第7話 完了報告と訪問者
町に着くと、俺とルーチェは、冒険者ギルドで馬車を下ろして貰った。トーマス達は、魔法・スキル習得所に講習の予約に向かうとのことだたので、ここで別れた。
冒険者ギルドに入ると、運が良いのか悪いのかキャスパーが受付で暇そうに帳簿を眺めていたので、俺は、話し掛けた。
「キャスパー、すまないが、またギルドマスターに会いたいのだが。」
「おう、レオか。それと騎士様…。どのような要件で面会を希望でしょうか?」
キャスパーは、俺とルーチェを見て、途中からいかにもな、丁寧な対応をしてきた。
「俺とルーチェが依頼の件で報告に来たと伝えてくれればわかるはずだ。」
「わかりました。少しお待ちを。今、ギルドマスターに確認をして参ります。」
「なんだ、丁寧な対応もできるじゃないか。」
「うるさい。黙って待ってろ。」
暫くするとキャスパーが戻ってきて、俺にこう告げた。
「今なら時間がとれるそうだ。案内しようか。」
「勝手に入っていいなら、俺らだけで行くよ。カウンターも混んできたしな。」
横のカウンターを見ると、町での依頼や薬草採集を終えた冒険者見習い達が戻ってきていた。こいつらは、これから読み書きの練習を行うため、午後の速い時間に上がってくるのだ。冒険者は自己責任を標榜しているため、見習い中にある程度の読み書きを出来るように冒険者ギルドで教育させているのだ。それでも、依頼掲示板を読むのがやっと、自分の名前を書くのがやっとという連中も多からずいるのが実情だが。
「ああ、頼む。よし、隣の受け中の奴の後ろに並んでいるの、こっちに来い。」
そう言うと、キャスパーは、受付に座り、自分の仕事を始めたので、それを尻目に俺達はギルド長の所へ向かった。
ノックをして、入室の許可を貰い中に入ると、コクランギルド長は、執務机から離れ、ソファーに向かいながら、挨拶してくれた。
「フィガス卿にレオ君、よく戻って来たね。さぁ、座りたまえ。」
俺達も挨拶をすると、ソファーに座った。相変わらずの座り心地の良さだ。そして、すぐに職員がお茶が運んで来て、お茶をテーブルに置くと出て行った。
「お待たせ、レオ、Cランクの冒険者証です。」
「ありがとう。こっちは、依頼の完了の報告証だ。」
「結構、無事完了したようだな。達成確認の代理のサインはフィガス卿でなく、騎士団長殿ですか。結構待遇が良かったようですね。」
報告書を確認して、問題がないのを確認すると受領担当欄にギルド長がサインした。
「ええ、レオのお陰でいろいろとことがスムーズに運びましたよ。」
「そうか、それはよかっです。ところで、レオ報酬は、依頼料が12万シリングで悪いがギルドの手数料1万2千シリング、金貨10枚と銀貨8枚になるが、全額手渡しでかまわないか?それと両替は必要か?」
「こっちには、あと魔石の代金もあるから、全額ギルド預かりにしておいてくれるか。」
「そうか、それもありましたね。では、そうしておきましょう。しかし、いい儲けになったようですね。はい、預かり明細です。」
「ああ、おかげさまでね。そっちは魔石の仲介料が入らないから悪いな。」
「なに構いませんよ。冒険者が領主の覚えが良くなれば、ギルドとしても後々うま味がありますからね。」
「それならいいのだけど。」
「あと、コクランギルド長、依頼にない案件が発生したので、それについて報告をしたいのですがよろしいでしょうか。」
「フィガス卿、報告と言うことは、それは解決はしているのですね?まぁ、聞かせて貰いましょう。」
それから、ルーチェが事の次第を話し、俺がそれを補足する形で報告を行った。
「そんなことがあったのですか。黄土色の爛れたような皮膚に8mもの巨体のワームですか、多分サンドワームですね。砂地の魔物でBランク相当パーティー2組以上で対応推奨の魔物ですよ。それをよく1人で予備知識なしでやりあえましたね。」
「あれがサンドワームだったのか。まぁ、向こうも不慣れな岩場での戦いだったので明らかに動きが悪かったしな。こちらはあの一帯体地形等の知識があったのでその差で対応できた。これが向こうの慣れたフィールドだったら、手も足も出ないで負けただろうな。」
「なんにせよ。ただのケイプクローラーだって、ギルド基準では、レオには重荷の相手だったんです、大したものですよ。それにダンジョンコアの入手とか。フィガス卿が一緒じゃなきゃ、俄かには信じられない話ですよ。でも、ダンジョンコアの扱いは、本当にそれでいいのですね。」
「ああ、何度も言っているが構わんよ。」
「安心してください。ラングラー侯爵も冒険者相手に無下に取り上げるようなことはしません。それ相応の物を褒美として渡すと話していました。」
「まぁ、レオ、不服があれば言ってください、ギルドも出来る範囲でですが動きますよ。」
「出来る範囲でですか?」
「ええ。」
コクランギルド長は、そう言ってにこやかに笑顔を作った。
そうして、今回の一件が終わり、退室しようとしたところ、俺は、ギルド長に呼び止められた。
「レオ、ちょっと時間をくれませんか。ちょっと別件で頼みたいことがあります。」
俺は、ルーチェを見る。ルーチェも目を合わせ、こう言ってきた。
「レオの家は確認している。何かあればこっちから使いを出すよ。では、お先に失礼するよ。」
「わかった。一応明日は家にいるつもりだ。それじゃ、また会おう。」
そう言って、俺は、ルーチェと別れると、またソファーに座りなおした。
「悪いですね引き留めて。」
「それで、どんな用だ?」
「実は、魔法・スキル習得所からの護衛依頼なのですが、男性職員を3人で護衛が依頼だったですが、今回は、予定していた男性職員が怪我をして、それで生憎手の空いている職員が女性職員だけだったので、女性職員の護衛になったのですよ。」
「それで、俺に声が掛かる理由が分からないのだがな。」
「まあ、最後まで聞いて下さい、それで女性の護衛を付けることになったのですが、これと言った人材が中々見つからなくてですね。」
「どうしても移動中、依頼主や別の商隊とかとトラブルが起こりやすいから、護衛の依頼を受ける女性冒険者は少ないか。」
「まぁ、何とか2人組のパーティーは確保したのですが、女性パーティーや混成のパーティーにばらして入ってもらうよう頼んだのですが、他のメンバーが休業状態になるので全部だめでしたた。そこで男性冒険者で、成人したて、Cランク、ソロで動いている。その上、貴族様の覚えもめでたい。女性2人にそんな男性が1人なら、向こうも承知してくれるだろうと考えましてね。どうでしょう?」
「今日明日とかのすぐ出立とかでなければ、先方と相方になるパーティーが良ければ構わないよ。」
「出立は、5日後です。先方等への了承は取っておきますので、詳細は決まりましたら、職員に説明に向かわせます。ギルドに登録している自宅か定宿に居ますよね?」
「ああ、自宅にいる。留守にしてたら、メモでも挟んでおいてくれれば顔を出すよ。」
「はい、では、お願いします。」
その日の夜、家にドアが叩かれた。ルーチェからか、ギルドからか、さてどちらからかと思いドアを開けると2人が立っていた。
1人はルーチェの従者グレゴリオ、もう1人は、ギルド職員のキャスパーだった。
用向き的に、キャスパーの話が早く終わるだろうと、思いグレゴリオに外で待ってもらうよう声を掛けようとすると、キャスパーは、手紙を差し出してこう言って来た。
「こっちは、これを渡したらすぐ帰る。返事は、3日以内にギルドの受付に、その手紙を持ってきてくれればいいとのことだ。では、しっかり、渡したからな。あと、兎も角Cランクに成ったそうだな。おめでとうさん。」
「わざわざありがとう。」
「なに、帰りがこっちだったのでついでだ。じゃぁな。」
そう言って、キャスパーは帰っていった。
「ギルドからでしたか?すみません。伺うのがかぶっちゃったみたいで。」
「それは、仕方ないさ。で、そちらの要件を聞こうか。狭いが入ってくれ。」
俺は、そう言って、手紙をポケットに仕舞い込み、グレゴリオをリビングに招き入れた。
ルーチェからの言付けは、領主様が明日の昼前に会いたいから、都合はいいかの確認だった。1日開けていたし、問題がないので了承することとした。それから、当日について、グレゴリオからレクチャーがあり、当日10時の鐘が鳴る頃、馬車で迎えを出すので、冒険者の恰好で構わないので待つよう指示され、その後の馬車を降りてからの対応、屋敷での動き等を指導して貰ったが、うまくできる自信がないのだが。
「まぁ、今回はこちらが招いてますので、よほどの失礼がなければ、許されますので気を楽にしてください。言葉遣いも普段通りで構いませんよ。では、明日も迎えに同行しますので、心配なら馬車で再度確認しましょう。」
「ああ、頼む。こう言ったことは経験がないからな。」
「そうでしょうね。私も領主様とは、面と向かって話したことはありませんからね。」
その後多少雑談をして、その日は別れた。




