29/136
第29話 醜い欲望
家に戻った俺は、
泣き叫ぶ奥川の姿を想像しながら、
絶頂を迎えた。
飛び散った無数の子孫を
俺はぼんやりと見つめていた。
あの時。
もし奥川を襲っていたら・・。
俺の醜い欲望は暴走し、
彼女の心と体に一生消えない疵を
残すことになっていただろう。
そうならなかったことに、
俺は一先ず胸を撫で下ろした。
しかし・・。
その夜。
ベッドに入ってからも、
俺はなかなか寝付けなかった。
今回は、
ギリギリのところで、
俺は踏み止まった。
しかし・・。
今後。
何らかの拍子に、
一線を越えてしまうかもしれない。
目の前にぶら下がった
禁断の果実を口にするのは、
太古から定められた人間の宿命だ。
欲望に貴賤はない。
いや高貴だからこそ・・。
欲望に溺れた時の醜さが際立つ。
そんな屑共を。
俺は嫌というほど見てきた。
このまま。
奥川の側にいたら・・。
俺はいずれ彼女を・・。
そう考えると・・恐怖だった。
『・・お前は悪魔の子だから
あっくんだ』
大吾の言葉が頭をよぎった。
俺の体は呪われている。




