第51話 『連市身元不明男性焼死体事件』
それから1週間が過ぎた。
この1週間、
とある事件が世間を騒がせていた。
丁度プールの授業が始まった日の翌日、
隣の連市の山中で
身元不明の焼死体が発見されたのだ。
『連市身元不明男性焼死体事件』
として、
テレビでは連日、
この話題で持ちきりだった。
この事件は20年後も未解決である。
犯人はおろか、
被害者の身元すら特定されていない。
死体は焼け焦げていて、
身元を特定する手掛かりは、
ほとんど残されていなかったらしい。
行方不明者や失踪者の中にも、
該当する人物はいなかったようだ。
この日の放課後。
俺達少年探偵団は
『Twilight Avenue 城之三崎』
に集まって、
各自が集めた
ボス猿に関する情報を発表しあった。
皆が煙草に火を点けたところで、
まず茜が先陣を切った。
茜の情報には、
目新しいものはなかった。
ボス猿はこの1週間の間に、
2度もプールの授業の後、
女子が着替えている家庭科室に
入ったらしい。
被害にあったのは6年1組と2組の生徒。
同じ過ちを何度も繰り返すのは、
単なる馬鹿か確信犯かのどちらかだ。
これを聞いた翔太と洋は
当然のように怒りを露わにした。
一方で。
翔太の話には注目すべき点があった。
ボス猿は男子に厳しく、
女子には甘いというのは、
周知の事実だが、
中でも、
葉山実果にはここ最近特に優しいと
6年2組の複数の男子生徒が
証言したというのだ。
今週。
葉山が2日ほど
学校を休んだことがあり、
ボス猿はそんな彼女の自宅へ、
自ら授業のプリントを届けたらしい。
そして。
洋の仕入れてきた情報は、
俺達を最も驚かせた。
PTAの役員である母親から
聞き出したというその情報によれば、
ボス猿は前の学校で、
問題を起こしたため、
この学校に赴任してきた
ということだった。
それは。
前の学校でボス猿が
小学校5年生のクラス担任だった
頃の話だ。
ある時。
クラスの女子生徒の1人が
ボス猿に悪戯をされたと訴えた。
当然ボス猿は無実を主張して、
周りの大人達も
少女の虚言だと判断した。
少女は元々素行が悪く、
教師達の間でも問題児として
目をつけられていたことが、
一番の理由だった。
少女の両親も
思い当たる節があったのか、
彼女の訴えはすぐに取り下げられた。
騒ぎは収まったが
ボス猿自身、
居心地の悪さを感じていたのだろう。
翌年。
ボス猿は
中之島小学校に赴任してきた。
やはり。
ボス猿には疑わしき過去があった。
そして。
もしこの少女の訴えが、
事実だったとしたら。
ボス猿は少女の日頃の行いを考えて、
彼女が訴えても、
誰も信じないと踏んでいた・・。
そこまで計算していたとすれば。
俺の中で、
その少女と葉山の姿が重なった。




