セトルメンツの番人
彼らはそこを「永遠の楽園」と呼び、独自の街を形成していた。ー夢想家 シャルビーク 「永遠の楽園」
第2話 セトルメンツの番人
「某の名はクラシスでございます。……兄でございます」と男は名乗った。
「え?」 今何て…
「この街の番人であります。」いや…それより兄ってまさか…僕の?確か兄弟はいないはず…
「ルーク・デグリット・サーム殿」なっ…‥なんだって!?デグリット・サームって俺の事??
「我の守りし街、セトルメンツへようこそ」
「あ…はい!よろしくお願いします。」色々さっぱり分からないが…
「これって成人の儀式ですよね?えーとクラシスさん?」
「ん?」
「あ いやなんでもありません。」違うのか…じゃあ一体何故ここに来たのだろう?
「それより、僕は帰れるのでしょうか?」
「帰る?どこに帰られるのでしょうか?」えっ……まさかとは思うが、帰れなかったりはしないよな?
「そういや、なんでクラシスさんは敬語なのですか?」
「ルーク様?何をおっしゃいます。あなた様は1500年間続く王室の正統な血筋であられると聞き及んでおります。敬語など当然のこと。本来ならばひれ伏すべきでありますが、この巨体ではいささか不自由でありますゆえ。ご無礼をお許しください」 ………うん、初耳です。王族だと!!!!
「そ、そうか。わ、わざわざすまなかったな。じゃあ、ぼ、僕の両親がいたりするのかな?」
すると、クラシスは斜め下、すなわちルークの頭上辺りを見ながら、申し訳なさそうに
「分かりかねます。ただ、15年前1度外界へ出て、その後直ぐに焦った様子で戻ってこられましたが…
それ以来、連絡はついていません。」そう言うと、あっと声を上げ小さな建物の中へと入っていった。
その建物は事務所というより、駐屯所といった感じでルークの村で例えるならば、道具小屋といったところだろうか。ふと、下を見下ろすと巨大な街がそこにはあった。
「なっ、何ー!!浮いてる!!?」そうだ、今まで気付かなかったが今自分のいるここは雲の上。一体どうやったら浮くことが可能になるのか…まさか魔法!? もしかすると、自分はとんでもない所に来てしまったのではないだろうか。大体、門に吸い込まれる時点でおかしいと思うべきだった。
ルークは吸い込まれる瞬間のことを思い出していた。あの時確かー聞こえたのは悲鳴とー
「やっぱりそうだったのか!!!!」というお頭の大声。
ん?待てよ。お頭は僕より前に門の中に入ったはず。ならクラシスが知っているはずだよな。後で聞いてみるか。
「ルーク殿。お持ちしました。」ああ、お茶ね。心遣い感謝するぜ。と後ろを見ずに手を伸ばすが、何も渡されない。
「えっ?」と言いつつ後ろを振り返った先には、何故か刀を持ったクラシスの姿があった。
刀は妖刀と呼ぶにふさわしい、いかにも、という感じである。刀柄には黄金の蛇が毒々しく描かれている。
「ご両親より、お預かりしておりました。15年後、息子がこちらへ戻ってきた時に渡せと」
………………………………両親は僕がここに来ることを知っていた…?




