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エルメナの噂

今日も今日とて仕事を終えて自由にしているアフィ。

そんな中街には以前から噂されている話がある。

それはエルメナの剣の事と、その親の事。

聖騎士団ではその噂を密かに追っているとも言われている。


「ん、んー…やっぱり休んでる時が一番幸せだね」


「ですがそんな事では太りますよ」


「あたしはきちんと運動してるからいいの」


今日は珍しく旦那様と一緒に日向ぼっこをしている。


すると広場で探偵らしき男と話しているアクルスの姿を見つける。


「そうですか、やはり行方知れずのまま…」


「こっちも出してもらっただけは働いてます、それでも何も掴めずに」


「いや、いい、国からの依頼なのだから気にするな」


「調査は引き続き継続します、国からの仕事なら弾みますしね、そいじゃ」


何やら探偵とやり取りをしている様子。

広場で取引しているという事は聞かれても平気な依頼なのか。


少し気になったアフィはアクルスに声を掛ける。


「アクルス、何してんの」


「アフィか、それにメルクも」


「あの方は探偵ですよね?探偵にこんな広場で依頼ですか?」


「…アフィとメルクは聖騎士団の隊長の噂は知ってるわよね」


聖騎士団の隊長、それはこの街の人間なら知らない人はいない噂だ。


今から20年と少し前の話、剣聖に最も近いと言われていた聖騎士団の隊長がいた。

だが彼はある日突然健康そのものにも関わらず突然辞職している。


当時の健康診断でも彼は健康体そのものと言われていた。


そんな彼がある日突然騎士を辞め、そのまま音信不通になった。


隠居かとも言われるが行方は知られていない。


だがそれからしてその隊長と同じ剣を使う女性がいると噂になった。

それがエルメナであり、彼女はその隊長の娘ではないかと噂され始めた。


真偽は分からず噂として街どころか国にまで広まっているのだ。


「…二人は年齢的にも隊長の噂ぐらいは知ってるでしょ」


「ええ、私も噂は聞いています、聖騎士団の隊長が謎の失踪をしたという」


「それでその隊長と同じ軒をエルメナが使ってた、だよね?仕事で見た事がある」


「そう、あれから隊長は行方知れずで情報すら出なくなったの」


謎の失踪とエルメナの剣技、それは隊長と結びつける何かなのだろうか。


国も最初は人材を失った事を悩む程度だった。

だが突然現れた同じ剣を使う女性。


その存在知った時から国は本腰を上げて隊長を探し始めた。


国の依頼ともなれば探偵も動かざるを得ない。


報酬も高額になるため美味しい話でもあるのだ。


「彼女の使う剣は隊長のそれそのものだ、だからこそ国は動いた」


「うーん、もし本当に娘ならその隊長は結婚した…とかだよね?」


「ですが隊長は人間です、そしてエルメナには獣の耳と尻尾がある」


「そう、つまり彼女は人と亜人の混血という事になるでしょうね」


エルメナはその特徴からも亜人ではないかと言われている。

だがそれが実子なのか養子なのかは分からないままらしい。


それでも隊長はそのエルメナに剣を教えた、それは確定だと見ているらしい。


「そもそも人と亜人に限らず異種族が交わる事は危険なのだという事よね」


「それあたしも知ってる、体が弱くなったり凄い強い力を持ってたりだよね」


「異種族と交わり生まれた子には両方の特徴が色濃く出ます、強さも弱さも含め」


「だから実子にしても養子にしても隊長に関係してるのは確かだと踏んでるのよ」


「噂に過ぎないけど、話と時期が一致するんたよね、だからよけいに」


「少なくとも無関係ではない、それは確実だと僕も思います」


その隊長の話は噂に過ぎないのも確かだ。

とはいえその時期が見事に一致している事がその信憑性を高めている。


混血児か、それとも養子か。


エルメナが山奥で暮らしているという事も、何かを隠しているのではないかと思わせる。


「なんにせよ、国は噂の真相を追いかけてる、あなた達も何か聞いたら一応教えてね」


「エルメナの噂、どう思う?旦那様」


「一致する部分の多さがそれを際立たせていますね、彼女の秘密は深いと思います」


そんなエルメナの噂。

それは街の人なら誰もが知っている噂。


国がその行方を追うかつての隊長。


そこには何があるのだろうか。

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