝って……?」

「なんなのよコイツ……」


 そんな会話をして3人して笑っているところに、ソニアがクエストの説明をした。

 

「……って感じだけど、どう?」

「いいわね。行きましょ」

「しっかり準備してこうな!」

「あ、ツカサ。その前に君は特訓ね。2人は準備しておいて」

「ほえ……?」


 ♢


「どれぐらいやれるか知りたいからさ。思いっきり来な」

「お、今日はソニアさんがやってくれんのか」


 言って、2人は拳を打ち合った。


「いいパワーだ。操作困難だった魔力も、もうすっかり自分のものにしたね」

「はい結構慣れてきて…」


 だが、それでも打撃戦においてソニアとの実力差は明白だった。


「意識すれば使える、それじゃまだダメだよ。心に余裕がない時、不意を突かれた時、無意識に身体を強張らせるのと同じように反射で魔力を使えるようになるのが目標だ」

「……っ」


 次第に押されていくツカサ。多数の攻撃手を講じるが全て封じられる。


「強力な力を持ってる者は弱者の搦手に付き合ってくれないことが多いから、気をつけないとね」

「つぁ……はい!」

「そんでもってツカサだけに言っておきたいことがある。君の性格を判断してのことだ」 

「……? あいたぁ!?」


 ソニアはツカサが気を抜いた瞬間を逃さず叩く。


「君とリサが村で遭遇したグレロという男の消息が途絶えたそうだ」

「……は?」


 ツカサが拳を撃つすんでで止まった。


「何で…だって…」

「村の人間は全員無事だそうだ。ただ、リサと君の報告にあった盗賊はただの1人も見つからなかったらしい」


 ソニアはその件に関しての調査を進めていたらしい。


「詳しいことは私もよく分からない、だが……何かを起こそうとしている奴がいるかもしれない」


 ツカサも不安げに首を縦に振った。


「その件に関連したクエストはサントリナがリサに渡さないように書類をあらかじめ整理しておいた。協会の情報も日が流れれば噂を耳にすることもない。だから君らが関わることもないが一応気に留めておいて欲しいんだ」

「俺だけに言ったのは……?」

「ツカサかリサのどちらかだけに伝えるつもりだった。その中でキミだったのは、キミがリサとガーベラのやり取りを知ってなお冷静に対応できたからだ。君ならこの情報を知って冷静に動けると信じてる。……というか、あの子に知らせるとまた単独で行動しそうだからね」


 嬉しい期待だが、複雑でもある。盗賊の件はツカサ自身も関わっていたことだ。だが、多分リサがこの件を知れば自分を責める。それは良くないことだ。


「この件は私も調べておく。だから君はいつも通り普通の旅を続けな。何かわかったら報告するよ」

「はい」

「キミに多く負担をかけてごめんね。埋め合わせはするよ」

「大丈夫、リサが自分を責めたりするより遥かにいいですよ」

「それじゃ…次のクエスト、D級のキミにはちょっと重いと思うけど、頑張ってきな!」

「はい!」


 ♢

 

「結構ガッツリ鍛えてあげたみたいですけど、どうでした?」


 3人を見送り暫くして、部屋に戻ってきたソニアにサントリナが問いかける。

 

「もうD級クエストは1人でもいけるね」

「お、ということは……」

「うん」

 

 手をポキポキと鳴らし、ニヤリと笑う。


「今度のクエストは私とツカサの2人で向かうよ」

「はは…ツカサもまたあの顔になりそうですね〜」


 ソニアとの特訓でもう勘弁してくれと泣き顔で叫ぶツカサを見てビビり散らかしていたサントリナは苦笑いをする。


「あ、それと協会からの報告見ましたか?」

「うん…?」

「見てないんですか〜もう〜ギルドマスター?」

「ごめんごめん私も忙しくてね〜これとか集めるのにさ」


 親指と人差し指をくっつける、いわゆる金のマーク。

 

「もう! 確かに経営は大事ですけど…」

「それで〜? どれどれ……」

「なんでも未知のモンスターが確認されたみたいで……かなり危険性も高いみたいです」

「場所は? ほれ見して見し……て」


 サントリナが手に持つ書類に目を通した時、ソニアは目を見開いた。

 

「マスター?」


 ──そのモンスターが目撃されたとされる地域は、ツカサたちが向かったクエストの近くだった。


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