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魔王婚活転生 〜最強の魔力をすべて婚活スキルに注ぎ込んだら、なぜか聖女に「危険人物」としてマークされつつ溺愛され始めました!ついでに、世界が救われ続ける件~  作者: 藤台団二
第3章:魔の森の隠し遺産と、最強家族の開拓ライフ

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第8話:王国側の恐慌と、新たな陰謀

国家最高峰の部隊が全員『抜け殻』となって消え去った報告を受け、人間の王国の重鎮たちは未だかつてない大パニック(恐慌)に陥っていました。


恐怖のあまり完全に狂った国王たちは、己の保身のために隣国の軍事帝国をも巻き込み、世界規模の「魔王討伐連合軍」を組織するという最悪の暴挙へ打って出ます。



国家最高峰の隠密部隊『影の牙』が魔の森へと潜入してから、数日。


人間の王国の玉座の間は、かつてないほどの、凍りつくような「絶望の沈黙」に支配されていた。


「……全滅、だと?


それも、傷一つない『抜け殻』となって、国境付近に転がっていたというのか……!」


国王は、届けられた報告書を震える手で握りしめ、顔面を土気色に変えていた。


回収された五人の精鋭たちは、肉体には一箇所の傷も、一滴の血すらも流れていなかった。


だが、

その精神と魂は完全に消滅しており、呼吸をするだけの、二度と目覚めることのない文字通りの人形と化していたのだ。


「あ、あの男……


ゼノン・フォン・ベルシュタインは、やはり人間の枠を完全に超えている……!


我らが放った最高の影を、悲鳴を上げる暇すら与えずに『魂だけ』を毟り取って喰らったのだ……!」


「陛下、


これはもはや一国の手に負える怪異ではございません!


あの男は、追放されたことを逆恨みし、魔の森の奥で国を滅ぼすための恐ろしい眷属の軍勢を蓄えているに違いないのです!」


重臣たちが、恐怖のあまりに誇大妄想を膨らませて叫び声を上げる。


ゼノンたちがただ「家族三人で美味しいシチューを食べていただけ」だとは夢にも思わない臆病者たちは、自分たちが蒔いた悪意の種に、勝手に怯え狂っていた。


「このままでは、我が国はあの魔王によって確実に滅ぼされる……。


いや、我が国だけではない。世界が、あの男の闇に呑み込まれるぞ……!」


国王は恐怖のあまりに血走った目をギラつかせ、狂気に満ちた笑みを浮かべて立ち上がった。


「ならば……世界を巻き込むまでだ。


幸い、隣国の軍事帝国『バルザーク』は、常に強力な獲物との戦いを求めている好戦的な国。あの傲慢な皇帝に、こう告げるのだ。


——『魔の森の奥に、世界を数秒で滅ぼしうる、邪悪極まりない新生魔王が誕生した。


人類の存亡を賭け、今すぐ討伐軍を組織せよ』とな!」


国家の保身と、己のプライドのためだけに、ついに世界規模の大戦を引き起こそうと画策する王国の重鎮たち。


彼らはすぐさま帝国へと秘密裏に使者を飛ばし、虚偽と誇張に塗れた「魔王討伐の共同宣言」を世界中に向けて発信した。


自分たちがどれほど恐ろしい怪物の尾を踏みつけ、世界の破滅を加速させているのかも理解できないまま、醜悪な陰謀が最悪の形で動き出そうとしていた。


その頃、そんな世界を揺るがす国際的な大計画が進んでいるとは一ミリも知らない魔の森のゼノン邸。

お昼下がりの柔らかな陽の光が差し込むリビングでは、今日もどこまでも平和で、のんびりとした時間が流れていた。


「ふむ、この布地は非常に肌触りがいいな。



エルナ、新しいパジャマの着心地はどうだい?」


ゼノンは、リーゼロッテが辺境の街で買ってきた最高級の綿生地を仕立てて作った、小さなピンク色のパジャマを着たエルナを、嬉しそうに両手で抱き上げていた。


「パパ、これね、すっごくふわふわして気持ちいいの! ワンワンたちとおんなじくらい、あったかい!」


エルナが短い両足をパタパタとさせて喜ぶと、庭の窓の外で待機していたお留守番ゴーレムたちが、嬉しそうに「ピピッ、ピピィ」と金属音を鳴らして巨体を揺らした。


「それはよかったですわ。


気がつけば新居の片付けも完全に終わりましたし、私たちの生活もずいぶんと落ち着きましたね」


リーゼロッテが淹れ立てのハーブティーをゼノンの前に置きながら、トントンと優雅に椅子に腰掛けた。


「ああ。

わが信頼の指南書『隠居生活における真の豊かさ』によれば、過度な労働を終えた後は、【ただ家族と過ごす無為な時間こそが、最大の贅沢である】とある。


今の私たちには、まさにぴったりの格言だな」


ゼノンはハーブティーを一口啜り、これ以上ないほど満足そうに微笑んだ。


人間の王国が勝手に恐怖し、隣国の帝国を巻き込んで数万の大軍勢を動かそうとしていることなど、元魔王の彼にとっては明日の天気よりもどうでもいいことだった。


最愛の妻が淹れる最高のお茶と、お気に入りのパジャマを着て笑う天使のような娘。


この小さな楽園の平穏さえ守られていれば、世界のパワーバランスがどのように崩れようとも、彼らの知ったことではなかった。


しかし、世界はどこまでも強欲で、どこまでも愚かだった。


最強家族の預かり知らぬところで、楽園の静寂を脅かす最大級の「雑音」が、確実にその足音を響かせ始めていた。

第8話をお読みいただき、本当にありがとうございました!


ゼノンたちが「新しいパジャマでふわふわ」と平和に過ごしている裏で、

王国側が勝手に恐怖して自滅的な世界規模の陰謀を企てるという、

なろうの王道である「客観的なブーメランざまぁ」の布石をお届けしました。


どれほど敵が大きな大義名分を掲げようとも、主人公たちにとっては一ミリの脅威にもならないという安心感を楽しんでいただけましたでしょうか。


次回、第9話からは、王国の呼びかけに応じた帝国の総勢数万に及ぶ「魔王討伐連合軍」が、ついに魔の森の外周へと進軍を開始します。


しかし、そんな世界滅亡一歩前の紧迫感の中で、ゼノン一家が話し合っていたのは、なんと翌日の「家族ピクニック」の冷製スープの予定でした。


物語のクライマックスに向けた圧倒的な温度差無双をお楽しみに!


もし「王国の自滅っぷりが最高にニヤニヤできる!」「次回のピクニック無双への引きが気になる!」と思って頂けましたら、ぜひ画面下の【ブックマークに追加】と、【☆☆☆☆☆】の評価での応援をよろしくお願いいたします!皆様の応援が、次の執筆への最大のエネルギーになります!


感想の書き込みや評価での応援、お待ちしております!どうぞよろしくお願いいたします!

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