逆襲のゴブリン
結局私はあれから一睡もできず朝を迎えてしまった。
あくびが止まらず頭が重い。
一足早くイブが目覚めてきた。
「寝れなかったの? 」
「ちょっとね」
座ってぼっとする私にイブが話しかけた。
「勇者としてのプレッシャーが今頃来たのかな?
大丈夫だよ。よしよし」
彼女は私の頭を胸に抱え頭を撫でた。
胸の鼓動と柔らかい温もりが私の緊張を解いた。
目を閉じ、しばらくその感触に身を任せた。
「あーっ!」
レオが大きくあくびをした。
その瞬間イブは私の顔を離した。
「おはよう。二人とも起きんの早くね? 」
「早くここを抜けたいしね」
「そうそう。出発する準備しなくちゃね」
イブと私はあわてて取り繕った。
レオはたしかにと言うと川へ顔を洗いに行った。
「ごめんね。もっとしてあげたかったけど今度ね」
「ちょっと寝れた。ありがと」
イブは私の額に軽くキスをし、また軽く頭を撫でたあとミレーヌを起こした。
ミレーヌはまだ寝たりないのか、眠そうにしている。
レオが川から戻ってきたので、お湯を沸かしお茶と保存パンを摂り、キャンプ地を出た。
まだ空は青みがかり太陽の光はようやく大地を照らそうという頃合いであった。
馬の歩みが揺り籠のように私を眠りに誘う。
頭が落ちた衝撃で目を覚まし、少しして頭をたれ始める。
その繰り返しに見かねたレオが
「寝れてないんか?
俺が先導するから寝てていいぞ。なんかあったら起こすから」
「悪い。甘える」
レオは先頭を行き、私とイブが追従した。
蹄の音を子守歌に私はとうとう居眠りした。
木々の間から差し込む陽の光がポカポカとして気持ちが良い。
突然蹄の音が止まった。
「おい!起きろ!また出たよ!」
私はレオの叫び声でハッと目を覚ました。
「ゴブリンの奴この前の復讐かしらないけど、結構な数だよ」
目の前には数多くのゴブリンの群れがあった。
ざっと見えるだけで500。
中にはキングゴブリンやゴブリンナイトといった上位種までまざっていた。
ゴブリンは仲間意識が強くこの前の仲間の復讐なのだろう。
「結構メンドクサイね」
「ミレーヌは私の後ろに居てね」
「防御結界で皆さんをサポートします」
三人は戦闘態勢に入っていた。
眠りを妨げられた私はイラついていた。
「ちょっと三人とも下がってて。俺一人でやるから」
私がそう言うとイブとレオは黙って下がった。
「無茶ですよこんな数! 」
ミレーヌは心配そうに私を見た。
「大丈夫。危ないから下がってな」
レオがミレーヌを制止した。
「岩竜牙」
私が唱えると、地面が隆起しゴブリン達を次々と串刺しにしていく。
地形が歪み木々が倒れ、逃げようとするゴブリンに襲い掛かる。
ものの30秒ほどで森は血塗られ、林道は崩壊した。
「ちょっと! これじゃ通れないじゃない! どうすんのよ! 」
イブが私に抗議した。
「いや、わざとじゃないんだよ? 迂回するついでにこの際ゴブリンの巣穴つぶしちゃおうよ。
うん。そう思ってさ、だから事故だよ事故」
私はイブの威圧に耐え切れず目をそらしてごまかした。
「うちの勇者様は魔王並みの破壊力で環境を破壊していくよねー」
レオも嫌味を放った。
「ユウマ君…… すごすぎます」
「もうちょっと後先考えてやってくれると、もっと凄いんだけどねー」
レオは嫌味ったらしく続けた。
「考えてるし。迷惑なゴブリン殲滅しようとしただけだし」
「へー」
レオとイブは私を訝し気に見た。
ブックマーク、感想、レビュー等頂けましたら幸いです。
これからも応援よろしくお願いします。




