エルフのお兄さん
おはようございます
前回
ミツキ、怖いお兄様方に囲まれる
サァァ、、、
全方位から迫るいくつもの即死魔法を受けたと思われたその女は、しかして変わらず、そこに立っていた。
魔法を放った本人たちは、何が起こったのか理解が追いついていないらしく、前方からの爆風に尻もちをついたままその女を見ている。
周囲を取り囲むエルフたちも目の前で起きたことが理解できず、呆然と女を見つめている。
恐らく、そこにいる誰も頭では理解していた。
彼女の目の前で魔法が消えていったその瞬間を、確かにその目で見たのだから。
ただ、目の前の年端もいかぬ若い女がやったのだと思えない。その事実を、脳が受け付けてくれない。
その女の手には杖もなく、補助具となりそうな装飾品なども見当たらない。呪文も声を発することすらせず、ただ目を見開いただけ。
森の守り人と呼ばれるエルフ。魔法を扱う技術において他の追随を許さない彼らでさえ、杖という媒体、魔力を操る補助具を使うことで、ようやく有用な魔法を使えている。
それだけ魔力のコントロールは難しい。身体強化など身体に直接作用する魔法であれば、補助具なしでもできる者はいる。極少数ではあるが。
そもそも魔法というは、魔力を魔法という形にすることで何らかの力を持たせたものだ。魔力をそのまま放つよりも効果的だから。
だが、今のはただの魔力だった。体外に向けて、恐らく本当にただ魔力を放っただけ。放射状に、爆風と紛う程の威力で。それだけとも言える。
それだけで、あれだけの即死魔法を相殺否かき消した。
ありえない。
仮にそうであるならば、魔法をかき消せる程の膨大な魔力を、一時的とはいえ体内に留め、それを一気に放出させたということになる。
魔力を留め切れなければ、放出させる筈だった魔力が身体の中で暴れ、身の内から壊されてしまう。一気に放出できなければ、迫りくる魔法を相殺するだけの威力にはならない。
それ程の魔力。それ程の技術。
ありえない。
「お話、聞いてくださいませんか?」
微笑んだ女が発したその言葉に、我々はただ頷くことしかできなかった。
___________
(し、、、死ぬかと思った、、、
何あの魔法!
竜巻、水鋸、炎球、岩塊、光線?
反則でしょう!
自分に向いてなかったらカッコイイってはしゃげたのに。
ていうか何?エルフってもっとこう、静かで思慮深くて大人しいもんじゃないの??
あのデッカイおじいちゃんが特殊だったんじゃないの!?
あ、いやあのおじいちゃんも静かで思慮深くはあったか。戦闘狂だっただけで。。。うん。
ホント道頓堀に沈められるかと思った。
世界で一番嬉しくない逆ハーレム。無駄にイケメンばっか。
何気に静かに怒ってた人が一番怖かった。光線って。キュイイィーーンっていってたし。たぶんアレが一番ヤバかった。
また魔法撃たれるかな、もう超怖いんですけど。ホント勘弁してくれないかな。とりあえずダメ元でもっぺんお願いしてみようかな。
うん。
ここはあれだな。上品な方が良いよね。
それこそ女神のような微笑みで。
よし。
私はどこかのご令嬢、、
私は生まれも育ちも上品なお嬢様、、、)
「お話、聞いてくださいませんか?」
女神の微笑み))
コクコクっ
(おおぉ!通じた!通じたよおぉ!!
ありがとう神様!ありがとう私の演技力!
よし、このままいこう。)
「その前に、少し助けて頂きたいのですが」
「「「、、??」」」
「足が埋まってしまって動けないのです」
・・・こてんっ?
(あれ、何で皆して首を傾げてるんだ?
変なこと言ったかな?まさか通じてない??)
エルフたち
(((何で魔法で抜け出さないんだろう??)))
エルフたちはそれぞれ首を傾げながら、一人がミツキの足を覆う硬い土を砂に変え、他の数人がミツキに手を差し伸べる。
(よかった。通じてた。
あ、風を使えば土を砂にできたのね。)
「ありがとう」
女神の微笑み))
「私は光の魔法を止めて頂きたく、お願いに参ったのです」
儚げな微笑み))
⚠ ))はすべてミツキのイメージです⚠
「あの、その、長老は、、?」
心配そうにミツキの足元に伸びているおじいちゃんを見るエルフ。
「(やっぱり死にかけてると思ってるのかな?ていうか長老?長老だったのこのおじいちゃん!)
皆様との仲介をお願いする為にお連れしたのですが、何分急いでおりまして。あまりの速さに驚かれたのでしょう。移動の際に気を失われてしまったようなのです
(うん。嘘は言ってない。身体のほうがビックリしちゃっただけで。たぶん。)」
物憂げな表情 ))
アイコンタクトだけで素早く長老を運んでいくエルフたち。
君たちはあれかい?暗殺者的な訓練でも受けているのかい?さっきから物音一つしていないぞい?
「そうでしたか。失礼をいたしました。
よろしければ、落ち着いて話せる場所へご案内いたしますが」
左手を案内する方へ向けながら半歩下がり首を傾けるお兄さん。すごく様になる。あれ?絵になる、だっけ、、?
それより!
「光の魔法は発動されていないのですね?」
「えぇ、その前にあなたがこちらへ居らしてしまわれたので」
そう言って困ったように笑うイケメンなエルフさん。
よかった。間に合って。
て、いらしてしまったって言っちゃってるよ?お兄さん!
招かれざる客なのは分かるけども!
しかしそんな困った笑顔も似合うお兄さん。ホント、イケメン。
ていうかさっき竜巻撃ってた人だよね?君。
「では案内をお願いします」
怒らせると怖そうっていうか怖かったから、とりあえず今は大人しく付いて行っとこう。
「こちらです」
とても綺麗な儚げな笑顔で言ってくれるお兄さん。
ごめんなさい。儚げな微笑み))なんて勝手に付けてごめんなさい。これが本物です。私のでは足元にも及びませんでした。
やっばい。なんか自分で言ってて悲しくなってきた。
違うんです。お兄さんの微笑みの破壊力が半端ないんです。
あ、ダメだ。言えば言うほど悲しくなるやつだ、コレ。
もう黙ります。何もしゃべりません。物言わぬ山の如く静かにどっしりと構えてます。
何言ってもボケに転んでる気がするのは、気のせいかな?
あれ、、?何の話しだったっけ、、?
エルフとミツキの温度差が。
ミツキはやっぱりミツキです。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。




