新米とカイト
いつものように仕事をこなしつつ自由な生活を送るアフィ。
ヘインやカイトなどは相変わらずのようでもある。
騎士団は盗賊団の調査に当たっているようで、少しピリピリしている。
そんな中アフィは意外なな場面に遭遇する。
「ん、んー…今日もいい天気だねぇ」
「アフィはもう少し真面目になった方が」
「失礼な、昔よりはまともになったのに」
すると広場の方から怒号が聞こえてくる。
何やら揉め事のようだが。
「おい!弱いくせに、俺とやろうってか!」
「新米なんだから弱くて当然…」
「あ?声が小さくて聞こえねぇよ!」
「何して…」
「そこまでですよ」
アフィが仲裁に入ろうとしたところにカイトが出てくる。
アフィも止めようとするが、カイトがそれを制止する。
「てめぇ、カイトか、なんだよ、こっちは…」
「そうですか、それであんたはその人より強いんですか?」
「あ?たりめーだろ!」
「えっと…」
「僕からしたらそんな新米相手にイキってるあんたの方がずっと弱いと思いますよ」
カイトの挑発は相変わらずの煽り全開である。
その新米冒険者も少しおどおどしている。
それでも先輩冒険者は引く様子がない。
「ならてめぇはこのチビより偉いってのかよ!」
「そうですね、彼はあんたよりずっと努力してますよ、違いますか?」
「なんでそれを…」
「ならなんだ!俺がこいつより弱い証明になるのかよ!」
「はぁ、僕はですね、真面目に努力してる奴をバカにする奴が大嫌いなんだよ!」
カイトの顔が鬼のような形相に変わる。
それに先輩冒険者も驚きを隠せない。
「な、なんだよ…俺は悪く…」
「あんたはこいつに説教出来るほど偉いのか?それとも勝てないから潰すつもりか?」
「こ、こいつやべぇ…このままじゃ潰される…」
「さっさと失せろ!この下郎が!」
「覚えてやがれ!てめぇの評判なら簡単に潰せるんだからな!」
先輩冒険者は捨て台詞を吐いて逃げていった。
とはいえカイトは評判はそれこそ最悪で、恨みを買っている人も多い。
そのうち集団で襲われそうな感じはある。
それはさておきカイトは新米冒険者に声を掛ける。
「大丈夫ですか?」
「あ、はい…」
「カイトかっこいいじゃん、見直したよ」
「アフィにシエスタですか、恥ずかしいところを見られてしまいましたね」
「そんな事はないです、立派でしたよ」
それはさておきカイトは彼の事を知っているようで。
それについても話してくれた。
「あんた、街外れでよく剣を振ってますよね?この前偶然見かけて応援してたんです」
「そうだったんですか、カイトさんみたいな凄い人に応援されるなんて」
「そういえばキミの名前は?」
「えっと、ロイド…」
「ロイドさんですね、よろしくお願いします」
そんなロイドは駆け出しの冒険者。
田舎の実家に少しでもお金を入れようと冒険者になったという。
とはいえまだまだ駆け出しで大したお金は稼げない。
だが夢は大きくという事らしい。
「あ、あのっ、カイトさん…僕を弟子にしてくれませんか!」
「弟子ですか、僕みたいな悪評まみれの人の弟子なんてやめた方がいいですよ」
「で、でもカイトさんは僕の事を庇ってくれました、本当に悪い人なんですか」
「カイトの悪評は他の冒険者を散々ボコボコにしてるからなんですよ」
「それも盛大に煽り倒してね」
それでもロイドは引く様子はない。
カイトは少し考えて条件を出す。
「僕はそれこそたくさんの人に恨みを買ってる、危険を承知ならいいですよ」
「は、はい!それでもいいです!よろしくお願いします!」
「まさかカイトに弟子が出来るとは、でもあたしの知ってるカイトはこういう人だよ」
「買い被りすぎです、僕はそれこそ歪んでますからね」
「それでもどこかいい人オーラがありますよね」
なんにしても思わぬ事になったようだ。
カイトの弟子になった新米冒険者のロイド。
とはいえこのまま他の冒険者が黙っているわけもなく。
アフィも何もないといいとだけは思っていた。




