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女装剤(ある女騎士の事情)  作者: 嬉々ゆう


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12/80

第12話 (ビオラの章)女騎士団始動前夜 始まりはデッキブラシ!

第12話では、ビオラと三人娘の“初対面バトル”がついに開幕します。

自称ナイツガールズを名乗る三人娘は、実力も個性もバラバラ。

そんな彼女たちに、ビオラは容赦なく本気で挑むことに……!


果たして三人娘は、ビオラの実力を認めさせることができるのか?

そして、この出会いが後の女騎士団の運命を大きく動かすことに――。

 

 ・⋯━☞旧女騎士団施設跡屋内☜━⋯・


 


 ビオラが、突然現れ襲いかかって来た少女を、

 一度は受け入れると言ったが、少女は仲間を連れて来ると言って施設を出て行った。


 そして……


 ••✼••十数分後••✼••



 バタバタッ!


「連れて来たよ!」


「!!……」


「ほら! この人!

 この人が、アタイらを鍛えてくれるって」


「「………………」」

 

「……なんだ?」


「小っちゃいね?」


「ほっとけ! 強さに大きさは関係ねー!」

 (ビオラ的座右の銘)


「「…………」」



 どうも、疑いの眼差しで見られてる気がする。

 いや、確実に疑っているだろう。

 さっきの少女を叩きのめしたのも、

 実際に見た訳ではないのだから、

 信じていないのかもしれない。

 それはそれでも、構わない。

 三人まとめて叩きのめしてやるだけだ。


 フーリアもそうだが、

 皆、装備に違和感が否めない。

 先程気づいたのだが、「クリスタルクラス」の、

 冒険者札を首から下げている。

 一応は、冒険者として頑張ってるのだろう。

 だが、適当に拾ってきた防具類を、

 考えもなしに組み合わせたような装備。

 とても、「女騎士団」と呼べる代物じゃない。



「疑うのも無理はない

 だが、やるからには本気でこいよ!」


「もちろんだよ!」


「……本気だね?」


「ああ、本気の本気でこい!

 そっちの、メガネっもだ!」


「…………ん」


「お前たちは、冒険者のようだな?」


「え? 分かるの?」


「そりゃあ、分かるさ

 冒険者札を持ってるからな」


「ああ、これね!」


「とりあえず、名前を聞こうか?

 俺の名は、ビオラだ。

 魔導大国マイーヤ王宮女騎士団、

 団長ビオラだ!」


「フーリア!」

 「ベミーヨよ!」

  「……ティミー」


「はいよ!」


「言っておきますけど、私たち強いですよ?」


「ほほぉ? えらく自信ありげだな?」


「これでも私たち、巷じゃ、

 ”ナイツガールズ”の名で通ってるんですよ?」


「……ん」



「ナイツガールズ」


 言葉の意味はよく分からないが、

 とにかく凄い自信だ。


 どうやら、この三人娘の中で、

 双剣のフーリアがリーダー的存在なようだが、

 中でも一番我が強くパワフルなのは、

 バトルアクスを持つノッポのベミーヨのようだ。

 一番小さな緑髪のメガネっは、

 ワンピースの上に軽装を装備しているが、

 とんがり帽子を被り杖を持っている。

 魔法使いか魔術師か……

 先に戦闘不能へ持ち込むのが吉かもしれない。


 などと、考えていたビオラだった。

 


「……ふふっ ナイツガールズね」


「……笑ったね?」


「気に触ったか? そりゃ、すまなかった。

 なら、一発でも俺にダメを入れてみろよ?

 その、ナイツガールズってやつの、

 真の実力ってものを俺に見せてくれ!」


「いいよ! 絶対に泣かせてやるわ!」


「今度こそ、勝つっ!!」


「…………ん!」


「ふふん……お手並み拝見……だな」



 こうして、ビオラと、

「自称女騎士団なり損ない三人娘」

 との、本気バトルが始まった!



「ティミー! エンチャントね!」


「……ん!」


「なに?!」



「エンチャント」だと?

 あのメガネっ

 なんちゃって騎士じゃなかったのか?

 後方支援型魔術師か……

 ちと、厄介かもな。


 無口だと思われたメガネっが、

 流暢な詠唱をはじめた!

 目立たないだとは思っていたが、

 やるときはやるだと悟った。



「我らを守りし精霊よ、

 私たちの仲間に力を!

 …………エンチャント!」


 ブォン!……


「げっ?! 詠唱短い過ぎねえか?!

 そんなんで、本当に魔法が……」



 ビオラは、慌てた!

 本来、特に魔術師の詠唱とは、

 精霊に使いたい魔法を、

 「具体的に説明する必要がある」はず!

 短縮詠唱が使えるとなると、

 今までにも相当な数の詠唱をこなしたはず。

 想像以上に「できる」のようだ。



「へっへん! やっぱ、こうでなきゃ!」


「んんー! 行きますよ!」


「くっ!……生意気な!」



 メガネっの支援魔法で、

 前の二人の基礎ステータスが底上げされた!

 二人の体を、黄緑色の半透明の

 繭のようなものが包み込んでいる!

 さて、どこまでアレを使わずに、

 この三人娘たちに、対抗できるか……


 最初に飛び出したのは、意外にもフーリアだった!

 今回のフーリアは、双剣!

 本気度が伺える。


 

「っはあーーー!」

 ダダダダダッ!


「?!……」



 フーリアが、先程やり合った時よりも、

 間違いなく素早くなっている!

 メガネっの実力は本物らしい。


 なかなか……だが



「遅い!」

 (クルリと回って得物を振り下ろす!)

 カン!


「けふっ!」


「「ええっ?!」」

 

 ドタァッ! ザザァーー!

 (双剣ヘッドスライディング)


「「?!……」」


「ふふん!」



 前回と同じく、ビオラはフーリアの攻撃を交わし、

 フーリアの後頭部をデッキブラシで叩く!

 そして、足払いでフーリアの足を絡める!

 フーリアは、バランスを崩して転倒し、

 そのままの勢いでヘッドスライディング! 


 そんなフーリアを見た2人は、

 ビオラの実力を見誤っていたことを確信する!



「嘘! ティミーなにやってんの!

 エンチャント効いてないじゃない!」


「……違う…ちゃんとやってる

 ……あの、やっぱり強い」

 (珍しく長文のティミー)


「じゃあ、もっと力んで魔力をこめて!!」


「……ん!

 我らを守りし精霊よ、

 私たちの仲間にもっと力を!

 …………エンチャントぉー!」


 ブオォオン!


「はっはあー! きたぁーー!」


「これこれ!! きたきたぁ!

 ちょっとアチコチ痛いけど……」


「そんなことができるのか?!」



 メガネっは、魔力を込めて、

 エンチャントを上乗せ書き換えしたようだ。

 だが、フーリアの発言で理解したのだが、

 無理なエンチャントで負荷が強く、

 体にも無理があるようだ。

 彼女たちは、それほど本気だと言うことだ。


 二人の体を包む半透明の繭が色濃くなる!

 そして今度は、ノッポ娘が迫る!



「いやぁーーーー!」

 (アクスを後ろに大きく振りかぶる!)


「ぬをっ?!」


「どやああああーー!!」

 ブォン!! ズカァン!

 (バトルアクスを振り落とす!)


「うをあ!! やっべぇ!!」


「ふふん!」



 ノッポ娘の武器は、かなり重いバトルアクス。

 大振りで、床を叩き割ってしまったほどだ!

 でも、重い武器に振り回されている感がある。


 振り下ろした後、体が浮いてるじゃないか!

 重さは自分の体重ほどあるんじゃね?

 めちゃくちゃ危なっかしい!!

 見てる方が怖えぇえぇ~~~(汗)

 マジやべぇーーっ!!


 だが、隙ができた!


 ビオラはすかさず、

 ノッポ娘のバトルアクスを握る手を、

 デッキブラシで叩く!



「隙ありっ!」


 パキンッ!


「い”っ!……」


 ガランガラン!……


「ぐっぐっ……チッ!」


「……にっ♪」



 ノッポ娘は、堪らずバトルアクスを落とした!

 しばらくは、片手でバトルアクスを持つしかない。

 これで、まともな戦闘はできないはずだ。


 そこへまた今度は、フーリアの双剣攻撃!



「っちゃあ!! しゃあっ!! おるわあ!」


 シュン! シュン! シュン!


「ほっ! おっ! わっと!」

 (ストップモーションのように避けるビオラ)

 


 ここから一気にスピードアップ!



「こんのぉ!」

 シュン!

「わっほぃ!」(ばぁー!)

 パッ!

「バカにしてぇ!!」

 シュン!

「べろべろばー!」(あかんべー)

 パッ!

「このっ!」

 シュン!

「ぶうっ!」(ブタっ鼻)

 パッ!

「えい!」

 シュン!

「あにゃあっ!」(上がり目)

 パッ!

「やあっ!」

 シュン!

「うにゃあ!」(下がり目)

 パッ!

「とおっ!」

 シュン!

「にゃ~ん!」(くるっと回って)

 パッ!

「どあっ!」

 シュン!

「にゃん!」(ニャンコの目)

 パッ!

「ムッキィーー!!」

 シュシュシュシュッ!

「にゃははははっ!」

 パッパッパッパッ!



 本気で相手をするが、本気で遊ぶビオラ!  

 だが、遊んでいるように見えて、

 ビオラの目は一瞬も笑っていなかった。

 この時にはビオラは既に、

 フーリアの実力を見極めていた。

 もう2人の攻撃と回避は、

 まるで卓球の高速リレー状態に!

 ビオラは、フーリアの攻撃を難なく交わす!

 そして最後のトドメは、デッキブラシで……



 カァーーン!


「きゃん!」


 バタッ!……



 ビオラは、今度はちょい強めで、

 フーリアの後頭部を叩く!

 フーリアは、倒れたまんま目を回して失神……



「はにゃあぁあぁあぁ~~~@」


「順番は狂ったが、まず一人目! 次っ!」


「「!!…………(焦)」」

 (タジ……)



 流石に2人はたじろぐ。

 ノッポ娘は、打たれた指に、

 フーフーと息を吹きかけ顔をしかめる。

 メガネっは、恐怖で顔は歪み、

 杖を強く握りしめて内股になって震えだす。


『もらった!』


 そう、ビオラの中で確信した!


 するとビオラは、メガネっに、

 ターゲットをロックオン!



「もらいっ!!」

 タタッ!


「はっ! きゃああっ!!」



 ビオラは、メガネっの持つ杖を、

 デッキブラシを野球のバットのように、

 一本足打法で思い切りフルスイング!



「うっ!……」

 (思わず目をつむるティミー)


「おりゃあーーーー!!」

 ブォン!

 カァーーーーン!

 シュルルルルルル……カチャン!



  打たれた杖は、そのままホームラン!



「ああっ!!……ああああ~~~(焦)」

 (飛んでいく杖を見送るティミー)


「ふふん♪」

 


 ニヤリと笑ってメガネっに迫るビオラ。



「はっ!……やだ! やめてぇ!!」

 パパッ……

 


 頭を抱えてしゃがみ込むメガネっ

 ぶたれると思ったのかガクブルと震えている。



「?!……ふん! ここまでのようだな?」


「まだよ! まだ、やれるわ!!」


「その手でか?」


「それは……」


「はらひれひろはれ~~~@」

 (まだ倒れて目を回しているフーリア)


「「「?!……はぁ~~~……」」」



 ビオラと、

「自称女騎士団なり損ない三人娘」

 との、本気バトルは、あっさり終了。

   

 伸びているフーリアを起こして、

 4人で話し合った。

 この二人の少女は、フーリアの幼なじみ。


【ポニテの軽装アーマー赤髪娘。】

 武器︰双剣(男爵位姉からの下賜)

 フーリアは、負けん気強くて、泣き虫。

 正義感旺盛の突っ込み重視型。

 三人の中ではリーダー的存在。

 でも、負けは負けと認める潔さあり。

 女騎士になると、言い出しっぺ。


【ノッポの重装備娘】

 武器︰バトルアクス(引退冒険者から譲受)

 フーリアより少し背が高い少女はベミーヨ。

 何事も納得がいくまで粘っこい。

 一つ技を覚えると決めたなら、極めるまでは

 他には見向きもしない我が強いタイプ。

 その反面、待てと言われても突っ走ることも。


【ワンピースの上に軽装緑髪メガネっ

 武器︰魔法使いの杖(冒険者ギルドのくじ引き)

 一番背が低くまん丸メガネのオドオドしたのは

 どちらかと言うと剣より魔法が得意なティミー。

 後方支援型であり、地道で大人しい性格。

 フーリアに無理やり連れられたっぽい。


 この三人娘、1年ほど前からこの女騎士団施設跡を

 解体の危機から守っていたのだ。

 立てこもり……とも言うのか。


 彼女らの行動は、国王にまで届く。

 だが国王は、「捨ておけ」との一言。

 あたかも関心無さげな態度ではあったが、

 彼女ら、

「(非公式)自称王宮女騎士団なりそこない三人娘」

 のことを、ずっと見守っていた。

 なので、

「旧女騎士団施設跡の解体案」が出回る中、

 次代の女騎士団の団長に座にピッタリな

 元騎士団長のビオラが現れたものだから、

 国王は、「待ってました!」とばかりに、

 ビオラへ王命を下したわけである。

 

 蟠りが残るものの、「居場所ができた」と、

 王命なら受けざるを得ないと自分に言い聞かせ、

 ここへやって来たビオラだったが、

 まさか、こんなハプニングがあるとは、

 思いもしなかったのだった。


 そんなビオラ。

 この三人娘が、まさかビオラ率いる

 女騎士団の最初の団員となるとは、

 夢にも思わなかった。



 ・⋯━☞マイーヤ王宮王の間☜━⋯・



 王は報告書を静かに閉じた。

 かつて自らが解体を命じた騎士団。

 それが、再び動き始めているという。

 王は、報告書を読みながら静かに笑った。



「まだ、火は消えておらぬか……」



 その目に宿る光を、誰も知らない。


 

三人娘の初登場回、いかがでしたでしょうか?

フーリア・ベミーヨ・ティミー、それぞれの個性が一気に爆発する回になりました。


この三人は、ビオラにとっても物語にとっても重要な存在。

ここから彼女たちがどう成長していくのか、ぜひ見守っていただければ嬉しいです。


次回は、彼女たちの“本当の居場所”が動き出します。

どうぞお楽しみに!

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