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黄昏は悲しき堕天使達のシュプール  作者: Mr.M
二章 Renewal 5月

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13/136

第13話 そして1人だけになった

5月に入り、

明日からゴールデンウィーク

というある日の放課後。

俺と奥川はいつものように

教室に残って勉強をしていた。

この時。

俺達以外にもう1人、

窓際の一番後ろの席の

あの男も残っていた。

相馬と初めて話した

あの時もそうだったが、

その存在はまるで空気のようだった。

しばらくすると。

池田は俺達に軽く頭を下げて、

教室を出ていった。

そして2人だけになった。


窓の外が、

黄昏色に染まっていた。

奥川の頬がほんのり紅く色付いていて、

それが放課後の教室という

シチュエーションと相まって、

いつもより少しだけ、

大人びて見えた。


どくん。


心臓が大きく跳ねた。

俺は教科書を置いて奥川に正対した。

奥川はノートから顔を上げると、

小さく首を傾げた。

「何?

 どうしたの、あっくん?」

俺はそれには答えず、

無言で奥川の目を見つめ返した。

奥川が恥ずかしそうに目を伏せた。

その時。

俺は気付いた。

奥川が大人っぽく見える

理由の1つに、

長い睫毛があることを。

俺は距離を詰めて、

奥川の顎に手をかけた。

そして。

彼女の小さな唇に自分の唇を重ねた。


1秒、2秒、3秒・・。


永遠とも感じられる時間が過ぎた。

ふいに。

奥川は俺を押し返すように、

慌てて身を引いた。

「ちょ、ちょっと。

 あっくん!」

奥川が目で抗議していた。

「馬鹿っ!」

奥川は荷物を鞄に詰め込むと、

走って教室から出ていった。

そして1人だけになった。

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