第67話 (コンフィの章)立て、コンフィ
女装剤(ある女騎士の事情)
第67話 立て、コンフィ
今回は、コンフィとプチコンフィの
100%妖精融合のお話です。
圧倒的な力を手に入れたコンフィですが、
力には代償があるようで……。
そして戦いは、まだ終わっていません。
ボロボロになっても、それでも立ち上がる――
それが騎士なのです。
それでは、第67話
「立て、コンフィ」
どうぞです。
・⋯━☞王都北門付近☜━⋯・
「わたくし、100%融合に懸けますわ!」
「!!……いいの┈┈ですの?
これまでの融合とは違いますわよ!
きっと、体への負担も桁違いに┈┈」
「構いませんわ! 覚悟のうえですわ!」
「!!┈┈┈┈わかりましたわ
わたくしも、どこまでできるか、
わかりませんが、頑張りますわ!」
「ごめんね! プチコンフィ┈┈
プチコンフィにも、痛い思いをさせますわね」
「コンママ! わたくしたちは一心同体!
生きるも死ぬも同じですわ!」
「ええっ! では、プチコンフィ!
100%の融合をお願いしますわ!」
「はい!!」
こうしてコンフィは、プチコンフィとの、
100%妖精融合に挑むのだった。
「心の準備はよろしいですか?」
「ええ お願いしますわ!」
「……では、むん!」
ブォン!……ヴゥヴゥヴゥ~~~ン……
「!?……凄まじいですわね
これがプチコンフィが解放した全魔力の力?」
プチコンフィは、瞬時に粘魔力化し、
光の球へと姿を変えた!
コンフィは、光の球へと姿を変えたプチコンフィ
から溢れ出る魔力に包まれ、まるで透明な
カプセルに包まれるような状態に!
その魔力カプセルの縁では空気が揺らぎ、
大気そのものが振動しているかのようだった。
光の球はコンフィの胸の中に溶け込み、
やがてコンフィの体も光の球へと変わる!
それは、プチコンフィとコンフィとが、
完全に融合し、粘魔力化した事を意味する。
この時、主導権は完全にプチコンフィだ。
プチコンフィがコンフィの体を完全支配し、
粘魔力化した状態から、コンフィの等身大の
妖精の姿へと変わってゆく。
ドレスアーマーはバトルドレスへと変わり、
背中には特大の妖精の羽が生え、
全貌が明らかになると、ゆっくりと光は消え、
コンフィの得物の大剣は、妖精剣へと変わり、
ついに妖精融合100%のコンフィが現れた!
ブシュウゥウゥウゥ~~~~……
「《っはああああああぁぁぁぁぁ……》」
その吐息が重なった瞬間――
コンフィの瞳が、ゆらりと揺れた。
左は、魔法騎士としての赤。
右は、妖精の持つ緑。
二つの光が、
互いに主張し合うように輝いている。
「《さぁて……》」
声は一つのはずなのに、
わずかに遅れてもう一つが重なる。
まるで、同じ言葉を“別々の心”が
なぞっているかのように。
そして――
足元の影が、ふわりと揺らぐ。
コンフィがまだ動いていないにも関わらず、
影だけが、ほんの一瞬先に前へと踏み出した。
それは、もう一人の存在が、
確かにそこにいる証。
二つの意識が、今この瞬間、
完全に重なり合っていた。
ここでようやく支配率が50%by50%に!
つまり、コンフィとプチコンフィとの、
思考はほぼ半々というところか。
また、影もコンフィと等身大のプチコンフィ
の影が重なっているようにも見える。
これも、同化した結果なのだろうか。
「《さぁて! よくもいたぶってくれたな!
ネームドだかなんだか知らないけどさぁ?
めちゃくちゃ痛かったのだよ! 君ねぇ!》」
「……グルルルル」
今のコンフィの状態とは、
半分が人であり、半分が妖精である状態。
この状態のコンフィの事を、
「半妖」と呼ぶことにする。
半妖化したコンフィからは、凄まじいほどの
魔力が溢れ出ている。
それを感じているのか、二本角は後退りする。
「《ぉおっと! 逃がしはしませんわよぉ~》」
シュン!……ダァン! パラパラ……
半妖コンフィは、とてつもない速さで、
地上に着地!
「!!……グオッ?!」
二本角は、またまた後退る。
頭が良いということは、
恐怖することも知っているということ。
半妖コンフィは、もはや魔法騎士という域を
完全に超えていた!
もうこの状態とは、
「半分妖精であり、半分魔法騎士」
と言えるのではないだろうか?
つまり、魔法騎士さえ超えているのだ。
「《では、ここからは、わたくしからの、
お返しターンということにしましょうか?》」
「グワオゥ……グルルルル……」
二本角は、半妖コンフィの出方を見ている?
相手の実力が不確かなら様子を見る……
というのは、頭の良い証拠だと言えるだろう。
そんな二本角の様子を見た半妖コンフィは、
愉快で仕方がない。
「《あははははっ! 愉快ですわねぇ?
先程までの勢いは、どこへ?》」
「ブルブルッ! グルルルル……」
ドスッ!……ドスッ!……
二本角は、足を踏み鳴らしながら、
足踏みをしている。
あからさまに動揺している様子が伺える。
だが半妖コンフィは、容赦はしない。
「《ではではぁ! 反撃といきますわよぉ?
そお~~~れ~~~》」
「グオゥッ!?……」
半妖コンフィは、
ゆっくりと妖精剣を振り上げる!
そして……
「《……つぇええええええいっ!!》」
ズォオオオン!!……
「!!……」
半妖コンフィは、妖精剣を振り下げた!!
しかし、何も起こらない……
しぃーーーーーーーーーん…………
だが、確かに半妖コンフィの振る妖精剣からは
極大の剣先が飛んだ!
しかし、何も起こらず、
しばらくの間は、静寂が支配する。
そして、一拍おいて……
ズゥオオオオオオオオオーーーーー!!
ドオオオオオオオオオオオーーーー!!
ドドドドドドドドドドドドドドッ……
「《くっふっふっふっふっふ……》」
その次の瞬間!!
二本角の姿はどこかへ消え、
それが居たはずのそのすぐ後ろから先へは、
大森林を超えて巨大な滑走路のような光景が!
そして更に遠くの向こうでは、
山にも巨大なアナが空いていた!
だが、それだけではない!
空には、真っ暗な一筋の星空が見えたいた!
そして、この世の終わりかと思うほどの、
大きな地震が大地を襲った!
そして、またしばらく経つと、
今度は、凄まじい嵐のように、
空にポッカリ空いた真空の空間に、
空気が一気に流れ込む!
ビョオオオオオオオオーーー!!
「《……ぷぷうっ!! あっはっはっはっは!
ぁあーーはっはっはっはっはっはあっ!!
見なさいよ、ほらあ! 二本角のヤツ、
跡形もなく消え去りましたわっ!》」
この時のコンフィは、半妖コンフィ。
プチコンフィとの完全な同化となるので、
自分で自分に話しかけていたのだ。
それはともかく、半妖コンフィは、
もう楽しくて楽しくて仕方がない!
「《あっはっはっはっはっ!!
なんて素晴らしい力でしょおかあー!!》」
あの優しいコンフィはどこへ?
と、思わず問いたくなるような、
半妖化したコンフィの変貌ぶりは、
コンフィを知る人が見たなら、
きっと悲しむだろう。
それほどに、今の半妖コンフィからは、
「無邪気な子供」
のような気質を感じさせた。
まるで、まだ命の尊さを知らない子供が、
無邪気に虫を解体するような……
そんな雰囲気を醸し出していた。
「《あはははははっ!
あと、どれくらい何ができるのでしょう?
……むん!!》」
ブォッ!……
そう笑い言いながら、半妖コンフィは、
また妖精剣を大きく振りかぶる。
そしてまた……
「《っつええええーーーいっ!!》」
ズゥオオオン!……
……ドォオオオオオオーーーン!!
ドドドドドドドドドドドドッ…………
「《ぁあっはっはっはっはっは!!》」
また半妖コンフィは、先程と同じように、
今度はV字になるように、大地と空に、
一直線に何も無い筋を生み出す!
しかしここで、精霊の制御システムが作動!
周囲が、急に薄暗くなる。
いったい、何が起きているのか?!
《貴女の行いは、大量破壊行為となります
けっして、看過できることではありません》
「《はあ? なんですか突然……》」
突然、半妖コンフィの頭の中に、
女性っぽい声が響いた!
《あと一回行うと、貴女の魔力、知識、
そして記憶も全て削除処分とします》
「《はぁい? 何を訳の分からないことを……
って、それより、あなたは何者ですか?》」
《私は、この世界の調和を、創造神出鱈女神の
代わりに行う者、つまり精霊です》
「《はあい? 精霊ですか!?
今のわたくしの行いがいけない事と?
それは些か、おかしな話ではありませんか?
わたくしは王都を襲う魔物を倒したのですよ?
むしろ、褒めてほしいところですわねぇ?》」
《いいえ 最初に放った一撃は良しとしましょう
ですが、二度目の一撃はいけません!
なぜなら、何の意味もなく大量の森を破壊し、
何の罪も無い動物たちの命を奪ったのです》
「《あっ!…………(汗)》」
確かにそうだ。
一度目の一撃は、魔物の二本角を倒すため。
だが、二度目の一撃は、何の意味もなく、
嬉々として放ってしまったからだ。
《お気づきになりましたか?》
「《…………はぁい 申し訳ありません……》」
《うむ 貴女は、素直に謝罪しましたね
この度の過ぎた行いへの罰は不問とします。
ですが、罪の数は消えたりはしませんよ?》
「《あ……ありがとうございます》」
《では、くれぐれも、もう二度と!
……間違いを犯さぬように……》
「《はぁい……(汗)》」
フッ……
「《あっ……明るくなった》」
その声が消えたと同時に、
周囲はまた元の明るさに戻った。
しかし、自分の行いのせいで破壊された森は
元には戻ることはなく……
「《わたくしは、何をしているのでしょう……》」
半妖コンフィが、そう呟いた次の瞬間だった!
ドクン!!
「《ぐふうぅ!……ぐううう……なに?!
なんなのですの、この激痛はっ……》」
半妖コンフィの全身に、突然激痛が走る!
それと同時に半妖コンフィの顔に、
血管のような赤い筋が浮き出てくる。
今までに感じたことのない強烈な激痛が。
だが、プチコンフィと同化している思考により
その理由をすぐに理解する。
「《なるほど……そう言う事ですか……
わたくしを構成するうちの10%は、
メーべの要素……
つまりこの反応は……拒絶反応?!》」
そう。プチコンフィは、生まれた時に、
メーべの行う儀式魔法から生まれた。
つまりそれは、メーべの魔力も含まれるので、
プチコンフィを構成する魔力とは、
コンフィが90%で、残りの10%がメーべなのだ。
なので、完全に一致しない魔力であるため、
融合限界の10分を迎える前に、
拒絶反応を起こしたのだった。
「《……そうでしたか……あはは……
せっかく、楽しめていましたのに……》」
ススス……ススゥーーーーッ……
半妖コンフィは、スーっと降下し、着地した。
そして、妖精融合は、強制的に解除された。
シュパァン!
「あっ!……」
「きゃあ!……」
バタバタッ!……
コンフィとプチコンフィに分かれた2人は、
その場に脱力人形のように崩れ落ちる。
「ううう……全身が鉛のようですわぁ……(汗)」
「痛いですわぁ……(汗)」
コンフィとプチコンフィは、
妖精融合で無理をしたのと、拒絶反応とで
かなりの体への負担があったために、
全身が鉛のように重く、手の指を1本動かす
だけでも、全身に痛みが走る。
もう、立ち上がることさえ困難だ。
しかし、これで安心だ。
もう、魔物化した地龍の二本角は倒した。
だが、思い出した!
地龍は、確かもう一体居た!
「はっ! ち、地龍はもう一体いましたわ!」
「ああっ! そうでしたわ!」
「で、でも、どうしましょう?
わたくし、もう動けそうにありませんわ……」
「わたくしも……あうう……
魔力を使い切りましたわ……」
確かに……
プチコンフィの体が半透明に透けて見える。
無茶をさせ過ぎた……
普通に魔法を使うだけなら大した事もないが、
妖精融合ともなると、全身全霊をかけて行う。
いくら妖精とは魔力の塊とはいえ、
疲れるのも無理はない。
コンフィも、この回はプチコンフィとの
完全融合で、一瞬とはいえ普通の人なら、
一生経験する事のない、粘魔力化にまでも、
足を踏み入れたのだ。
もう、心も体も、ズダボロだった。
「プチコンフィ……」
「なんですかコンママ?」
「動けるようになるまでには、
どれくらい、かかりそうですか?」
「はい……せめて、御安眠の半分ほどは……」
「なるほど……」
御安眠とは、約10分である。
その半分なので、約5分というところか……
でも、1秒でも早く行動したい時の5分でも、
無情なほどに長く感じるものだ。
その時、遠くに見えたものは……
「!……あれは?」
「あうん? ナルキザ王子たちですわね?」
「へっ? まさか地龍と対峙しているのでは?」
「はい……そうだと思いますわ」
「ええっ?!……」
大変!
地龍は2体居て、もう片方のノーマルの地龍が、
シェンブリィ王子たちが戦っている様子。
確かシェンブリィ王子たちは、まだ龍族との
対峙は経験が無いはず。
こうしては、いられない!!
「プチコンフィ……行きますわよ!」
ガサッ……
(立ち上がろうとするコンフィ)
「ええっ?! コンママ?! 無茶ですわ!」
「いえ、そう言ってなどいられませんわ!
はやく、応戦に向かわなければ……」
ジャリッ……ドサッ!
「きゃふっ!!……」
「コンママ?!」
コンフィは、立ち上がろうと、
持てる力を振り絞って両腕を地に突き出すが、
まだ起き上がれるほどの体力は戻っていない。
あと、数分……
あと、数分経てば、プチコンフィにも、
回復魔法が発動できるほどの魔力が戻るはず。
もどかしいですわね……
しかし、プチコンフィの体も、
随分とハッキリと具現化してきていた。
「プチコンフィ? 少しだけ……少しだけでも
回復はできませんか?」
「……わかりましたわ
でも、今回復いたしましたら、
わたくしはまた動けなくなりますわ」
「う、うん……そうなのですね?
でも、無理を言っているのは承知です!
お願い! わたくしに回復を!」
「…………わかりました」
キュポン!……キラキラキラ……
「はあっ……う、うん! 立てますわ!
ありがとう! プチコンフィ!!」
「い……いえ……どういたしまして………」
グッタリ……
「はっ! プチコンフィ?!」
コンフィは、グッタリとするプチコンフィを、
そっと拾い上げ、自分の胸の中に入れてあげた。
「ここに、入っていてくださいね?」
「!……はぁい♡
コンママのお胸なのぉ~~~♡」
「?!……んもぉ!
こんな時に、メーべ要素が出るのですか?
まったく……うふふふ」
「幸せなの~~~♡」
「はいはい。では、行きますわよ!
しっかりと、掴まっておいでなさいね!」
「はぁいなの~~~♡ むふふふふへへへ♡」
バシュン!……タタタタタッ!!
コンフィは、僅かだがプチコンフィに
回復してもらい、シェンブリィ王子たちのもとへ
急ぐのであった。
第67話を読んでいただき、
ありがとうございました。
ついに登場、100%妖精融合です。
半妖コンフィ、かなり強くなりましたが、
その分、危うさも出てきましたね。
力に酔うこと、そしてその代償。
今回のお話は、そんな回でもありました。
そして、ボロボロになっても
王子たちを助けに向かうコンフィ。
やっぱりこの子は、騎士なんだなあと
書いていて思いました。
戦いは、まだ終わりません。
次回も、どうぞよろしくお願いします。




