委員
「なんで小林君走って行ったの」
「言ってたろ。委員会だって」
「あ、そっか」
「そうだ。今週のお願い聞いてよ!」
準はなんかダルそうだったがそんなのお構いなしに聞く。
「なんだよ」
案の定ぶすっと返された。
「あたしに友達ちょうだい!」
予想しなかった願にぶーっと準が吐いた。こいつ友達をくれだと?金で買えると思ってんのか?
「おまえ、わかってる?傷口に塩塗りたくはないけどさ…友達俺しかいないおまえのこと急に仲良くしてくださいってなかなか難しいぞ。それにちょうだいってなんだよそれ、人はものじゃない」
「うるさいわよ!いいからあたしの言うこ聞きなさい!」
こうなったら準に拒否権はない。はいはいとしぶしぶ承諾する。
朝のHRの時間、文化祭実行委員会の臨時メンバーを募集しているとのことで誰か立候補する奴がいないか会議していた。もちろん中三なのでみんなやる気はなかった。そんな中ひとり手を挙げた。
「はいっ」
その一人に注目が集まる。
「で、では新井エリカさんよろしくおねがいします」
異論はなかった。厄介ごとはだれも背負いたくないから。一方エリカの心境はというと………
こんなかわいいあたしと仲良くしたくないだって?確かにクラスの人たちには嫌われてるけどほかのクラスの人もいる実行委員会ならチャンスあるじゃんかもじゃん?準ちゃんの野郎今に見てろよ、ぎゃふんといわせてやるんだから!
「新井さん、さっそく今日会議があるらしいからよろしく」
放課後さっそく会議室に向かった。
よし、ここから新しいあたしを始めよう。もういじめられっこのあたしの事は忘れて、そう意気込んで両頬をぱんぱんと叩いて扉に手をかけた。




