夜会に備える
本日、視点変更の為、短いので2回投稿します。9時に2話目が自動投稿されます。
「夜会に乗じて、暗殺か。」
「しかも、上層部皆殺し計画など。よほどの自信があると見える。」
溜息をついたカイウスに、リオンが淡々と説明する。
「ダクロス殿は、何と?」
「実行10人のうち、5人はクランガルドの門下生であり、やめさせたいと。だが、すでに他家に仕えるようになっており、帝王命令であるため、クランガルドの力で止めるのは不可能。注意されたし、と。」
「全く・・・。注意しろと言っても、腕利きの魔術師10人。どうやって止めろと?」
「厳しいな。タリスにも確認したが、あまりにも西と東との魔術師の力量が違いすぎる。」
沈黙が支配する。
「なあ。夜会会場を魔封じしてしまうってのはどうだ?」
カイウスの言葉に、リオンが目を細める。
「私も考えた。だが、魔術師共が何と言うか。それから、そうなると騎士団の負担が重くなるぞ。」
「だが、止められる者がいない以上、せめて魔封じをして、会場内の守りを騎士団で固める。もちろん、魔封じが破られた時を考えて魔術師も待機させる。そうする他、ないだろう。」
「そうだな。やはり、それしかないか。」
「気味が悪いな。腕利きの魔術師10人が暗殺者とは。帝国は、何を考えているのやら。」
カイウスの赤い髪が、夕日を浴びて輝く。
対照的に、夕暮れと言っても、まだ明るい室内でリオンの黒衣が映える。
「現状では、地の利を考えても、帝国が東まで手を出す必要性は感じない。国力だけでなく、魔力も少なく、産物の生産量も低い。魔術師以外の往来が船だけしかない現状で、手を出そうとするのは、何か他に考えがあっての事なのか・・・。」
「船以外に、どうやって大陸間を移動するって言うんだ?」
「空を飛ぶ船。といったらわかりやすいか?」
「そんな、馬鹿な。」
「もし、魔術をもって船を空に浮かべるなら、空からの攻撃が可能となる。人々には、なすすべもあるまい。」
「お前、本当に考えている事が恐ろしいな。」
カイウスが驚いて言う。
「いや。知っているだけだ。そういう世界を。」
「どういう、意味だ?」
「私は、別の世界で生きていた記憶があるから。だから、その経験をもとに、ここで生きている。そして、レイローズも、私と同じ世界で生きた記憶を持っている。だから、彼女を選んだ。」
「・・・嘘だろ?」
戸惑いが伝わる。
「君に嘘を言って、どうする。幼い頃、一緒に屋根から落ちただろう?あの後、思い出したんだ。」
「だから、急に変わったのか。急に、遊ばなくなった。」
カイウスがリオンを見つめる。
「そうだな。私はどう頑張っても、体力では劣る。私が目指せるのは文官の最高峰だと、気が付いたからだ。」
「・・・何で言わなかったんだよ。」
静かに、カイウスが怒っているのがわかる。
「子供の時に言っても、わからないだろう?」
「だが、学生時代ぐらいになれば、いくらなんでも、理解できた。」
「そうだな。私も、タリスと一緒だ。皆で一緒につるんで馬鹿やって笑って。居心地が良すぎて。そのころには、どうでもよかったからな。」
フッとリオンが笑う。
「わかった。話してくれてありがとな。タリスは、この事は?」
仕方ないなぁ、という風にカイウスが笑う。昔から、切り替えの早い男だ。
「私は前の世ではっきりと死んだ記憶が無い。レイローズと結婚するにあたって、タリスにレイローズとの間に呪術を使わせた。だから、知っている。」
「・・・それで、クランチャードか。クランチャードの禁呪を使ったという事か?」
「ああ。あれは元々、正しく使用すれば禁呪ではないからな。なぜ、クランチャードは狂ってしまったのだろうな。」
「生まれる前の事など、どうでもいい。クランチャードの禁呪を使っても、お前は変わらないんだろ?」
「そうだな。」
「じゃあ、普通に仕事しようぜ。脱線しすぎだ。」
カイウスがニッと笑う。
「君に指摘されるとはな。」
そう言って、リオンも笑う。
運命を左右する夜会まで、あと3日。
夜会会場に騎士団0、1団配置。
王城全体配備に1、2団の混成配置。
場外警備に3、4団。
夜会会場に近い西側外壁に2団分隊長を頭に置く特別編成部隊。
各地点に魔術師を分散して配置することとなった。




