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28.仇討ちをするつもり?




どういう事かしら‥‥。

フレデリック卿が私を殺そうとしてるという事‥‥?


そう考えて頭を殴られたような衝撃を受けた。目眩を感じて立っている事も出来ずに肘掛け椅子へと座り、身を守るように自分をの体を抱き締める。


まさか‥‥…、お姉様の仇をとろうと考えているの……‥?


余りの恐ろしい想像にギュッと目を閉じて強制的に思考を停止する。

先ずは冷静になって考える必要がある。



努めて落ち着いて考えてみると、自分の恐ろしい想定と知っている事実を照らし合わせると、一致しない点がある事に気付いた。


そもそも例の悪魔のような男はフレデリックでは無かった。

確かにフレデリックも黒髪だけれど巻き毛ではないし、瞳も氷のようなブルーグレーではなく美しい銀色だ。


あのような不穏な雰囲気はフレデリックには無かった。勿論あれほど失礼でもない。

とは言うものの、私はフレデリックの事をそれ程知っている訳では無いけれど。


シャーロットの話ではクールだけど真面目で優しい人だと聞いていたけれど、何せ彼と会ったのは数回だけなのだ。



けれどフレデリックでないとすると他に誰が居るだろう?

私は間違いなく、エヴァンズ侯爵家の紋章が彫られたナイフで襲われた。



誰かを雇って私を殺そうとした?

でもお姉様の仇をとろうと思ってるなら、どうして直接私を殺しに来ないのかしら…‥‥。


それに今日の男に向けられた敵意は、決して雇われた人間のするものでは無かった。


そもそも、どうして私がカサンドラ・ウィリアムズだと気付いたのだろう?

自分の居場所を両親にすら知らせて居ないのに‥‥…。



カサンドラは男の冷たく鋭い視線を思い出してゾッと背筋を凍らせた。


あれは間違いなくカサンドラへ向けた敵意と、己の勝利を確信して陶酔している眼差しだった。


あの男はいったい誰なの‥‥?


カサンドラはえもいわれぬ不安に襲われ、椅子から立ち上がって窓辺へ行き分厚いカーテンを引いた。


そんな筈は無いと思いながらも、既にあの悪魔は私の居る場所を突き止めているような気がしてならなかった。



再び目眩を感じて漸く自分が疲労困憊だった事に気付く。

まだ明け方になったばかりの時間だし、恐ろしい事をごちゃごちゃ考える前に少し休んだ方が良いと判断した。



再び応接間を出て寝室へ向かったカサンドラは、ナイトドレスにもう一度着替える事もせずにベッドに潜り込んだ。




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