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ゴブリン追跡部隊

私達は横たわる大木と隆起する大地が入り混じった一帯を迂回するために私達は獣道に入った。


馬達にとっては林道も獣道もさほど変わらずに動けるようで安心した。

しかし視界の悪さから、敵に狙われた時の危険性は増した。


私達は索敵しながら慎重に進んだ。


鳥の鳴き声と葉が揺れる音、馬の蹄の音が奏でる協奏曲以外は静寂なものであった。



突然レオは何か異変を察知したのか下馬をし、キョロキョロと辺りを見回した。

そして一本の木を見つけると

「ユウマこれみてみ?」


「なんだこれ?」

骨の欠片のような物が木に打ち付けられていた。


「これって、ゴブリンが巣の目印にするためにするマーキングじゃね? 」


「そうなの?」


「そうなのってユウマ授業で習ったよね? 」

イブが呆れて私を見た。


「覚えてない…… かな…… ハハハ」


「そういえばコイツ魔物習性学の時間殆ど寝てた気がする」

レオが思い出したように言った。


「勇者で各地を旅しなきゃいけないっていうのにアンタは…… 」

イブはハァとため息を吐いた。


「人間得手不得手があるんだよ。勇者は超人じゃないから」


「うわー説得力皆無の苦しい言い訳ー」


「それだけ人間離れしといて言うセリフとは思えないわね」

二人の私を見る目が痛い。


「ユウマ君が出来ないことを私達がサポートしたらいいじゃないですか! 仲間なんですから」

ね? と言ってミレーヌはにっこり笑った。


「ミレーヌちゃん、そうやって甘やかすのはダメなんだよ」


「そうそう、この甘えん坊さんはすぐ甘えるからね」

イブの視線が一層刺さった。


「イブはユウマ君の事よく理解してるんですね」

ミレーヌが悪戯に笑い、イブは赤面した。


「とにかく、これを辿れば巣に着けるってことだな」

私はこれ幸いと言わんばかりに、先に進もうとした。


「まてって。これがあるってことは近くにトラップが仕掛けられてるはずだから、それ掻い潜りながらじゃないと一瞬で囲まれてゲームオーバー。おわかり? 」


「ではどうするのだねレオ博士? 」

私はわざとらしく言った。


「幸いウチのパーティーには聖職者のミレーヌちゃんが居るし攻略は余裕なんだなこれが。

ミレーヌちゃん防御結界を範囲広めで張ってくれる? 」

そう言うとレオは私に火魔石二つを出すように言った。


受け取ったレオは小瓶に魔石を二つ入れ蓋をした。

ビー玉状の魔石がコロコロと小瓶を転がっている。


ミレーヌが防御結界を張り終えると、小瓶を振りながら歩き始めた。

二つの魔石がぶつかり合いカチカチと音が鳴り、ぶつかる度に火花が散る。


それに呼応するように結界が光る。

ゆっくり進んでいると、結界に触れた何かが燃えた。


「やっぱ結界だと楽でいいね。

もしミレーヌちゃん居なかったらイチイチ魔石砕いて歩き回らなきゃなんなかったわ」


「これどういう仕組みなの? 」

私はレオに聞いた。


「理論的なことは優等生に任せた」


「まったくアンタらは」

と言うとイブは説明してくれた。


「結界に流れる魔力に魔石の魔力を流し込むの。


魔石の種類によってはソナーになったり今みたいな自動解除に使えたりするのよ


複合魔法でいいって顔してるけど、それだと属性のバランスが大きく変わるからこういう繊細なことには向かないよ。


ユウマが雷撃で小魚しとめられないのと同じでね」

そう言うとクスリと笑った。


「そうそう。だから魔石同士をぶつけて出る少量の魔力が丁度いいってこと。

わかったかねユウマ君? 」

レオは得意げに言った。


「お、見えてきちゃじゃん。きっとあれだね」

レオは洞穴を指さした。


複数のゴブリンが洞穴の前をたむろしている。

どうやら正解のようだ。


「じゃ、攻略の仕方でも考えますか」

レオがそう言うと、私達の作戦会議が始まった。

面白かったらブクマ等お待ちしております。


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