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回避出来た令嬢は?  作者: 明月 えま
第3章・南国リレイラ編
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紫の薔薇

お待たせしました。レイローズです。やっと戻ってきました。

番外タリス編が暗めだったので、甘々が好きな方にはすみませんでした。


年末は優しく終わろうと思いました。


さて。リレイラ編から、レイローズ視点とリオン視点で大分、読みやすさが変わると思います。


ローズはのんびりさんなので、甘め。


リオンは役職的にも、広義に物を見ます。作者の足りない頭を絞って頑張って書きますので、国の関係や陰謀、地理的要素や登場人物なども増えてくると思います。


どうしても、リオンサイドがサラッと読めなくなる事があると思いますが、なるべく読みやすい文章になるよう心がけますので、よろしくお付き合いお願いします。

変わらない日々が続いている。


朝から、リオンを送り出し(時折、寝坊する。ごめん。)屋敷の運営について女主人の仕事を執事と話す。


屋敷の使用人達ともだいぶ打ち解けた。

主人と使用人の垣根は、あまり壊してはいけないものだけど、だいぶフレンドリーな方だと思う。


リオンは、そこは割り切っているみたいで、昔から使用人は使用人としてキッチリ線引きをしているみたいで、ほとんど話した事が無い使用人も多いみたいだ。


厳格な主人に優しい奥様なんて構図が出来上がっているみたいだが。何とも…。


でも、リオンの采配はやはりすごいと思う。

ほとんど声をかけてなくても、執事から各々の使用人の仕事状況、家庭の事情を確認して必要な者には長期休暇まで与えて、使用人をキッチリと質のいい人材で揃えている。


やや余剰を持たせて人員を配置し、急病人が出ても全く滞りなく日常が過ぎるように工夫されている。その為、使用人からの人気は絶大で、噂に聞いた人が雇ってほしいと売り込みに来るぐらいらしいが、古参の者が辞めない限り、余程の事が無いと人は増やさないので、難関だと言われるらしい。


「奥様、庭の薔薇で今季初めて植えた蔓薔薇が花をつけたそうで、是非見て頂きたいと、庭師のヨールが話していましたよ。」

お茶を飲んでいると、アリスに庭師からの伝言を伝えられて、ちょっと嬉しくなる。


蔓薔薇のアーチなんてお姫様のお庭みたいで、植物園に行った時にワクワクしていた前世の気持ちを思い出して嬉しくなる。


「素敵ね!是非見に行くわ。」

この世界、魔力持ちがいる為、時間を短縮して花を咲かせる事のできる能力者がいる。


ただ、魔力持ちは貴族に多い為、庭師になる人材は少なく、しかも、水や土の複合属性の為とても希少だ。

高位貴族は庭師になる必要が無いし、貧乏な家格の低い貴族なら、庭師になれる能力があれば領地を栄えさせる為に家に留めおく。


庭師になる人物は希少なのだ。


ヨールは、ある子爵家の庶子であったという。

貴族とは認められず、継母のテンプレみたいなイジメ。魔力はその一環で封じられ、長年、建設現場で働いていた。たまたま、そこに視察に行ったリオンが封魔のリングに気が付き、話をして屋敷に迎えた。もちろん、封魔はリオンが解術したとの事。

封魔されていた為、魔力があるとは気づかれず、国によって義務付けされている庶民と同じ1年の基礎教育しか受けていなくて、リオンが魔術の基礎を教える教師をつけたと聞いた。


どうして、そんなに色々と目について、手を回して味方を増やす事が出来るんだろう。


これは一種の人たらしなんじゃ無いかと思う。ツンデレのツンばかりなのに、時々非常に解りにくいがデレるから、皆がリオンを好きになる。


そんな事を考えながら、庭園に向かう。


「奥様、おはようございます。」


私が声をかける前に薔薇の垣根の向こうから声がかかる。


ヨールだ。年はもうすぐ50という所か。


「おはよう。アリスから、美しい薔薇が咲いたと聞いて来たのよ。」

「ええ、ええ。こんなに早く見に来て頂けると、やりがいがありますよ。こっちです。」


ヨールの案内で奥に着いて行く。


紫の薔薇だ。


何て美しい。


ここは魔法の世界。色んな色の花があるけれど、色調はやや暗めでいてそれなのに艶やかな紫色の薔薇は初めて見た。


「なんて美しいんでしょう。」


上手く褒める言葉は出ない。


芳しい薔薇の香り。


「本当に、美しいですわ。奥様にお似合いですね。」


付き添って来たアリスが、ほうっと感嘆を漏らす。


夜会用のショールに薔薇の刺繍を刺していたため、アリスと相談してこの薔薇を止め飾りとして使用する事にした。久しぶりに出る夜会が楽しみになってきたわ。

明日は久しぶりにリリスティールに会いに行く。



夜になって、リオンが帰ってきた。

相変わらず。忙しいだろうに、そんな雰囲気を微塵も感じさせないこの人は大丈夫なのだろうか。


「どうしました?」

優しくリオンが尋ねる。

「疲れてないのか心配になって。」

「大丈夫ですよ。特別、何もなく過ぎました。毎日少し遅いので心配をさせてしまいましたか?」

食後のお茶をリオンの部屋で飲みながら、ゆっくり話をする。食後といっても、22時を回っていて少し遅い。でも、まあ、前世のサラリーマンと比べたら。職の重要性を考えたら充分早く帰って来ているんじゃないかしら?


一緒に食事をとりたいとも思うのだけれど、リオンに先に食べるようにと言われ、いつも先に食べて待っている。

だから、帰ってきたリオンが食事をしている間は、席を共にして今日は何をした、こういう事があった、と自分の事を話すのが日課になっている。

今日も、庭師のヨールの話をした。ヨールの紫の薔薇を8月夜会のショールの止め飾りにすることなどを話して。そんな私をリオンが微笑みながら見ている。

食事が終わるとリオンの部屋に一緒に行って、また会話をする。


リオンは私に甘い。自室に移動して、リオンが身の回りの整理等を済ませるとすぐに膝に乗せられる。

はじめは、とても恥ずかしいと思っていたけれど、ちょっと慣れた。

いや。やっぱり今でも十分恥ずかしいのだけれど。


サイドテーブルの上に乗せられたお茶を飲むリオンの所作は相変わらず美しい。

線は細そうに見えるのに、しっかりと筋肉がついた身体。文官でありながら、剣も握るやや節ばった美しい手。

リオンを眺めていると、フッと笑って口付けられる。


「ローズ。心配してくれてありがとう。」

切れ長の目で見つめられるだけで、まだ心臓がドキドキしてしまう。

「相変わらず、そんなに初心でどうするんです?私はそんな貴女が可愛くて仕方ありませんが。」


あああ。頭に血が上る。真っ赤になっていってるのがわかる。

「もう。からかわないでくださいませ。」


「からかっていませんよ。それより、そんなに私を煽ってどうするんです?」

「あっ。煽っていませんっ。」


「貴女はいつも無自覚ですからねえ。」

そう言いながら抱き上げられて連れていかれる。

・・・ええ。寝室に。


優しくベッドに降ろされて、キスの嵐が降ってくる。

その手で触れられるだけで身体がとろけそうになる。


残念なのは・・・。唯一、残念なのは、この世界のドレス。

ドレスだから立たないと脱げない。


わかります?情事の途中で、立たされて脱がされるんです。無理に脱がすと、ドレスを痛めるから。

夜着ならそういうことないんですけれどね。

こういう、普通の生活からの流れで男性が女性を脱がすのって大変。しかも、とっても恥ずかしいです。何て羞恥プレイ。


いくら前世でも年上だからって、経験値の差でしょうか?


今日も完敗です。優しく愛されてまどろんでしまって朝になる、いつものパターンです。

横にある温かい体温と人肌の心地よさに包まれて眠りに落ちる。幸せな一日の終わり。

今年、1年ありがとうございました。皆さま、良いお年を。


次は2日に更新します。

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黎明 ルークスタッドの後日談、連載中 不器用令嬢、騎士になる カイウスの恋愛話、主に嫁視点を書いてます。  こちらもよかったら読んで下さい。
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