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第二十話 おっさん、グー○ルを使ってみる



 ひとしきりシェルーブルの海の幸を味わった後。


 俺とフリージアは、精霊教会の大聖堂に向かった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 こちらの世界における一大勢力、精霊教会。


 時にその影響力は、大国をもしのぐという。 


 フリージアからある程度の予備知識は仕入れているが、ここはやはりグー○ル先生の出番だろう。


『――やあハンゾー。調子はどうだい?』


 念話で呼びかけると、さっそくレスが返ってきた。


 リース・カレルノ・ストラルブーン。


 大図書館の主、またの名を『バーゼイルの凶獣』。


『調子は悪くない』


 俺は答える。


『そっちはどうだリース?』


『絶不調だね。ハンゾーと一日会えないだけで、ボクはとっても寂しい』


『そういう素直なところが可愛いな』


『えへへ嬉しい。ところで用件は?』


『精霊教会について知りたい』


『了解まかせて』


 リースがさっそく情報をまとめてくれた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



・精霊教会は、文字どおり精霊を祀る教会である


・この大陸では、神を直接祀ることをタブーにしている


・精霊は神が形を変えて現世に顕現したもの、とされている


・厳しい修行と信仰が、精霊との交信を可能とし、様々な奇跡を起こすことができる。これがいわゆる精霊魔法と呼ばれるものである


・精霊との交信によって奇跡を成す者は、基本的に精霊教会に所属する聖職者である


・その中でも特に優れた者を精霊騎士と呼ぶ


・etc、etc



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



『……フリージアは、こっちの世界じゃ偉大な力を持つ、名誉ある人物なんだよ。キミにかかっちゃ形無しだけどね』


『序列三位だ、といつも言ってるな』


『あの歳で序列三位というのは、精霊教会の長い歴史において他に例がない。大したものさ』


『だろうな』


『ハンゾーは彼女のすごさがわかるのかい?』


『あいつは力の使い方が下手なだけだよ。性根が真っ直ぐで、ズルが苦手。戦いには向かないな』


『そこを見抜いてるのは、さすがハンゾーだね。正直ボクも本気でケンカしたら、フリージアに勝つ自信はないよ』


 忍者にとっては完全なカモだけどな。


 心の中でそう思いながら、別のことを聞く。


『精霊教会において、もっとも重要な人物は?』


『ドゥーロン大司教。御年七十歳。押しも押されぬ精霊教会の頂点。もう何十年も序列一位を譲ってない精霊騎士。伝説の人物だね』


『ほほう』


『人望あつく、政治も達者。若いころ単独で邪竜を討伐した話はあまりにも有名。かの御仁がいるからこそ、今の精霊教会がある』


『なかなかの人物のようだ』


『フリージアにとっては崇拝の対象だね』


『なるほどな。そいつは話が早くて助かりそうだ』


『どういう意味だい?』


『つまりそのドゥーロン大司教さえなんとかすれば、精霊教会は丸め込める、ってことじゃないか』


『……わかってはいるつもりだけど、ハンゾーは本当にすごいね。考え方が壮大だ。器が違うんだと思い知らされるよ。相手は伝説の大英雄だよ?』


『そこを何とかするのが忍者だ』


 俺は言う。


 リースは『まったく、呆れるやら感心するやら……』と返してくる。


『ところでハンゾー』


『ん? なんだ?』


『キミのためにいろいろ教えたということで、ごほうびがほしい』


『ほう』


『というのも実のところ、こうして念話してるだけで身体が火照ってたまらないんだ。直接声を聞いてるわけでもないのに、だよ?』


『ふむふむ』


『キミに抱かれた日のことが頭から離れない。キミは女のあつかいが上手すぎる。ボクをこんな風にした責任は、取ってもらえるんだろうね?』


 なるほどわからんでもない。


 忍者の房中術は、ちょっとばかり刺激が強いからな。


 リースもすっかり俺のとりこ、というわけだ。


『わかった。今すぐなんとかしよう』


『えっ、ほんとに? 自分で言っておいてなんだけど、本気にしてもらえるとは思ってなかった』


『俺はいつだって本気だぞ』


『でもキミのいるシェルーブルから、ボクのいるバーゼイルまで、あまりにも距離があるよ。まさか早駆けで戻ってきてくれるのかい?』


『その必要はない。忍者ともなれば、言葉だけで女を悦ばせることができる。試してみるか?』


『あははまさか。いくらハンゾーでもそんな、たとえ神でもできるわけない――』



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 そしてざっと十分後。


『……ハンゾー』


『なんだ?』


『とっても素敵だった』


『おう』


 念話でピロートークしている俺たちがいた。


 簡単に言えば、いわゆる『言葉責め』というやつである。


 まあ忍者版のそれは、通常の何十倍も刺激は強いんだが。


『まさか言葉攻めだけでボクが達してしまうなんて……ハンゾーは本当に底が知れない。ぜひまた次もお願いしたい』


『心得た。その代わり情報も頼む』


『もちろんだとも』


 満足そうな様子で、リースの方から念話を切った。


 遠く離れたところにいる女のケアも忘れない。


 これもまた、一流の忍者にとっては必須の技能なのだった。

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