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黄昏は悲しき堕天使達のシュプール  作者: Mr.M
九章 Revenge 12月

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108/136

第108話 男と女

昼休みが始まると、

子供達は次々と

教室を飛び出していった。

今日は男女に分かれての

「警泥」の日だった。

女子が泥棒で男子が警察だ。

いつの世も女は男の心を盗み、

男は女の尻を追いかける。

そんな中。

相変わらず相馬は、

机で本を開いていたし、

空気のような存在である池田は、

机に座ってぼぅっとしていた。

俺はベランダに出た。

子供達が

校庭を無邪気に

走り回っている姿を見ながら、

俺の頭の中では

今朝見た映像が再生されていた。

映像はあの後少し続いていた。



池島は、

呆然と立ち尽くす一色の前に跪いて、

気の抜けた一色のモノを

口にくわえた。

「おおぅぅ」

一色が小さな声を出した。

「綺麗にしてあげますからね、

 僕ちゃん」

池島はそう囁くと、

ゆっくりと丁寧に時間をかけて、

一色のモノを嘗め回した。

それが終わると、

2人は並んで机の上に腰を下ろした。

「すごく気持ちよかったよぅ、

 千代たぁん」

「こんなおばさんの、

 どこがいいのかしらね」

「全部だよぅ。、

 僕ちゃんは若い子には

 興味がないって、

 何度も言ってるじゃないかっ」

そう言って、

一色は池島の小さな胸に

顔を埋めると、

夢中でその乳首を吸った。

池島が優しく一色の頭を撫でた。

「はいはい。

 でも。

 私は僕ちゃんのお母さんよりも

 年上でしょう?」

「関係ないよぅ。

 まだまだ若すぎるくらいだよぅ。

 あと10年経てば、

 もっと魅力的になるよぅ」

「まぁ。

 10年後には70前よ。

 そんなお婆さんでもいいのかしら」

池島はもう一度、

一色の頭を撫でた。



思い出しただけでも、

ゾッとする映像だった。

人は誰もが仮面をつけて生きている。

そして。

その下には、

他人には決して見せることのない

素顔が隠されている。


ベランダの手摺の上で腕を組んで、

そこに顔を乗せると、

自然と溜息が漏れた。

子供達の元気な様子を眺めていると、

無性に煙草が吸いたくなった。

その時。

背後に人の気配がした。

振り返ると洋が立っていた。

「ひ、洋か。

 驚かすなよ。

 どうしたんだ?

 『警泥』の最中だろ?」

「わ、悪ぃ。

 実は話があってさ」

そう言って、

洋はきまりが悪そうに頭を掻いた。

「あ、茜ちゃんのことなんだけどさ」

俺は洋が何を言い出すのかと

身構えた。

「前に。

 あっくんに言ったろ?

 茜ちゃんのことが気になるって」

洋は大きく息を吐いて、

手摺に寄りかかった。

「そのことを誰かに話した?

 例えば翔太とかに」

俺は首を振った。

「そっか。

 ま、

 それなら良いんだけどさ。

 実は翔太が気付いてるようなんだ。

 普段はのろまなくせに、

 こういう勘は鋭いんだよな」

意外だった。

「でさ。

 翔太の奴。

 俺に気を使って、

 茜ちゃんのことを

 諦めようとしてるんじゃないかな。

 最近の翔太を見てると、

 そう思うんだ」

洋は目を細めて遠くを見ていた。

「俺さ。

 考えたんだ。

 茜ちゃんのことは気になるけど、

 やっぱり翔太も大切な友達だろ?」

俺は黙って頷いた。

そして。

俺は洋の視線の先を追った。

そこには。

砂場の辺りを走っている

茜の姿があった。

その茜を翔太が追いかけていた。

「俺、

 茜ちゃんのことは諦めるぜ。

 ひっひっひ」

そう言って。

洋は大袈裟に笑った。

洋がそっと目尻を拭ったのが、

視界の端に見えた。

「・・洋。

 お前はいい奴だよ」

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