新しい力
2019/06/02 文章を少しだけ修正しました
あらすじ
家族みんなでおいしいお昼ご飯を食べました。
はぁ、やることないなぁ。
ご飯楽しかったな。けど、お昼のあとすぐに、皆それぞれ自分の役割に戻っていっちゃった。
付いていこうとしたら、皆にまだ休めって言われちゃったからなぁ。もう元気だって言ったのに。
おかげで一人、ベッドの上だ。
つまんない。
はぁ。
何かすることないかな。
あ、薬草調合しとこう!
皆の怪我でかなり使っちゃってるから、そろそろストックないだろうし。
よかった、カイ君に教わっておいて。
本当は森まで採りに行きたいけど、勝手に出かけたらまた心配かけちゃうだろうし、とりあえずベッドの上でできることやっとこう。
~~~~~~~
だめだ。本当にやることなくなった・・
干してある薬草は保存用以外あらかた薬にしちゃったし。
びっくりしたよ、薬草が少ないんだもん。そりゃすぐに終わっちゃうよ。
ついでに、ベッドの上じゃ他にできることなかったから、掃除とか、食料品の整理と夕飯の下準備とか、洗濯物の取り込みに薬草・薬品の整理、今までやってた雑用まで全部終わっちゃった。
なんかやたらと体が軽くて、あれだけ仕事したのに全然時間経ってないし。まだ、皆が帰ってくるまでかなりある。
なんか動いてないとうずうずするし。
待ってるだけなんて、つまんない!
どうしよう・・・
とりあえず、身体でも鍛えるか。
まずは筋トレかな。
~~~~~~~
ふぅ
それにしても本当に体が軽い。軽すぎる。
ほぼニートの運動不足だったはずなのに、部活の全盛期と同じメニューでもあんまり疲れなかった。その上ナイフの素振りっていうか振り方っていうか、その練習とかも結構したし。まあドラマとかアニメの見様見真似だけど。
いつも筋肉痛になってた雑用もしたはずなのに、ほとんど疲れてない。
なんか、逆に怖い。。
うーむ。
あ、そういえば私が飲んだ薬、エルフの霊薬とか言ってたっけ?そのせいか。
うん、きっとそうだ。
・・・効きすぎだよ!すごいなエルフ。
体の中から力が溢れて、うずうずが止まらない。動きたい!
・・・薬草とか採りに行っちゃダメかな?
お昼早かったし、なんだかんだであれからまだ2時間も経ってない。
___皆戻ってくるのって夕方だよね。それまでに戻ってくれば、いいかな?だめかな?
うぐぐぐぐ、、、んがああああぁ!
もうだめ。もう我慢できない!
ちゃっと行ってちゃっと帰ってこよう。一応手紙も残しておこう。何かあるといけないし。
よし、念のため鞄に少し薬草を入れて持っていこう。水袋は無くていいね、魔法があるし。ナイフも持って、と。あとは籠か。物置にあったっけ。
お、あったあった。
一応、人目に付かない裏道を通って行こう。
派手なことして倒れちゃったからね、目撃はされないに越したことはない。
ふふふっ。なんか忍者みたいで楽しい♪
気配を消しながら影を行く、なんかかっこいい。
「我、影のものなり。にんにん」
ミツキは両手の人差し指と中指を立てて握り、気配を消すように、忍者のポーズで建物に背を付ける。
ぐん!
!?
急に背中から引っ張られるような感覚がして、そのまま下に沈む。
(え、何?何が起きたの??
あれ、声が出ない・・?)
声を出しているはずなのに音が出ない。さらに言えば周りの感覚がない。いや、身体の感覚はあるのに、何にも触れていない。浮いてる?いや、何か違う。身体は静止しているのがわかる。空気にすら触れていないような、なのに息はできる。
なんとも、不可思議な感覚だ。
周りを見渡すとなんだか建物が高い。いつもよりかなり視点が低いようだ。そしてなぜか、下が見えない。なんというか、そう、闇だ。
(地面?私、地面にいる?それも下は、周りは闇。
・・もしかして影の中!?)
そう、ミツキは影の中にいた。
影魔法。ミツキの忍者の隠遁のイメージが、そのまま魔法となって現れていた。
ぎゅんっ
(うわっ、すごい。思った方へ自由に移動できる。しかも速い!なにこれ、なにこれ、すごい!!)
ミツキは影となって、右へ左へ地面を這い、壁を伝い、あらゆる障害物の上を、間を、するすると自在に移動した。
(すっごい便利。しかもすごくかっこいい!
あ、でもこんなことしてる場合じゃないか。急がないと。夕方、皆が帰る前には家に戻らなきゃ。
まあ、この影移動があれば余裕そうだけど)
ミツキは不意に冷静になり、そのまま森へと向かった。
「もう着いた!すんごい速かった。お、影から出てる。」
またしても一瞬で順応したミツキであった。
すでに、使いこなしているようだ。
「よし、薬草いっぱい採っていっぱい薬作ろう!皆には早く回復してもらいたいしね。」
ミツキはエルフの森近くまで来ていた。歩けば半日近くかかる道のりだ。それを影移動で十五分とかかってない。
ミツキは採集にも影移動を活用した。ある程度薬草を採っては影で移動し、かなりの広範囲から少しづつ様々な薬草を採集していった。雑用で薬草や薬品の整理を手伝う時に、カイに採集方や生える場所などを教わっていた為、見つけるのも採集もかなり早かった。
まあ、物覚えの速いミツキだからこそできたのだが。
本来エルフの森近くの薬草は、効き目が高いが採りに来るのが大変なため、探すのに時間をかけられず、せいぜい2,3種類の薬草を根絶やしにしない程度に少量しか採れない。だからこそ町では量も種類も少なく、かなり希少なのだ。
しかし時間もあり、移動が速く広範囲を探せるミツキは、多くの種類、量の薬草を、それそれの場所で採りつくしてしまわないように残しながら集めることができた。
そうして、あっという間に籠はいっぱいになった。
空にはようやく、朱が差し始めたところだ。家族の帰りにはまだ少し早い。
「よし、これだけ採れば十分だね。持って帰るのが大変かも。あ、でも影魔法ですぐか。本当便利だなあ、影魔法」
なんとも暢気な独り言である。自分の異常さにあまり自覚がないのが、より一層ひどい。
にんにん!
端から見ればふざけた光景だが、本人はいたって真面目であり、やっていることも凄い。
ミツキはいっぱいになった籠を背負ったまま、忍者ポーズにふざけた掛け声で影に沈む。
そしてそのまま、自分の部屋まであっという間に戻って行ってしまった。
!?
そんな光景を覗き見ていた人影に、ミツキが気付くことは、とうとうなかった。
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