シーガイル到着。そして…
トラディアルを出発して3日目、ホム達は海辺の街シーガイルに到着した。
「おや、お嬢ちゃん達だけかい?」
「うん、こう見えても学園の生徒だし、冒険者なんだよ」
門番のおっさんがホム達を見て、問いかけるのに無い胸をそらせて答えるホム。苦笑いしたおっさんが手続きを進める間にも世間話は続く。
「そうかい、優秀なんだな。だが、最近人攫いが出てるらしいから気をつけてな」
「人攫い?」
「ああ、主に子供を狙った人攫いさ。ここの憲兵達も頑張ってるんだが、なかなか捕まえる事ができないらしい」
「そうなんだ、気をつけるね」
「ああ、気をつけてな。ようこそ、シーガイルへ!」
手続きが終了し、街中に入っていくホムとクリス。まだ午前中と時間も早いため、宿をとる必要は感じなかった2人が行く場所は決まっていた。
「ここがシーガイルの冒険者ギルドかぁ。トラディアルとあんまり変わらないね」
「うん、依頼の数はこっちの方が多いらしいけど」
2人は道中殲滅した魔物の素材を売却を行うため、冒険者ギルドに来ていた。ハ〇エースはホムのインベントリに突っ込んでいるので、街中であまり注目されることはなかった。
「すいません、素材の売却ってここでいいですか?」
「あら、かわいい冒険者さんね。売却はここでいいわよ」
「ホムちゃん、ここだと…」
「あっ、ちょっと量が多いんですけど、解体所に行った方がいいかも」
何といっても機関銃やミサイルでウルフの群れやワイバーンを殲滅してきている。受付のカウンターには乗り切れないのは明白だった。
だが、受付嬢はそんなことは知らない。知らない以上こう答えるのは当然だった。
「と言っても、素材はどこにあるんですか?できればここに出していただきたいのですが」
「ですよねー」
仕方ないので、ホムはインベントリからまずウルフの魔石を10個ずつ取り出してカウンターに載せていった。
「えーっと、これは?」
「道中狩ったウルフの魔石です。まだまだいっぱいありますし、他の魔物の素材もありますが」
「ちょ、ちょっと待ってください!解体所に案内しますから!」
魔石の量に慌てた受付嬢が解体所に案内する。ホムとクリスはインベントリからウルフの魔石を120個全て取り出し、山積みにした。あとはワイバーンだ。
「えと、あとちょっとそこの場所を空けてもらえますか?」
「はい、少しお待ちください。これくらいですか?」
「ありがとうございます。これで最後です」
ワイバーンをインベントリから取り出し、空けてもらった場所に置く。解体所にいる職員と受付嬢の動きが止まる。
「ワイバーン。それもかなりの大きさの割りに傷が随分と少ない…」
「はい、気をつけましたから」
近接信管のおかげとは流石に言えないホムだった。
売却を済ませた2人は、今度はシーガイルで受ける依頼を探していた。休暇のために来たとはいえ、やはり依頼を受けたいのだ。
だが、クリスに大きな弱点があることが判明してしまう。
「クリス、泳げないの?」
「うん…」
クリスは泳げなかった。
どうやら山育ちのクリスは泳ぐ訓練をあまりすることができなかったらしい。おまけに川が増水して泳ぐのに適さない日が例年より多かったのだそうだ。でも、泳ぐことに興味はあるので、遊びながら訓練をするつもりだったようだった。
「なら、陸上でできる依頼だね。ここは10級でも街中以外の依頼がいくつから受けられるみたいだから、そこから探そうか」
「そうだね。ありがとう、ホムちゃん」
という訳で、選んだのは「洞窟の調査」依頼だった。海岸沿いの岩場に洞窟が見つかり、そこの調査をして欲しいのだそうだ。魔物の気配はほぼ無いのだが、結構分岐が多いので地図を作るのが主目的らしい。
「それじゃ、行ってきまーす」
「はい、いってらっしゃい」
受付嬢さんに挨拶して岩場に向かう2人。冒険者ギルドを出た2人の後を数人の人影がつけてることには気づいていなかった。
「あ、気配探知を忘れてたよ。どうかな、と」
ホムが気配探知を行うと、案の定後ろに5人の追跡者がいることが判明した。だが、ここで大声を出したり気づいた事を知らせるのは悪手だと思い、小声でクリスにも教える。最初にびっくりしたりしないよう注意したおかげもあって、クリスも一見普段通りに見えるよう注意しながらも驚いていた。
(そういえば、最近子供を攫って行く悪い人がいるって門番に聞いたなぁ)
門番のおっさんの言葉を思い出しながら、ホムは気配探知を常時展開しておくことにして、洞窟に入ることにした。地図を作成するための道具は学園の授業で使っているノートと筆記具だ。
「ライト」
洞窟は灯りがなく暗いため、ホムはライトの魔法を使って周囲を照らす。マッピングはクリスが行う事にしているが、気配探知のおかげで洞窟内のほぼ全てがわかってしまっていた。
「ここは左右に分かれてるね。まずは右から行ってみようか」
「うん、それじゃメモしておくね」
ノートに書き込んでいるクリスと、右側の分岐に集中している(ように見える)ホムを見た追跡者達が、チャンスとばかりに全員で襲い掛かろうとする。襲撃は予測したものの、まさか全員で来るとは思わなかったホムだが、準備は万端である。
「よいしょっと」
取り出したのは手持ちのガトリングガンである。アメリカはテキサス州のエンプティ・シェル社が作った「XM556」というガトリングガンを模したホムのガトリングガンは、当然殺傷能力はだいぶなくしてあるが、手足くらいは軽く骨折できるくらいの威力を発揮する。そして1分間に4000発が発射可能という優れモノだ。
前世ではミリタリーオタクだったホムは、錬金術で車だけでなく様々な兵器も作り上げていたのだった。
「ファイヤー!」
ホムがガトリングガンを一掃すると、5人の襲撃者は全員その威力の前に成すすべもなく倒れ込むのだった。
「んー、ちょっと過剰攻撃だったかな」
「そうだね」
次はもっと敵が多い時に使うことにしようと決めてインベントリに放り込むと、うずくまっている襲撃者達をロープで縛り上げる。ちなみに、このロープはワイヤーを仕込んでいるので、通常の刃物では簡単に切ることはできないのだ。
「さて、それじゃごうも…尋問の時間だね」
「ホムちゃん、拷問って言いそうになった」
「尋問です」
5人の中で一番被害が少ない男にホムは近づくのだった。
ホムはミニタリーマニアですが、作者はマニアではないので、銃火器についてのツッコミにはお答えできません。
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