第二十話 おっさん、グー○ルを使ってみる
ひとしきりシェルーブルの海の幸を味わった後。
俺とフリージアは、精霊教会の大聖堂に向かった。
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こちらの世界における一大勢力、精霊教会。
時にその影響力は、大国をもしのぐという。
フリージアからある程度の予備知識は仕入れているが、ここはやはりグー○ル先生の出番だろう。
『――やあハンゾー。調子はどうだい?』
念話で呼びかけると、さっそくレスが返ってきた。
リース・カレルノ・ストラルブーン。
大図書館の主、またの名を『バーゼイルの凶獣』。
『調子は悪くない』
俺は答える。
『そっちはどうだリース?』
『絶不調だね。ハンゾーと一日会えないだけで、ボクはとっても寂しい』
『そういう素直なところが可愛いな』
『えへへ嬉しい。ところで用件は?』
『精霊教会について知りたい』
『了解まかせて』
リースがさっそく情報をまとめてくれた。
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・精霊教会は、文字どおり精霊を祀る教会である
・この大陸では、神を直接祀ることをタブーにしている
・精霊は神が形を変えて現世に顕現したもの、とされている
・厳しい修行と信仰が、精霊との交信を可能とし、様々な奇跡を起こすことができる。これがいわゆる精霊魔法と呼ばれるものである
・精霊との交信によって奇跡を成す者は、基本的に精霊教会に所属する聖職者である
・その中でも特に優れた者を精霊騎士と呼ぶ
・etc、etc
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『……フリージアは、こっちの世界じゃ偉大な力を持つ、名誉ある人物なんだよ。キミにかかっちゃ形無しだけどね』
『序列三位だ、といつも言ってるな』
『あの歳で序列三位というのは、精霊教会の長い歴史において他に例がない。大したものさ』
『だろうな』
『ハンゾーは彼女のすごさがわかるのかい?』
『あいつは力の使い方が下手なだけだよ。性根が真っ直ぐで、ズルが苦手。戦いには向かないな』
『そこを見抜いてるのは、さすがハンゾーだね。正直ボクも本気でケンカしたら、フリージアに勝つ自信はないよ』
忍者にとっては完全なカモだけどな。
心の中でそう思いながら、別のことを聞く。
『精霊教会において、もっとも重要な人物は?』
『ドゥーロン大司教。御年七十歳。押しも押されぬ精霊教会の頂点。もう何十年も序列一位を譲ってない精霊騎士。伝説の人物だね』
『ほほう』
『人望あつく、政治も達者。若いころ単独で邪竜を討伐した話はあまりにも有名。かの御仁がいるからこそ、今の精霊教会がある』
『なかなかの人物のようだ』
『フリージアにとっては崇拝の対象だね』
『なるほどな。そいつは話が早くて助かりそうだ』
『どういう意味だい?』
『つまりそのドゥーロン大司教さえなんとかすれば、精霊教会は丸め込める、ってことじゃないか』
『……わかってはいるつもりだけど、ハンゾーは本当にすごいね。考え方が壮大だ。器が違うんだと思い知らされるよ。相手は伝説の大英雄だよ?』
『そこを何とかするのが忍者だ』
俺は言う。
リースは『まったく、呆れるやら感心するやら……』と返してくる。
『ところでハンゾー』
『ん? なんだ?』
『キミのためにいろいろ教えたということで、ごほうびがほしい』
『ほう』
『というのも実のところ、こうして念話してるだけで身体が火照ってたまらないんだ。直接声を聞いてるわけでもないのに、だよ?』
『ふむふむ』
『キミに抱かれた日のことが頭から離れない。キミは女のあつかいが上手すぎる。ボクをこんな風にした責任は、取ってもらえるんだろうね?』
なるほどわからんでもない。
忍者の房中術は、ちょっとばかり刺激が強いからな。
リースもすっかり俺のとりこ、というわけだ。
『わかった。今すぐなんとかしよう』
『えっ、ほんとに? 自分で言っておいてなんだけど、本気にしてもらえるとは思ってなかった』
『俺はいつだって本気だぞ』
『でもキミのいるシェルーブルから、ボクのいるバーゼイルまで、あまりにも距離があるよ。まさか早駆けで戻ってきてくれるのかい?』
『その必要はない。忍者ともなれば、言葉だけで女を悦ばせることができる。試してみるか?』
『あははまさか。いくらハンゾーでもそんな、たとえ神でもできるわけない――』
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そしてざっと十分後。
『……ハンゾー』
『なんだ?』
『とっても素敵だった』
『おう』
念話でピロートークしている俺たちがいた。
簡単に言えば、いわゆる『言葉責め』というやつである。
まあ忍者版のそれは、通常の何十倍も刺激は強いんだが。
『まさか言葉攻めだけでボクが達してしまうなんて……ハンゾーは本当に底が知れない。ぜひまた次もお願いしたい』
『心得た。その代わり情報も頼む』
『もちろんだとも』
満足そうな様子で、リースの方から念話を切った。
遠く離れたところにいる女のケアも忘れない。
これもまた、一流の忍者にとっては必須の技能なのだった。




