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(人とのつながり & 迎えの朝)

最終話の二回分で、少し長文です。


最初は『リサ視点』ですが、途中で日付が変わり『マギー視点』に変わります。

 『Moon暦725年11月27日(日)』


 私がそう思い電源を切ると、待っていましたと言わんばかりに右手に持っていたテリングが鳴り響いたのだ。


「はい。リサです」

「ミランダよ。ジェフと話してたの?」

「あっ、はい」

「私の方が出遅れたわね。コメントが長かったからね」

「申し訳ありません。気合いを入れて写真も投稿しましたから長くなりました」

「おめでとう。今回は大成功だったみたいね。入り口の発券機とかボードはレンタルなの?」

「いえ、個々のレジスターもすべて買いました。パーコンで管理するようになってます。こちらの時間の節約になると思い買いました」

「なるほど、そうすると資金は相当にかかったのね」

 と、彼女がそう言ったけど、まだその金額は計算していないし、個々の金額も聞いていない。資金は充分に入っていると思うので、口座から引き落としをするように暗証番号をリーザに教えていたけど、私はリーザに任せきりでも心配はしていなかった。


「……はい。まだ合計はしてないですが『C&D Shop』の口座から引き落としました。これからのイベントで元金以上に振り込みがあればこちらの利益ということになります。リンダと私の生活費も受け取るので……すべてその口座で運営しようと思います」

 と、前にも口座のことは話したけど、別口に作った口座のことをそう説明する。


「それはいいことね。私は契約通りの金額を支払ってもらえればいいことだからね」

「ありがとうございます。ほんとうに助かります」

「ジェフが見に行ったと話したの?」

「はい。変装して見にきたと言われました」

「なるほど、私も髪型を変えて眼鏡をして行ったのよ。土曜日のランチの後に行ったのよね。十四時ごろだったかしらね。真ん中の時間帯には彼女たちの本来の歌も聞けると思ったからね。子供たちも喜んでいたじゃないの、サンドラは話しが上手なのね。子供を上手に引き込むことができることはいいことね」

「はい。私もそう思いました。火曜日と水曜日は無料でイベントをやりますが、学校とかサークルとか子供たち主体のイベントをやりたいです。次回のコメントに参加者の募集のことを書こうと思います」

「将来の子供たちのために夢を叶えてあげてよ。時代は繰り返すからね。私やジェフの時代が終わればね、今度はリサやリンダの時代が来るのよ。その次には今の十代前後の子供たちが引き継いでくれるのよね。シティーの将来は人間の手でよくも悪くもなる。そういう人たちでいい方に向けたいじゃないの?」

「ガーフィルさんはそういうことを考えていたのですか。申し訳ありません。テリングを切らしていただきます。こちらからかけ直します。よろしいですか」

「えっ? 何で、私が変なことを言ったのから?」 

「いえ、そういうことはありません。切ります」

 と、私はそう言っておもむろに切り、リーザに連絡して会話の削除をお願いしようと思ったのだ。


     ★ ☆ ★


「はい」

「リサです。先ほどは大変失礼しました」

「ビックリした。急にどうしちゃったのよ」

「すみません。ガーフィルさんは上の世界ことをご存じですか」

「えっ、どういう意味?」

「私は五艘の巨大艦隊のことを話してます」

「えっ、なぜそのことをリサが知ってるの?」

「ということはご存じなのですね」

「テリングでは話してはいけないことよ」

 と、彼女がそう言ったから、そういうことになっているのだ、と私は初めて知ったのだ。


「大丈夫です。この会話は削除されます。その意味は聞かないでください」

「えっ、どういうこと? 何でリサが削除できることを知ってるの?」

「申し訳ありません。それは話せません。ガーフィルさんは五艘の巨大艦隊のことをご存じですね」

「この会話はほんとうに削除されるのね?」

「はい。間違いなく削除されます。その名前もご存じですか」

「知ってますよ。サーム・ナッカ号の艦長とは知り合いだからね」

「うっそーっ。シェリーをご存じなのですか」

「うっそーっ。何でその名前を知っているのよ」

 と、彼女がそう言ったから、私たちはお互いに相当に驚いているような気がする。


「先に私の話しを聞いてください。私は上の世界とシティーを統一したいと考えています。 『Jupi・Gemi Com』の私の『WP』で言葉を発信して、シティーの人が何を考えているのか知りたいです。『C&D Shop』の名前をシティーの人たちに定着させたいです。それで『C&D Shop』の感想を十二月末までの期間で募集しようと思います」

「信じられない。前にもその話しを少し聞いたけど、ほんとうにそういうことを考えていたの? それから何でシェリーを知っているのよ」

 と、そう言った彼女の言葉はシェリーの方が気になるようだ。


「もし、ガーフィルさんからシェリーに連絡が取れれば彼女が説明してくれると思います。私は話していけないことも言ってしまうかもしれません。申し訳ありません」

「今度シェリーに聞いてみる。ジェフは少ししか知らないから頼んだわよ」

「了解しました」

「どうなっているのかしら? それで……私はリサに閃きを感じたのね」

 と、彼女の最後の言葉は呟くように言ったようだが、ガーフィルさんも『HUMAN』だったかもしれない、とふと私の脳裏に閃く。


「私も『JPP・Office』の広告を見て閃きを感じました。ドアを入ってからもです」

 と、私もそう言ってしまう。


「さっきの話しをしてよかった。こういうことになるなんて、私たちは仲間なのね。私が最初に話したでしょう。私が若いころに考えてたことをリサがやろうとしたから賛成したのよ。私には実現できなかったけどね。リサが具現化させることに手を貸そうと思ったのよ」

 と、彼女はそう言い切ってくれたようで、そういうことまで考えていてくれたのか、と感謝以外の言葉がないと思った。


「……ありがとうございます。ほかにも協力者がいますので頑張ります」

「その協力者が話してはいけないことなのね」

「はい。申し訳ありませんがその通りです」

「この会話も削除されるのね。何となく意味が理解できるわね。最初に私の部屋に入ったときにもタイミングよく連絡が入ったからね。私たちが食後に別れてから、私があなたの自転車の後をつけたのも知ってるということね」

「はい。教えてもらいました」

「了解しました。今回のイベントはお疲れさまでした。来週から本格的なイベントが始まるわね。楽しみにしているからね」

 と、彼女が話した言葉を自分なりに集約すると、彼女もやはり上にいたことがあったのだと思った瞬間であり、ガーフィルさんとシェリーが知り合いだって、どういうつながりなのだろうか。


 彼女も驚いていたということは、私のここでの知り合いのことに気づいてくれたと思い、どこまで知っているのかは聞かなかったけど、シェリーを知っているということは、ひょっとして、私たちみたいに上で生活をしていたのかもしれない。私たちは誰にも見えないつながりがあったのだ。


 私のスペシャルスキルは、母であるローラからの贈りものなのだと思い、マギーとリーザと、リンダとミリーと、大人であるガーフィルさんとコーリーさんの存在は立場の違う私の仲間あり、人間は人とのつながりが大事であると実感し、シティーに移住して出会った人たちをこれからも大事にしていきたいと思った。


 リチャードの知り合いがモーリスであり、その娘がリンダであったから、私の『C&D Shop』の手伝いをしてもらうことになり、シティーで最初にトムに出会い、彼はパンケー・ジュエリーのミリーの兄であった。シティーで最初にトムとランチを食べたチキンマースが原点で、私はマギーとリーザに出会いショップの出店も可能になったのだ。


 私がジュピターシティーに移住して、一ヶ月目でイベントの企画の本契約も完了し、『C&D Shop』の存在ともに第二の人生が始まったと思い、私は自分の消えた記憶を取りもどしつつあるようだし、これからはシティーの人間が何を考えているかを実際に聞き、未来のシティーの存在を考えていきたいし、母の遺言である西暦の書物をシティーに解き放つ我が一族の使命も完了したようだし、私の代からリッシェン一族は自由になったのだ。


 私はこの『Gold』と『C&D Shop』を自分の子供である次の世代につなげたいと思う。十一月二十五日の金曜日から三日間の予行演習のイベントは大成功に終わり、マギーの『発進』と私の言葉の『発信』とは、文字こそ違うが同じ意味であったと気付いたのだ。



     ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★


 『Moon暦726年6月14日(木)』


 六月三日の日曜日にカーコン艦長も出席した進水式は何事も起こらず、ニッシー少佐は気持ちが舞い上がることもなく冷静に対応していたように感じられて、二世を守ると私に言ってくれた言葉は彼なりの愛情表現だと思った。


 その夜に班長の部屋に出向き、サリーから『JJエリアガイド』を出してもらい前もってフゥーにも説明したが、彼女はとても驚き、サリーとジュピの言葉が私の話しを助けてくれた。


 彼女たちが感じたことや思ったことを二人で説明をしてくれ、私よりもうまく自分たちの体験談としてフォローしてくれたようで、私も二人に任せてよかったと思い、フゥーにもシティーのことを何とか信じてもらえたようだ。


 ジュピは少々控えめだけどサリーは相変わらず順応性がよくて、私の話しを三人で聞けたことで、私の三人の妹たちはとても仲良しになれたと思う。これから長い付き合いが始まろうとしている。四日の月曜日から十三日までの十日間の訓練も無事に終了し、私も彼女たちも少しは大人の世界に近づけたのだろうか。


 私たちは四人で朝一番で『ムージュ号』に行くことができ、私とフゥーがわが家のトランスミットルームに先に行き、私の部屋で庭を見ながらフゥーと話しをしたが、サリーもジュピもリサもこの部屋から庭を見たことがないので、ジュピにも見せると言ったのに、私の仲間の中ではこの庭を見るのはフゥーが初めてだよ、と話すと彼女はとても喜んでいた。


 サリーとジュピを交えて四人でリチャードに合わせたほうがいいとリリーさんと相談していたので、三十分後にサリーとジュピが来ると、いちばん明るいダイニングルームで話しをしようとリチャードにお願いしていたので、私がリチャードの隣あるシェリーの椅子に座り、対面の椅子には奧からサリー、フゥー、ジュピと座らせ、左右からフゥーの言葉を援護するような体勢にしたのだ。


 五人で話しをすると、フゥーもサリーと同じで適応性がいいのか、最初は緊張しているようだがすぐに打ち解けて、三人の話しをよく聞いてみると、ジュピにも渡した『JJ エリアガイド』を出して、私が班長の部屋に行った夜は遅くまで話したそうだが、翌日から寝る前の三十分ほどの時間を決めて三人で色んなことを話したそうだ。


     ☆ ★ ☆


 私の三人の妹たちはシティーカードを持参して本物のシティーを体験できた。午前中に私たち四人はリチャードから東部の図書館へ連れていってもらうと、サリーとジュピはわが家でたくさん驚かせてしまったので何となく冷静ではあったが、フゥーは説明していたにもかかわらず、建物を見ただけでその大きさにおったまげていた。


 私はレアメタルのことを学ぶことができ、リリーさんが説明できない意味が少し理解できたようで、このような専門的な知識は今の私には何もないけど、レアメタルは、鉄、銅、アルミニウムなどのベースメタルに添加して合金を作ることに使われ、強度を増したり錆びにくくしたりする。


 地殻中の存在量が比較的少なく単体として取り出すことが技術的に困難であり、金属の特性から製錬のコストが高いらしいが、精錬の意味も分からない。ハイテク分野での広範囲な応用が可能だそうだ。それをマーシャさんが探し出してやってくれるのだろうか。言葉が難しくて私には理解できないので、そのことはリリーさんに任せた方がよさそうだ。でも、色んな言葉を検索し今後も色んなことを学びたいと思った。


 私たちは午後から『JPP・Office 第二ビル1F』へ、リチャードの運転する車で連れていってもらい、リサにサリーとジュピとフゥーの三人を私の友達として紹介でき、彼女からリンダを紹介してもらった。


 ジュピの絵は不思議な存在として、会場の中心部分に置かれた長さ三メートルほどの一枚のボードの裏表にぶら下げるように展示され、ジュピがその絵に見合った色の紐を指定したので、私たちは輪の中に結ぶ手伝いしかしてないけど、絵をフレームに入ることではなく、絵のサイズもさまざまで紐の長さも色も違い、ジュピの閃きでボード全体が一つの絵になるようにしたらしく、私にはその意味が理解できないけど、彼女は配置を考えてぶら下げたと説明を受けた。


 今夜の夕食はリチャードとチャリーが相談したらしく、野菜が入ったチキン入りのホワイトシチューが出てきたが、私の毎度の言葉は今夜のフゥーには不必要らしく、三人ともとても喜んで食べていたが、ポテトやニンジンやブロッコリーがやや大きな塊で煮込まれて、玉葱はかろうじて存在感があるような雰囲気ではあるが溶けているような気もするが、スープは少し甘みがありドロリとしておいしかった。


 チャリーが牛から作られたミルクがたっぷりと入っていると自慢していたが、ヤギやヒツジのミルクも一般的に出回っていないようで、ミルクよりもチーズに加工することが多いと話していたが、食べ物のことはよく理解できないけど、牛から作られたミルクは私の誕生日に話してくれた苺と同じでとてもレアな食べ物だと説明してくれたので、そういう高級そうな食材を見つけて手に入れてくれたチャリーには、私は感謝以外の言葉はないと思った。


 テーブルの真ん中のフゥーの前には、白い布で覆われた木製のトレーの上に白くて丸いパンが置いてあったので、私が最初にトングで自分の皿に一つ取ると、次にサリーがフゥーの皿に先に一つ入れてから自分の皿に一つ置きトングを戻すと、今度はジュピが自分の皿に一つ入れたので、私が触ってみるとほんのりと暖かくてふわふわして、チャリーが裏庭で採れたキウイでジャムを作ったと自慢していたが、パンを半分に千切りそのジャムを塗って口の中に入れると甘酸っぱさが口の中に広がり、先ほどのシチューの甘さが嘘のように感じで、彼が自慢するだけのことはあると思いおいしくて、シチューを食べるのを止めもう半分のパンにもさっきよりも多めにジャムを塗り先に食べてしまった。


「このジャムはこの前食べたサンドの中にも入っていましたが、このパンに塗ったほうがおいしいですね」

 と、突然サリーがそういったので私は焦ってしまい、フゥーがいるのでその先は話さないでよ、と心の中で思ってしまったが、彼女はそのことしか言わなかったのでホッとしたのだ。


 私は『ムージュ号』にいったん戻り、自分たちの部屋で眠ってもいいかとも考えたが、リチャードが部屋を用意してくれていたので、私は自分の部屋で眠ったけど、彼女たち三人は同じ部屋で寝るようになり、客間用にセミダブルほどのベッドが左右に一つずつ固定された部屋があり、お客さま用の簡易ベッドがこの家にはあるそうで、それを追加でセッティングしてくれ、くじ引きでそのベッドにはサリーが寝ることになったのだ。


     ☆ ★ ☆


 十五日の金曜日はリチャードとチャリーは一緒に見にきてくれ、何度もそのボードの周りを訪れ私たちはジュピの絵を見たけど、今日はリサの第一回目のイベント企画の初日であり、プライベート・バンドのライブも大成功に終わったようだ。


 私たちは最後まで見ることができ、彼女たちはすべてにおいて驚いていたが、リチャードの家からリリーさんにトランスミットしてもらい、最初はサリーとジュピが、次に私とフゥーが一緒に『ムージュ号・二世』に戻ってきた。



     ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★


 『Moon暦726年6月18日(月)=Moon暦725年11月28日(月)』


 いつものごとく、六時に目覚めた。


 約束通りにジョナたちを迎えに行く『朝』を迎えたのだ。


 いつものごとく、朝食用のタブレットをウォーターと一緒に飲んだ。


 私の誕生日から一瞬のうちに『時』が過ぎ去ったと思った。


 今朝はリリーさんから何も連絡が入らずに、今から始まることを自分でよく考えなさい、と言っているかのようで、六時過ぎから穏やかにメインエンジンがうなり声を上げ始め、『ムージュ号・二世』の乗組員たちに出発の合図を知らしめていた。


 今日は十時に、やっと『ムージュ号・二世』が発進する。


 この艦が目指すのは『木星圏内』である……。


 五人の仲間を迎えに行くのである……。


 最後まで読んでいただき、ほんとうにありがとうございました。感想をいただけると、とても嬉しいです。最後に登場者人物紹介を投稿したいと思いますが、まだ加筆訂正が終わってないので気長にお待ちください。


 ジュピターシティーは管理されたバーチャルなドームであり、ペットも豚も登場しません。シティーの外のドームで飼育されている牛舎は一箇所しか存在せず、牛肉は貴重で、肉はチキンが主流です。果物も少ないです。雨の存在もパーコンで管理されています。生鮮食品は少なく加工食品が多く出回っています。


 ジュピターシティーは人類の坩堝、過去の自然災害を乗り越え繁栄した人類には戦いの場面はない。続編を書きたいけど……その場合は出でくるだろうか。戦いのない小説も……これまた然り、と思います。

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