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永遠に紅い幼き月

魔理沙から紅魔館に住み込みで特訓を行うという衝撃の事実を知らされた後、気が付けば僕は紅魔館の門に立っており、その次の瞬間には当主、レミリア・スカーレットに挨拶するため、紅魔館の廊下を歩いていた。

隣には魔理沙がいたが、さっきから余り喋っていなかった。

まぁ、今はこの急展開に付いていけていないのもあって喋りたいとは思えないので、有難いといえば有難かった。

数分ほど歩き、幾つもの角を曲がった後、僕たちはレミリアのいる部屋の前に着いた。

前を歩いていた妖精メイドがとても大きな扉を三度ほどノックした。


「入りなさい。」


中から声がすると、妖精は静かにドアノブを回し、丁寧な動作でドアを開けた。

そのまま妖精は部屋の中に入り、僕たちもそれに従った。

その部屋では、青紫の髪をした幼女が気取った様子で王座とも呼べる立派な椅子に座っていた。


「連れてまいりました。」


「ご苦労。もう下がっていいわよ。」


「はい。」


妖精は一礼するとそのままドアから出て行った。


「初めまして、かしら。この前は会えなかったものね。」


「……はい。」


彼女の前にいると何故かあがってしまい、はいと言うのに数秒掛かってしまった。

それに気づいたのか、レミリアはクスリと笑うと、


「緊張しなくていいのよ。何も食べたりするんじゃないんだから。」


と言った。

しかし、それでも緊張は収まらず、心臓は相変わらず激しく脈打っていた。

すると、今度は魔理沙が話し出した。


「まぁ、緊張するのも仕方ないだろう。それにしても良かったな。」


レミリアがきょとんとする。


「何がかしら。」


「重信にはレミリアの”カリスマ”がしっかりと伝わってるぜ。」


「なっ……。」


レミリアの頬が少しだけ赤みを帯びる。


「どういうことだ?」


「実はな、レミリアのやつ自分ではカリスマが凄くある、尊敬されるべき者だって思ってるらしいんだが、周りのやつらは全く……。」


「ちょっと待ちなさい!」


そこでレミリアがストップをかけた。

その顔は、今や真っ赤になっていた。

まさに永遠に紅い幼き月である。


「なんだよ。」


「魔理沙、前に余計なことは言わないでって言ったわよね。」


「言った。」


「じゃあ言わないでよ!折角この子に私への良い第一印象を持たせれていたのに。」


「しょうがないじゃないか。余計なことだとは思わなかったんだからさ。」


魔理沙が可笑しそうに笑った。

レミリアは口をつむってプルプルと震えている。

確かに今のような状態ではカリスマのかけらもないが、可愛さなら十分に備えていると思う。


「で、何の用なのよ。」


顔を赤くしたまま、少し機嫌が悪い様子でレミリアが言った。


「あぁ、そうだった。今日は少しお願いがあって来たんだ。」


「何かしら。」


「重信を紅魔館に住み込みで鍛えてほしいんだ。」


そんなことを急に頼んでもすんなりOKしてくれるはずがないだろうに、


「良いわよ。」


「そりゃ良かった。」


「ちょ、ちょっと待ってください。」


「あら、どうしたの?」


「そんなにあっさり了承してしまっても良いものなんですか?」


「えぇ。私には、何を頼まれるか大体わかっていたもの。」


「何故です。」


「魔理沙、この子に私の能力のこと、教えてなかったの?」


ここで突然レミリアの注意は魔理沙に向けられた。


「ん?あぁ、教えてないぜ。」


魔理沙の答えが妙に清々しい。


「私の能力くらい教えときなさいよね。」


レミリアが溜め息交じりに話す。


「で、どんな能力なんです。」


「私の能力はね、運命を操る程度の能力、て言われてるわ。」


「運命を操る?」


「まぁ、実際は他人と接触すると、その人の運命が幾らか変わったり変わらなかったりする、ていう感じだがな。意識的に変えることは出来ないぜ。」


また魔理沙が横から入ってきた。


「ちょっと魔理沙!私のセリフ取らないでよね!」


そして、またレミリアが怒った。


「あの、続きを……。」


僕が声をかけると、レミリアは気を取り直して話し始めた。


「まぁ、そういう能力があるから、たまに運命が見えたりするの。それで何を頼まれるかが分かったのよ。」


「僕たちが来る前にですか?」


「貴方たちが来る前に。」


運命を操り、同時に幾らか知ることもできる能力。

恐らく彼女は幻想郷内でも屈指の実力者なのだろう。


「じゃあ、これで良いわね。貴方は住み込みで特訓するんだから、先に部屋に案内させるわ。」


「はい。有難うございます。」


レミリアが横のテーブルに置いてあった鈴を軽く鳴らすと、少し遅れて後ろのドアが開き、さっきの妖精メイドが入ってきた。


「お呼びですか。」


「その子を二階のゲストルームに案内してあげなさい。」


「かしこまりました。では、こちらへ。」


僕はレミリアに礼をし、妖精の後に付いて行った。


「じゃあ、またな。」


魔理沙もレミリアに挨拶し、部屋から出てきた。

その数分後、僕は一人で部屋の中にいた。

この前京大のオープンセミナーなるものがあったので行ってきました。

講義の内容もとても面白かったのですが、一番の収穫は帰りに立ち寄った古本屋さんで「童夢」を買えたことです。

状態もとてもよく、帯もついており、しかも初版という、とても良い買い物ができました。


今回でようやく紅魔館までこれたので、次回からは特訓が始まると思います。

多分。

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