8
轟く閃光。
立ち込める砂煙。
響く戦慄。
一筋の黒い影。
スミレは、
「えっと……」
目の前のユリを見て、
真面目な表情で言った。
「これ、なんのコスプレ?」
大きめの白いブーツ。フレアーが大きく広がった白キュロットスカート。腰についている薄紫色の帯に、大きな白のリボンが後ろに。さらに、そのリボンに、尻尾のようなマフラーのような飾り。そして、ノースリーブのフリフリ着物。腕には、ぶかぶかのウォームアーマー。額には白の鉢巻き。そして、ドングリにつけるような大きい薄紫色のベレー帽。
「これが……、勇者の……姿?」スミレは目を細めながら呟いた。「なんか、くノ一と魔法少女と軍服を足して、三で割ったような感じの衣装だけど……」
「これは……」ユリは自らの服をまじまじと見ながら「気に入った」と言った。
「き、気に入っちゃった!」スミレは頭上に九個以上小さい汗マークを浮かべた。
「ユリ……」キュアが言った。「惚れ直したぞ」
「ふっ」ユリは長い髪を払いながら「言うな。照れるじゃないか」
「はは……」スミレは引きつり笑いをした。
「よし、これで準備は整ったな」キュアはにやりと笑いながら、腕組みをする。
「えっ、ただコスプレしただけじゃね?」とスミレ。
「甘いな」とキュア。「これは変身後の姿だ。既に、戦闘能力は、通常のなん倍にもなっている」
「本当……?」スミレは呟いた。
「本当だ」キュアは頷く。「その証拠に、空も飛べる」
「ぶっ!」スミレは横に向かって吹きだした。「お、おいおい。なにその能力」
「汚いな」眉を寄せるキュア。「あるんだから、仕方あるまい」と、彼女はユリを見ながら「足に力を入れ、自分が空を飛んでいる姿をイメージしてみろ」
「わかった」ユリは目を閉じた。
すると、
ふわっ、
と、ユリの体が数十センチ地面から浮き始めた。
「え……、えええっ!」叫ぶスミレ。「な……。ん、んなアホな……」
「ふっ、だから言っただろう」キュアは腰に手を当てながら言った。「常識だぞ、このくらい」
「いつ常識が変わったんだろう……、神様教えて」スミレは眉を寄せる。
「では、行ってくる」ユリは二人に手を振り、背を向けながら「もっと、色々慣れておきたいところだが……、時間がない」
「ユリ、その勇者モードになると……、必殺技が使えるようになる。本来は、特訓で会得するものなのだが……。今回は仕方あるまい。闘いながら、覚えてくれ」
「心配するな」ユリは人差し指と中指をくっつけ、それを二人に向けた。「見ていてくれ……。今宵、百合の花が、空に美しく咲き誇る」




