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インパ出国

日が昇るころには私達は元来た国境にたどり着いた。

出国の手続きをする。


出入国の審査書類が通る間気が気ではなかった。


15分ほど経って出国の許可が出た。

ミレーヌは無事出国できたことにホッとしていたようだ。


「ここから1日かけて林道を抜けるから、今晩は野宿になるよ」


「お外で皆で寝るだなんてワクワクします! 」

ミレーヌは目を輝かせていた。


「うーん…… そんな楽しみにするようなもんでも無いわよ? 」


「えー私、こういう事初めてだしすごく楽しいです! 」

初めての経験でミレーヌはハイテンションだ。


自由に外に出ることも許されず、友人を作る機会さえ無かった彼女にとっては全てが新鮮なのだろう。

目に映るもの全てに興味を示している。


「浮かれていられるのも今の内だけよ」



「ごめんなさい。でも、こうして皆と旅出来ることがうれしくって」


「仕方ないわね」

イブはフッと笑った。


私とレオも微笑ましい光景につられて口元を緩めた。


「危険な旅だけど、楽しい旅にしなきゃな」


「そうだな」

私はレオに同意した。


レオは思い出したように口を開いた。

「化け物の肉塊があったところってここじゃなかったっけ?」

ヒュドーラの肉塊は森の動物にすっかり食べられて無くなっていた。


微かに血だまりの痕だろうか?

木の根元が黒くくすんでいる箇所があった。


私はあの二人の精霊のことを思い出した。

契約をしたが、教えてもらった精霊術は不発に終わった。


あれからまったく私の前に現れない。

なにやら騙されたようである。


まぁ、私は何も戦闘していないのだから被害という被害は受けていないのだが。


そんな事を考えていると小川にたどり着いた。

時間は夕方手前と言ったところであった。


日こそ傾いていないが、これ以上進んでもキャンプを出来るような場所の確保は困難なため、来た時と同じ場所でキャンプをすることにした。


最初にキャンプした時は既に暗くて見えていなかったが、川魚がたくさん泳いでいるではないか。


「イブ!この川に一番小さい電撃魔法撃ってよ」

私はそう言うと、魔石の入ったコブクロから雷魔石を投げて渡した。


「なんでよ? 」


「いいから」


「もう、なんなのよ」

とぶつくさ言いながらイブは杖に装着されている魔石を交換した。


「自分でやればいいじゃない」


「俺がやったら強すぎて川の生き物全滅しちゃうから! 

魚が気絶する程度の小さいので頼むねー! 」

私がそう言うとイブは電撃魔法を最小の威力になるよう唱えた。


すると魚が気絶してぷかぷか浮いてきた。


私はレオを従え川に入り川魚を集めた。

30cmほどの川魚が二人で20匹も取れた。


ちょうど良さそうな小枝を拾い、小川で洗い川魚を刺して起こしていた火で焼く。

よく脂がのり強い旨味、そしてふわふわの触感に四人は夢中で平らげた。


「こんな美味しい物初めて食べました」

ミレーヌは満足そうな顔をしている。


私は笑って

「キャンプで毎回こんな美味しい物たべれないけどね。

今日はたまたま」

と言うと、レオとイブも頷いた。

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