模造魔女(デミ・ウィッチ)<楽園編18話>
村スライム様の正解リクエストで、超速で上げました(疲弊)。
問題のアナグラムに正解した方には、何かしらのリクエストをする権利を差し上げます(まだ曖昧)。正解しても特にリクエストを思いつかない場合は、能力名とかアイテムとか、もっと大雑把なものでもOKです。
今は、「豊文光一」を正解したヨンヒイ様のリクエストにこたえるべく頑張ってます。(実現するかかなり微妙なので、正確な内容は伏せます)
黒い封筒。夜への招待状。御祝七瀬が生涯忘れることのできないものだった。これを契機に、5月1日に招待されることになったのだ。
「どーしたの?」
妹が不思議そうな顔をしている。ヴァルプルギスナハトの果てに生まれた御祝優雅は、「言語など、大抵の子どもが持つ一般常識」を得る引き換えに、すべての記憶を失っていた。
「い、いや、なんでもないよ」
七瀬はさりげなく、黒い手紙を新聞で隠した。妹を、これ以上怪異に巻き込みたくなかった。
「ちょっと調べ物があるから、先に行ってて」
すぐには、手紙は開けず、優雅を促した。
「? はあい、いってきまーす」
妹は疑うことなく、支度をして学校に行く。見届けた兄は、まずはコーヒーを飲んで気を落ちつけようとした。焦燥が大敵であることは、あの夜に嫌というほど学んだことの1つである。
おもむろに、封筒を開けた。中には紙片が1枚。
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“模造魔女たちが目覚める。白と赤に助力を”
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とだけ書かれていた。
「模造、魔女。作り物の、魔女……?」
七瀬は首を傾げる。続けて頭を乱暴に左右に振った。
「ええい、神様ってのはなんでこんな判じ物が好きなんだ」
言いながらも、せっかく下されたご託宣を読み解こうとする。最初の単語からして不可解だった。七瀬が不承不承ながらも探し出そうとしているのは、「魔女」であって、「模造魔女」とやらではない。
「まあみんな、修行とかしたわけじゃなくて、魔法押し付けて魔女の完成、だったんから、急造魔女とか即席魔女とは言えるだろうけど」
それでも「模造」ではない。魔法を失い、魔女でなくなった少年は考える。
だが、神がその言葉を使用したのは、今回が初めてである。よって、傾向も対策もあり得ない。誘導されない思量は、やがて空回りを始める。冷静さを装ってもその実、焦っていたのだった。
「ダメだ。ヒントどころか、悩みが悪化しそうだ。家の鍵を探してる時に、他人のクレジットカードを見つけた気分だ」
妙なたとえを持ち出す。仕方がないので、心の片隅につっこんで、当面考えないようにした。
この時、七瀬は黒紙によって、迷宮を抜け出るための「綱」を手にしていた。「模造」は、「急造」や「即席」とは訳合において天地の開きがある。七瀬は、「模造という語の言意を諒解する」という、基礎的な作業を怠った。
なぜなら、それよりも遥かに気遣わしい後続の文言によって、推考する余地を失っていたからだった。
「白と赤……」
無意識に、妹が出て行った後の玄関を見やる。
白と赤。連想するのは、2人しかいない。
だが、一方は既にいない。それどころかもう一方は、塵界にいるかどうかすら疑わしい。以前あれほど身近に感じていた赤の気配は、ここ数ヶ月全く感じ取れなくなっていた。
文章は省略が多すぎた。文脈から白と赤に助力を「求めろ」と続くのだろう。七瀬には方法が分からない。分かったところで、助けを求めるつもりはない。
譬え、神の命令であったとしても。
「巻き込んでたまるか……」
“白”が関係するならば、御祝優雅も巻き込んでしまう可能性が高い。それだけは、断じて避けたかった。
夜宴を生き延びた七瀬には、あることに対する憎悪のようなものが形成されていた。
それは、「他人の命を、自分の都合で賭ける」こと。御祝七瀬や福主優雅を囮に助かろうとした四ツ角望夢がそうであり、僧都琴音を踏み台にした林道駿介がそうであり、そして、四ツ角や林道を食い物にした石の花嫁がそうであった。
命に対して誠実であったのは、まさしく“白”と“赤”だけであった。
故に、この強迫観念は根深い。相手が人間でないこと、自分に力が無いことは、これを踏み倒す免罪符には値しない。
2人に会いたい。血を吐くほどに思う。だがそれは、断じて「背負わせる」ためにではない。
今でも懊悩するときがある。「もっと彼女たちが救われる未来が、あったのではないか」と。
「……だめだだめだ、過去を悔やんでどうする。未来に怯えてどうする。何も解決しないじゃないか。今に集中するんだ」
腰に巻いたウェストバッグに触れる。気力が萎えた時は、願いを叶えなかったこの空のバッグを見て、奮い立つようにしてきた。
七瀬は、「義務」が「強制」に変わったことに、負担を感じた。それでもユウガと「御祝優雅」のことで恩義がある以上、無下に断ることはできない。
どうにか弱気の虫を追い出した。前は頼りになる相棒がいた。背中を押してくれる親友がいた。
孤独であることが、七瀬から余裕を奪っていた。
解答9:「豊文光一のアナグラムはなんでしょう? ほうむんこういち⇒ちほうこうむいん⇒地方公務員、でした。ヨンヒイ様が正解しました。
デミナンディが大好きです。分かる方は、私とトーキョーミレニアムで乾杯しましょう。




