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適当男の転生軍師  作者: TUBOT
戦争前夜
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次の手を考える

「これで終わりじゃない……敵は撤退ができないんだ……」

 この学院を落とすのに、これだけの被害が出たのは、ラルファル帝国にとっても予想外の事だっただろう。

 ここで「テルシオにとって」と言わないところがいい。恐らくテルシオはこうなる事を予測していたのだ。

「テルシオはこれくらいは予測をしていた。だがこの次はどう出る?」

 テルシオはどうなのかはわからない。だがこっちは必死だ。

「デイナ……今のみんなの様子を伝えてくれないか?」

 俺は自分の肩に止まった虫に語りかけた。

「みんな、集中力が切れちゃってるみたい。交代で、クロスボウを窓から突き出して見張りをしているけど……見張りをしていない子とかは、トランプで遊び始めちゃってる」

 そりゃそうだ。これが「学生」の限界。敵の攻撃がないと集中力も途切れる。常に神経を集中させて、敵の攻撃に備えるなんて事はできるはずもない。

『ロドム君、大丈夫?』

「あんまり、大丈夫ではないかな……」

 学生にいきなり戦争をやらせようというのが、どだい無茶なのだ。今、敵に全力で攻められたら、今の彼らはひとたまりもないだろう。

「どうしようか……無茶してはっぱをかけたら、反発を買うだろうし……」

 俺は言う。俺はメイレナから指名をされて、この戦闘の指揮を任されている。だが、俺の指示に本気でついてくる奴なんて今の仲間たち以外に考えられない。

 兵達に溜まっていく不満を解消しながら、だましだましで戦闘をさせ続けねばならないなんて、古代の戦争みたいだ。

「略奪をさせないと、戦闘させることができない。兵は略奪のために戦うのだ。決して国家のために戦うのではない」

 この言葉を言ったのは誰だっただろうか? 結局兵が戦うのは自分の利益のためであり、本気で国のおもって戦う兵士など、ほとんどいない。

『ロドム君。難しいことを考えているね』

 デイナがそう言ってくるのを聞く。

『何か戦った事に対するご褒美が必要だって事だよね』

 そうデイナが言う。そうすると、『うーん』と口に出してデイナが考え始めた。

『そうだ! ロドム君って、美味しいものをいっぱい知っているじゃない?』

 確かに、俺には前の世界で培ってきた知識がある。一人暮らしをしていた俺は、多少料理の作り方も覚えている。

「料理は作り始めると、楽しいからね。それに外で何か食べ物を買うより、自分で作ったほうが安く済むし」

 俺は口に出して言った。

『ならさぁ。がんばった人には何かお菓子でもご馳走をすればいいんじゃないかな?』

 デイナが言う。

「確かに食べ物で釣るのは、いい方法のはずだよね……」

 俺は考える。

「そのために砂糖が欲しいけど……」

 学校の備蓄はどれくらいあるだろうか? 俺が知っているジャンクフード達をみんなに食べさせて、不満を解消させるというのはいい方法だ。

『食堂の調理場には砂糖はあんまりないよ。二、三日分のお菓子をつくるくらいの備蓄しかないんだって』

「早いよ! 一体なんでそんな事を調べたんだい!」

『支援人は、よく食堂で調理を手伝ったりするんだよ。当番制でやっているからシィちゃんもその事を分かっているよ』

 俺は傍らに居るシィを見た。

「そうですね。私も厨房には何度も入っています」

 そうシィが言う。

「だったら、今から厨房に行って料理を頼める? 今からレシピを書くから」

 俺はそう言って、俺は簡単なクレープの作り方をシィに教えた。

「簡単なものですね。では行ってきます」

 そう言ってシィは楽しげにして厨房まで向かっていった。

 横目にシィの事を見たのだが、シィはフェリエに向けて勝ち誇ったようにして、ニヤリと意地悪く笑った笑顔を見せた。

 それに、むっ……としたフェリエ。俺はそのフェリエに向けて、目線を向けた。

「フェリエには頼むことがある。レイティエルに指示を出して欲しい」

 フェリエはそれを聞くと、レイティエルを呼び出すため、魔法を使った。フェリエは胸の前に光の玉を出し、その光に釣られて、ハトの姿をしたフェリエの使い魔がやってくる。

 レイティエルはフェリエの前に姿を現した。

「何か御用ですか? この男からの指示であればお断りしたいのですが」

 あいかわらず、こいつは俺の事を敵視しているらしい。俺はそのうんざりするような言葉を聞いた。

「ボクの指示だったら聞かないってのは、フェリエには従わないという意味かい?」

「薄汚れたドブネズミの指示を聞く気はないというだけだ」

 このハトは……俺は奥歯を噛むが、こいつにはあまり逆らえない。もしこいつと俺が戦ったら、間違いなく俺が負ける。

 ほのと俺がたばになってかかっても、こいつには勝てないだろう。属性の相性もあるし、こいつは『人間型』の使い魔の中でも、最高クラスの使い魔だ。こいつに勝てる人間はそうそういないだろう。

「今回ばかりは、反抗は許しませんよ。大事な仕事なのですから」

『そうですよね? ロドム様?』とでも言いたげな顔をして、俺の方を見てくる。

「確かに重要だ。この作戦の要になると考えてもいい」

 ここまで言っても大げさではないと思う。さっきの話を聞いていれば、重要なことであるのが分かるだろう。

「ふむ、砂糖を買いに行くのが任務ですか……了解をしました」

 そう言うレイティエル。レイティエルは一人で近くの人里にまで向かっていった。

「この件はこれで様子見だ……」

 俺はそう考えた。

 それから、俺は次の事を考える。

 テルシオはどのような手にでてくるか? この状況になったら、攻城兵器でも持ち出してくるだろうか? そうなったらお手上げだ。遠くからカタパルトで大岩でも投げてこられては、こちらは反撃の手立てがない。

 そこまで考えると、フェリエが言った。

「いえ、その場合、私のゴッドスピアで……」

「そういえばそうだね……フェリエのあの魔法は攻撃距離が長いから……」

 俺はそう言う。もし敵がカタパルトだのトレビュシェットだのも持ち出してきてもこれで大丈夫だ。

 他に敵の攻撃が何かあるか? と考える。

「本当にせわしない人ですね……考えっぱなしで……」

「こっちのほうが不利なんだ。頭で戦わないと勝てないよ」

 俺は呑気な事を言うフェリエを見て、正直ちょっとイラついた。

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