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[武器がいるな]
足立が呟いた。
腕力では絶対にかなわない。
だとしたら油断してる時に、一撃で殺すしか無かった。
[鉛筆みたいに尖った棒は?]
[三人一組で、一人ずつ殺すしか]
[どこを刺したら死ぬかな。目は死なないよね]
[ナイフで喉を切れば声が出ないからバレないんじゃない]
5人が殺す方法、算段を話出す。
[殺した遺体は、穴に埋めたらいい]
誰を殺すかの質問は出なかった。
この地区にいる5人以外の全員を殺すつもりだった。
[まずは人数の確認からだな。鉄の鉛筆みたいなのがあればいいんだけどな]
皆、疲労や眠気を忘れて口々に話し合った。
それに今しか殺せなかった。
この異様な状態…殺して当たり前な状況。
死臭と血の匂いがなくなればきっと麻痺も消えしてしまう。
面白いゲームではないが真剣なゲームでもあった。
命に価値は無かった。
皆、死を覚悟、いや殺されるなら殺す。という当たり前の事が当たり前になったからだ。
真っ暗なグラウンドが明るくなる朝方にはどうやって殺すか、どうやるかがほとんど決まった。
誰もが殺す事に疑問も躊躇も無かった。
怯えも怖さも無かった。
ただ生きる為に殺る。
それだけだった。