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海のクラゲは砂漠に眠る  作者: ロース山


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第二幕

 踊るように泳ぐその姿を見て、まるで舞踏会のようだと思った。

 水面から降り注ぐ光。きらめくクラゲたち。

 あまりの美しさに手を伸ばせば、ガラスの冷たさが返ってきた。

 展示室は、圧巻の一言だった。ドーム型の展示ガラスが、クラゲを下から見ることを可能にしている。

 クラゲの有効利用について書かれたパネルもあった。

 だが確か、同じ水槽にしてしまうと死んでしまうクラゲの種類もいると聞いた。

 大丈夫だろうか。

 そんなことを考えながら目当てのクラゲを眺めた。

 クラゲにも様々な形、色がある。

 だから余計に舞踏会に見えてしまう。

 また寿命も数週間で死んでしまうものもいれば、1年を生きたりするものもいる。

 中には不老不死と言われるものもいる。

 私は死ぬのが怖いので、そのクラゲから不老不死の秘密を解き明かしてほしいと思う。

 まだ人類は海の中を探索しきっていない。

 もしかして恐竜より前の時代から生きている生物もいるのだろうかと思うと胸が高鳴る。

 想像上とされる場所や生き物もいるかも知れない。

 想像出来るものは現実に創れると言うし、現実は想像を超えるという。

 想像以上のものが足の下に眠っているかも知れないと思うと嬉しいし、しかしその日まで生きているか微妙なのでどこか他人事だ。

 クラゲを見ていたら、幼い頃に見た架空の宇宙人図鑑を思い出した。確かクラゲに似た宇宙人がいたはずだ。宇宙人というか、地球外生命体はいると思う。宇宙は広い。きっと地球に似た惑星があるはずだ。

 ただ、お互いに手の届くところにいないだけで。

 ぐう、と腹が鳴った。

 そう言えば昼ご飯を忘れていた。食べてから来ればよかったか。しかしまだクラゲが見たい。

 仕方がないので水族館のカフェで昼をとることにした。ものすごく並んだ上に高かった。美味しかったけど。その後トイレにも行ったが、やはりこういう施設で食事を取ったりトイレに行くと高い上に並ぶことを学んだ。いや、日本のトイレは無料だが。

 またクラゲを見に行こうとした時、来月にクラゲの展示イベントがあることが書いてあるポスターを見つけた。たぶん行かない。覚えられない。だがポスターのクラゲがあまりに美しかったのでスマホでポスターを撮った。

 神秘的に輝くポスターのクラゲを見ていると、ふと250光年先まで観測できているのに何も見つからないのだから宇宙人はいないと言っていた人を思い出した。

 なんてロマンが無いのだろう。それに早計だと思う。海と同じで宇宙だって手つかずのところのほうが多い。

 そう考えると、あぁ、人類は未開拓な所を同時に二つ、天と海を開拓しているのだなと思った。少し無謀すぎやしないだろうか。でも海での発見や技術開拓が宇宙での活動や技術開拓の参考になったりしていると最近耳にした。それを聞いて不思議な気分になった。最も遠い場所同士なのに刺激を受け合うなんて。その技術が私のポケットに入っているスマートフォンに流入されているとも。お陰で一度も行ったことのなかったこの水族館に来れた。ありがたい。

 そんなことをぼんやり考えながら進んでいくと、またクラゲの展示室に着いた。

 そして飽きるまで眺めていた。


 帰ってきた時にはすっかり日が落ち、月が煌々と輝いていた。

 適当に洗濯籠に服を入れ、風呂場に入りシャワーを浴びながらそう言えばと思い出した。

 幼い頃、実はアメリカはすでに宇宙人と出会っていて宇宙人と密会しているという話を聞いたことがある。その密会場は月の裏側だとも。だが、実際は月の裏側は隕石の衝突跡でいっぱいだ。月は引力で隕石を受け止めてきた。つまり、地球は月に守られていることになる。密会場としては危険すぎる。

 月は何億年も隕石を受け止めてきた。

 それなのに人類は、自分たちで自分たちの首を絞めている。

 環境破壊によってこの星はガタガタだ。

 夜は星が見えないし、砂漠化は広がっていく。

 人類がいなくなれば数年で元の環境になると言う説は正しいのだろうか?

 風呂場から出て、髪と身体を拭いた。

 そのまま部屋着に着替える。ドライヤーをかけながらふと展示室の解説に書いてあったことを思い出した。

 クラゲは乾ききると、1t分のクラゲが手のひら一握りの塊になってしまう。

 確かその吸水作用を使うため、乾いたクラゲを粉末にして砂漠に撒くことで緑化運動に用いていると。

 昼間に見た踊るように泳ぐクラゲたち。

 あの美しい光景が、人類が招いた事象のために手のひらで茶色い粉末になる。

 あまりの生々しさにぶるりと震えた。

 私は、死ぬのが怖い。

 けれど、私自身にほかの何かを犠牲にしてでも生きて良い価値はあるのだろうか。


次回は6/16です。

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