↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひねくれ魔王の勇者撃退記〜今日も勇者が来るから、とりあえず話でもしよう〜  作者: ふたーなる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/8

ばよえ~ん

なつかしいね。

まあ、私はティーンですけど、(作者)

 また、憂鬱な一日の始まりだ。

 ずっと城の中にいるもんだから、時間なんてものはわからない。

 でも、勇者パーティが来れば、彼らは基本朝起きて夜に寝る生活をしているのだから、「今は、少なくとも朝よりは遅い時間帯なんだな」と感じることができるってもんだ。

 てなわけで、今日も玉座に座って勇者たちが来るのを待つ。

 貧乏ゆすりというのは、案外血流の改善、というわけではないだろうけど、健康上のメリットがあると聞いたことがあるが、僕が貧乏ゆすりをすると、城に亀裂が入ったりするので、自分の健康を見捨ててでも、そんなことを気軽にすることはできない。

 すると、珍しく切羽詰まったようなストスト、という軽くて早い足音が聞こえてきた。

 そして、その音が近づいてきて、ドン、という音がして扉が勢い良く開く。

 ああ、なんか安心するよ。

 テンプレ勇者パーティだ!!

 僕は少し反動をつけながら、「いやいやいや」と言って玉座から立ち上がり、猫背の背中を無理やり引っ張って「ようこそ!」と彼らに向けて言った。

「おい!俺達は勇者だ!」

「ああ、いいねいいね!」

 なんか、こういうのを求めていた気がしてくる。

 そうだよ。変なのじゃなくて、普通のでいいんだよ。

「行くぞ!!」

「ああ、そうそう。って、あれ?」

 なんとも言えないっちゃ、なんとも言えないんだけど、早くない?

 気のせいかな?

「えいっ、ファイヤー、アイスストーム、ダイアキュート!!」

 おっと。

 と言いたいのだけれども、どう頑張っても魔法だけは避けようがないので、普通に食らった。なんか、熱いのと寒いのが混ざってて、熱くなったのを冷ましてくれたんだけど、まあいいか。

 そして、それに合わせて勇者とサ者がこっちに走ってくる。

 神官も、呪文の詠唱を始めている。

「おい、急げ急げ」

 なんか、急いでるな。

「おい、急ぐなよ!!」

 まあ、どっちにせよ、きっと僕と戦うには、四対一なんかより、もっとコンパクトな方がいいと思うんだよな。

 と、いうわけでがら空きですよ!!

 僕は神官めがけて突っ込んだ。

 なんか、足にベタベタするのがあったけれども、そんなのは気にせず、僕は神官のみぞおちに拳を入れる。

「おい、効いてないぞ!」

 魔法のことか?

 ていうか、今更だけど、魔法使いっているのかな?魔法なんて、痛くも痒くもないですけど。

 魔法使いも同じように殴る。なんか、防御魔法みたいなの使ってたけど、そんなの関係ないですから。

 で、同じように勇者とサ者も倒す。

 そして、僕はしゃがんで勇者に向かって「ざぁ〜こ♡ ざこざこ♡」と言った。

「で、なんで急いでるの?」

 お決まりとかも無視しやがって。

 もっと、魔王と勇者の問答があってもいいはずだ。

 こいつらは、僕に対する怒りというものがないのか?

 人の心があるのか?

 え、僕はどうかって?

 こんなにあるじゃないか。今だって、心配してあげてるんだから。

「いや、その、タイムアタックっていうか、」

「なんか、そういう攻撃があるの?」

 時間を止めたり、そういうAVがあると聞いたことはあるけど、見たことはないんだよな。忙しくて。

「いや、そういうのじゃなくて、どれだけ早く魔王討伐できるかっていうのを競っていて、」

「え、ちょっと待ってよ、」

 僕は、一旦下を向いて考えた。

「え、僕のことそんなに嫌いなの?」

 勇者パーティは、ポカンとした顔で、地面に尻をついたままこちらを見上げた。

「いや、その、そんなに僕と一緒にいたくなかったってことなの?」

 と僕が言うと、勇者が「いや、そうじゃなくて」と言った。

「その、どれだけ早く倒せるかに挑戦しようと思いまして、ほら、ストップウォッチも持ってきてたんですよ、」

 と言って、魔法使いが僕にストップウォッチの画面を見せてきた。

 今は、一分五〇秒、五一秒とメモリが動いているところだった。

「まずは、時間かかってもいいから倒すのに挑戦しなさいよ、君たち」

 僕は、この若者たちを、思う存分叱ることにした。

「そもそもさ、タイムアタックってなんなの?こっちに失礼じゃないの?」

「いや、でも、時間って大切ですし、」

「また時間の話じゃん!!」

 前回したばかりなのに!!

 これこそ、時間の無駄だ。

「なんで、そんなに急ぐことがあるのよ。もっとさあ、ゆっくり見ても楽しめることってあると思うよ」

 勇者以外の連中は、玉座やら各々の気になるところを見回しており、勇者だけが僕の説教の犠牲となっていた。

 本当に、最近の若いやつは、

「ちょっと、注目!!はい、いい?大事だから一回しか言わないから」

 と、あれ、「大事だから一回しか言わない」って、もしかして時間効率を求める言葉じゃないか?

 これだと、僕の考えと矛盾することになってしまう。

 まずい。

 勇者パーティの皆さんは、どこかを見るのをやめて、まっすぐと僕の方に目線を移している。

「あ、えっと、」

 さっきまで言おうとしていた言葉以外出てこない。

「まあ、あのさ、」

「・・・どうかしましたか?」

 勇者が心配そうに聞いてきたけど、こっちだって若者に心配される筋合いはないわ!!

「その、今度は早く討伐してくれるの?」

 僕は、彼らに問いかける。

 すると、勇者が「今度は、ちゃんとやります」と答えた。

「ちょっと、ちゃんとってどういうことなの?ちゃんと早く倒すってこと?それに、ゆっくりやるのもちゃんとって言えるの?」

 僕に圧倒されたみたいで、彼らは更に縮こまって「すいません」と言った。

 ちょっと、怒りすぎたかな?

「まあ、その、君たちが今度早く討伐してくれるなら、その、僕も付き合うから、ちゃちゃっと済ませてよ」

 勇者パーティは混乱した。

「その、それまでの過程が大事だもんな!!」

 僕は彼らにそれっぽいことを言って、彼らを帰らせることにした。

 えっと、まあ今日はこんなもんですかね。

 よし、と。

 部屋に戻ろう。

 部屋に戻ると、相変わらずセバスが、今度はベッドに潜むダニを一匹一匹手でつまんでいた。

「あ、お疲れ様です」

 僕はホントに小さく「お疲れ」と彼に言った。

「あの、履歴書なんですけど、」

「そのダニ、ちゃんと外に捨ててくれよ」

 セバスが頷く。そして、なにかを窺うように「あの、履歴書なんですけど、」と言うので、僕は

「じゃあ、僕今日は寝るから」と言った。

「あの、履歴書、」

「静かにしててね」

 セバスが部屋から出ていった。

 そして、僕は今日も死んだように目をつむるのだった。

 めでたしめでたし。

 まだ続くからね。





また見てね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。