ルイジアナ州 バークスデール空軍基地 交信記録 2026年4月28日
(接続音)
北方空軍司令官:
「こちら北方空軍司令部。第8空軍司令官、応答せよ」
第8空軍司令官:
「第8空軍司令官だ。回線はクリアだ」
北方空軍司令官:
「命令を伝達する。大統領命令だ。カリフォルニア州内、指定都市圏に対し戦略爆撃を実施せよ」
(数秒の沈黙)
第8空軍司令官:
「……確認する。対象はアメリカ合衆国内、カリフォルニア州で間違いないな」
北方空軍司令官:
「その通りだ。繰り返す。大統領命令だ。即時実行しろ」
第8空軍司令官:
「目標の軍事的正当性を提示せよ。敵性勢力の規模、識別、交戦規定を確認する」
北方空軍司令官:
「緊急事態だ。説明している時間はない」
第8空軍司令官:
「説明がない命令は実行できない。対象は自国領内だ。民間人が存在する。無差別攻撃になる」
北方空軍司令官:
「これは国家存続の問題だ。感染拡大を阻止するための措置だ」
第8空軍司令官:
「カリフォルニアはまだ機能している。完全崩壊していない。治安も維持されている地域がある。生存者も多い」
北方空軍司令官:
「時間の問題だ。拡大すれば手遅れになる」
第8空軍司令官:
「だからといって爆撃する理由にはならない。対象は敵ではない。アメリカ国民だ」
北方空軍司令官:
「大統領命令だ」
第8空軍司令官:
「……命令の認証コードを再送しろ」
北方空軍司令官:
「既に送信済みだ」
第8空軍司令官:
「受信している。だが内容が異常だ。確認が必要だ。統合参謀本部または法務の承認を要求する」
北方空軍司令官:
「そんな余裕はない。繰り返す、大統領命令だ。即時実行しろ」
第8空軍司令官:
「この命令は現行の交戦規定に違反する可能性がある。合法性に重大な疑義がある」
北方空軍司令官:
「疑義は不要だ。命令に従え」
第8空軍司令官:
「従えない」
(短い沈黙)
北方空軍司令官:
「……何だと?」
第8空軍司令官:
「確認が完了するまで、作戦実施は保留する」
北方空軍司令官:
「これは保留できる命令ではない」
第8空軍司令官:
「ならばなおさらだ。これは――」
(短い間)
第8空軍司令官:
「――これは違法な命令だ」
北方空軍司令官:
「その発言は記録されているぞ」
第8空軍司令官:
「構わない。自国領内に対する無差別爆撃など、実行できるわけがない」
北方空軍司令官:
「大統領命令だぞ!」
第8空軍司令官:
「それは何度も聞いた!」
(声が荒くなる)
第8空軍司令官:
「だがこれは戦争ではない!敵もいない!そこにいるのはアメリカ人だ!」
北方空軍司令官:
「感染者は敵性存在だ」
第8空軍司令官:
「なら識別しろ!都市ごと吹き飛ばすのは排除じゃない、虐殺だ!」
(沈黙)
北方空軍司令官:
「最後に命じる。作戦を実行しろ」
第8空軍司令官:
「……拒否する。私はこの違法な命令を実行しない」
(数秒の間)
北方空軍司令官:
「自分が何を言っているのか理解しているのか?命令違反だぞ」
第8空軍司令官:
「理解している。だが従えばそれ以上だ」
北方空軍司令官:
「……憲兵を送る。貴官の身柄を拘束する」
第8空軍司令官:
「好きにしろ」
北方空軍司令官:
「司令権は剥奪される」
第8空軍司令官:
「それでもだ」
(通信切断音)
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