芝居と愚痴と説教と
お待たせしました!
気がつけば、じわじわとブックマークが増えているようで
ありがとうございます く(・^・)
頑張るます!
あまり長くありませんが、切り良きです
どうぞ!
スウゥゥー
「なにしてくれとんじゃああぁ!!わりゃあぁぁ!!!」
スッパァーン!!!
パァーン!! ぱぁーん ぱぁーん ぱぁーん
朝の清涼な空気に満ちた森、静かに吹く風の中。
何とも小気味のいい音と、女の叫び声が木霊した。
声の主は、溜まったものを吐き出せてすっきりしたのか、嬉々として妙にニヒルなキメ顔をしている。
幸か不幸か、誰も見てはいない。
スッ
ふぁさっ
ミツキはキメ顔を引っ込め立ち上がり、葉っぱのハリセンを右に払う。
どこぞの騎士様にでも成り切っているのだろうか。
しかし手に持っているのは剣ではない。ハリセンもどきだ。とても締まらない。
格好もボロボロで、冒険者のような簡易の革鎧は腹は螺旋に抉れ右半身は腰からくの字に強く擦れている。
そしてその表情はキメ顔ではないがどこか鼻に付く。
ついでに言えば、数秒前のツッコミの言い回しはとてもではないが騎士のそれではなかった。
そもそも数分前まではご令嬢を演じていたのではなかっただろうか。
つまり何が言いたいかというと
とても鼻に付く。
しゃらんと髪をなびかせ(本人イメージ)ミツキは振り返りながら宣う。
「まったく。私は落ち着いて話せる場所へ案内して下さると聞いてここまで参りましたのに。問いにも偽りなく答え誠意を示したつもりでしたが、その応えが騙し討ちとは。非常に残念です」
物憂げなため息を添えて。
ちなみに、左手はそのポジションに少し悩んだ後、右に流したハリセンの上へ添えている。そのままでは違和感があったのか、ハリセンを剣に見立て身体の中心へ少し寄せる。
どの道、目の前の白い老人は、叩かれて膝をついたままの姿勢でミツキに背中を向けているので、やはり誰も見てはいない。無意味だ。
「そもそもが突然の奇襲でしたから、今更でしたね。その上延々と続く執拗な攻撃に騙し打ちの熱光線。こちらにも非があるとはいえ、少々腹に据えかねます」
ねちねちと嫌味な言い方をする。
そしてやはり左手のポジションに落ち着かないのか、今はわざとらしい憂い顔に軽く添えていた。
そうしてすぐに反対も落ち着かなかなくなったのか、左の肘をハリセンを持ったままの右手で支える。
ふぁさふぁさと擦れるハリセンの葉が少し煩い。
話しかけているはずの老人は、相変わらず背を向けたままだ。反応もない。
「(返事がない。ただの屍のようだ。)」
嫌味に対し何かしらの反応を想定していたミツキは、仕方なしに次の言葉を探す。その目は据わり、顔には面倒臭さが滲み始めている。
せっかく騎士様に成り切っても見てもらえず、話しを聞いているのかすら分からないのだ。
ミツキは虚しい一人芝居に飽きてきていた。
「聞いていらして?」
ミツキは老人の正面へ回りその顔を覗き込む。
先程より語気が強く声も低い。ねばっこく語尾を上げ、苛つきを隠す気もあまりないようだ。
またも沈黙。
「(何、このおじいちゃん。ショックで死んじゃったの?燃え尽きて灰になっちゃったの?
ねえ、まだ息してるよね。さっきからちょっと動いてるもんね。気力が無くなったからって無視しないで欲しいなあ。人の誠意を無視するのは失礼でしょう?人の怒りを無視するのは凄く失礼でしょう?小さい頃に人の話は目を見て聞きなさいって教わらなかったのかな?年取って忘れちゃったのかな?年長者は何しても許されるのかな?話しかけられても相手を視界に入れもしない反応もしない。相手の怒りに応えもしない。あまりに失礼が過ぎませんか?先に手を出して来ておいて勝手に終わらないでよ。終わらせないでよ!巻き込まれたこっちはどうなるの?こっちの怒りはどうなるの?燃え尽きてないで何かしら応えてくれませんか?せめて反応くらいしてくれたって良いでしょう?ねえ。そんなに燃え尽きていたいなら本当に燃やしてあげましょうか?真っ白に。燃え尽きて、灰になるまで燃やしてあg
「ごめん、、なさい」
途中からいやほぼ初めから、途切れることのないミツキの思考が声がだだ漏れており、その声量はその怒りは、呟きから小さな炎から次第に大きくなっていった。抑揚の小さい耳にこびり付くような低い女声が耳を震わせ、真っ黒な背景にだんだんと強く煙のように立ち上ぼっていく赤い炎を幻視する。
先程まで持ち主がやたらポジションを気にしていた両の手はだらりと垂れ下がり、光の射さない据わった目は見開かれたままに、漏れ出すように呪文を吐き続けている。
見ようによっては知らずしらずに身体が震え、身の内から温度がなくなっていくように錯覚する程だ。
そんな延々に続きそうな呪文を遮ったのは、老人の絞ったような零れたような、小さな謝罪の一言。
自分がしたことを思えば当然だが、執拗で平坦なミツキの暗い怒りに、あるいは年端も行かない(と思っているそう見える)少女の説教めいた愚痴に、耐えられなくなってしまったのか、ミツキの見開かれた目に覗き込まれた白い老人は、小さくなって項垂れるように頭を下げた。
ここまで読んで頂きありがとうございます。そして見つけて頂きありがとうございます。少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。




