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(旧)闇夜に踊る  作者: 東雲飛鶴
二章 相棒は、シスターベロニカ
28/134

【5】


「今夜の獲物は?」

 コートを肩に引っかけながら待機室に入ってきた勝利が、シスターベロニカに訊いた。

 十畳ほどの部屋にはOA機器や机などの事務用品が並び、簡素だが作戦室も兼ねている。

 ホワイトボードには周辺地域の地図がマグネットで貼り付けられ、作戦区域が色鉛筆で塗り分けられていた。

 カラフルな付箋がくっついている区域は、駆除作業の終わっていない場所だ。着任したてなので、まだまだ付箋はたくさん残っている。

「新種かもしれん。金属も喰らうらしい」

 そう言いながら、シスターベロニカが書類や写真をまとめて封筒に入れている。

 下三分の一ほどに印刷された文字部分を読み取ると、この封筒は地元警察のモノのようだ。

 直接持ち込まれたのだろう、表書きもなければ、封をした形跡もない。

「金属? そりゃ悪食だなあ……」

「昨夜夕方、市の境辺りで停電があった。早速電力会社の職員と市の担当者が原因究明と修理に向かったのだが――」

「食われたと」

「瀕死の技術者が通報、警官が駆けつけた時にはもう、被害者は綺麗に平らげられていた後だった。

 警官が血痕を追っていくと、座り込んで車を喰らっている奴を見つけた。しかし、もう満足したのか、警官が我々に連絡をする前にどこかに去ってしまった。

 彼等が朝になってから周囲を調査したところ、変電施設や架線が食い散らかされていたが、停電の直接の原因はそれだろう」

「で、ソレが調査報告書ってわけか」

 勝利は彼女の持っている封筒を指さした。

 シスターベロニカは頷くと、資料の詰まった封筒を手渡した。

 はあ……、とさほど感慨もなさげに写真だけを見ると、勝利はさっさと封筒に戻した。

「食いかけの車、EV車だね。電気が好物なのかな?」

「かもな。念のため耐電装備を用意しておいた。私もバックアップで行く。さあさあ、準備を始めろ」

「うえええ…………」死ぬほどうんざりとした様子で勝利はうなだれた。「暑いのはキライだぁ……」

「安心しろ、私も暑いのはキライだ」

 シスターベロニカは、少しだけ顔を歪ませて笑った。

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