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回避出来た令嬢は?  作者: 明月 えま
第1章・新しい生活の始まり
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魔力酔い

レイローズ視点

短めです。

気分が悪い。グラグラする。頭が痛い。吐きそう。何だこれ。

目が覚めて、一番に感じたのが、これ。もう、目覚め最悪。

周囲が薄暗い。今、何時なんだろう。

ここは・・・。自分の部屋だ。夫婦の寝室ではない、自室のベッド。


「奥様。目が覚められましたか?」

メイドのアリスが声をかける。

「ええ。」

のどが痛い。声がかすれる。

「お水を。起こしましょう。」

支えられて座る。カップを口元に持ってこられて、1口飲むが、もう、限界だ。

アリスの手を振り払うようにして、横になる。お世話してくれているのに、ごめん、アリス。

「今、何時?」

「6時半でございます。奥様は、昨夜より、丸1日、眠っておられました。」

丸1日???ああ。昨日、リオンと一緒に魂結びの術をかけてもらいに行ったのだった。それから、気分が悪くなって。そのまま倒れてしまったのかしら。

「リオンは?」

「旦那様はいつも通り、朝から王城に出仕されました。いつも通り戻ると話されておりましたので、もうすぐお帰りになると思います。」

そうか。リオンは仕事か。どうして私はこんなに気分が悪いんだろう。術の影響なのか。

自分の内に、自分では無いものの存在は感じる。グルグルと回るそれが、平衡感覚をおかしくしているようだ。横になっていても、部屋が回るような感覚が時折襲う。めまい?今まで、そんなこと、なったことない。これはキツイな。起き上がれそうにもない。

誰か助けて。胃の中は空っぽなのに、吐き気が込み上げる。

耐えるしかないのか。

意識が朦朧とする。何分経ったのわからないが、人の声がすると思ったら、リオンがいた。

お帰りなさいって、言いたいけど。声が出ない。


フワリと抱え上げられる感覚。それに続いて世界が回る。グラリとして、目を閉じる。手も足も、自分の物ではないように感覚が鈍い。

どこかに連れて行かれているようだが、わからない。

しばらくすると、吐き気とめまいが治まってきた。目を開けると、リオンの膝に乗せられている。

「リオン・・・?」

「気がついた?」

「ごめんなさい、私・・・?」

「謝らなくていいんだよ。むしろ、謝るのは私の方だ。ずいぶん、君に無理をさせた。タリスの会話を君がどこまで覚えているかわからないが。私は6属性だ。私の混じり合った魔力が、君と交わした術の中で、きれいに混じり合うまでは、副作用のように君を苦しめる。・・・すまない。」

「いいえ。・・・いいえ。ありがとう。リオン。」

「私はもう体内の魔力が安定しているから、私の近くにいることで、君の内にある魔力も安定させる事ができるとタリスが話していた。気分は、どうです?」

心配そうにのぞき込まれる。

「さっきより、ずいぶん楽だわ。」

「水を飲みなさい。何も口に入れていないと聞きました。」

リオンに水を飲ませてもらう。

「何か、食べますか?」

「まだ、無理かな。」

撫でられているうちに、そのまま眠ってしまったようだ。


朝、目が覚めると、リオンが横に寝ていた。と、言っても、横になって私を見ていた。

起きたときにリオンがいるなんて、初めてだ。

ふっと笑い、「おはよう」と、やさしく髪を撫でられる。

「おはよう。」

今日は、昨日と違って、ずいぶん調子がいい。そう思って起きようとすると、また、世界が回った。

「ローズ!」

あわてて起き上がるリオンに抱きしめられる。浮遊感が消える。

「離れると駄目みたいですね。」

ベッドの上で抱きかかえられる。甘やかされるのは、いつもの事だけれども。これでは、お手洗いに行くにも思いやられる。


結局。お手洗いの中、ギリギリまで連れてこられるという、恥ずかしい目に遭いました。


「休日でよかったですねえ。」

なんて、にこやかに言われながら、リオンの膝の上で朝食を摂った。


昼前に、カイウス副騎士団長と、昨日会ったタリスさんが来るらしい。

着替えもすべてにおいてべったりで。もう、今日は恥ずかしすぎる事ばっかり。

でも、お客様が来られるなら、ちゃんと座ろうと思っていたのに、リオンは膝の上から全然離してくれなかった。





「よお、リオン。ここに引っ越してから来るの、初めてだな。」

部屋に入るなり、とても親しげに話されるカイウス副騎士団長。

「そうだな。副長はここは初めてか。」とは、リオン。

「僕は1回だけ、魔道具持ってきたぐらいかなあ。」入室しながらタリスがのんびり話す。

「さて。久々にのんびり話そうとするか。」

勝手にどっかりとソファに座ったカイウスの声かけに、リオンもタリスも無言で頷く。

何だかとても、仲の良さそうな空気が流れている。挨拶をしなきゃ・・・。

「レイちゃんは、やっぱキツそうだね。」

と、タリスが言うと、リオンがギリッとタリスを睨む。

「何だ、その呼び方は。」

「んー。だって、リオンの奥様とか、奥さんとか毎回言うの面倒だし、君がローズって呼ぶなら、呼び方は変えないと、君もっと怒るでしょ?」

「当たり前だ!」

「レイちゃんは、まだ、キツそうだから、ちょっと寝てなよ。」

タリスさんの言葉に、えっ?私、まだ、挨拶も出来てないんですけど?って思ったのは覚えているのだけれど。どうやら私はそのまま意識を失った。





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黎明 ルークスタッドの後日談、連載中 不器用令嬢、騎士になる カイウスの恋愛話、主に嫁視点を書いてます。  こちらもよかったら読んで下さい。
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