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最新型iPhone

スニーカーの靴紐を結んでいると、社用のAndroidから「メモリーの使用量が上限に達しました。」という見慣れない通知が届いた。


直後、画面上で5秒のカウントダウンタイマーが作動する。


「ん?」全く身に覚えがないタイマーだ。

道ゆく人の声を拾って起動でもしたのだろうか?


そうこうしているうちにタイマーは無機質な音を立て、私に何かの時間が来たことを知らせた。

焦って音を切ろうとした、次の瞬間——。


私は頭部に大きな鈍器のような衝撃を受け、あっけなく意識を失った。


……ふと気がつくと、私は東急田園都市線の電車に揺られていた。


「そうか……眠っていたのか……」


通勤途中の電車内で、不吉な夢を見ていたらしい。昨日はシステム障害が発生し、開発チームのメンバーと日付が変わるまで対応に追われていた。疲れが溜まっているのだろう。


一時的な出来事だと気にも留めず、私はいつも通り渋谷駅で降りてオフィスへ向かおうとした。

人の雪崩に押し出されるようにホームを歩いていると、誰かに靴を思い切り踏まれた。不快だったが、朝のラッシュ時だ。騒ぐほどのことでもない。


「すみません」と、聞こえるか聞こえないかのかすかな声で、イマドキの高校生が会釈してきた。


学生なら許してやろう。私は「問題ないよ」と片手を挙げて微笑むと、その高校生も笑みを返し、足早に出口へ向けて去っていった。

朝の会議の瀬戸際で、靴を踏まれたことなど私にはどうでもいい出来事だった。スクランブル交差点を抜けて、早くオフィスへ行かなければ。


「あっ……」


靴紐が解けている。急いでいるというのに。

私はその場でしゃがみ込み、素早く結び直した。


立ち上がろうとしたその時、社用Androidの通知音が鳴った。

……この流れ、覚えがある。


「メモリーの使用量が上限に達しました。」


通知とともに、5秒のタイマーが作動する。

そうだ。私はこの後、鈍器のようなもので殴られるのだ。


勢いよく振り返ると、後ろには先ほどのアパレル系の高校生が立っていた。


「え、気づいたの?」


高校生が呟いたのと同時に、私のこめかみに向けて最新版のiPhoneが鋭く振り抜かれた。


完全に直撃を受けた後、思考が宙に浮く。(これ、本当にiPhoneか?とんでもない重量だ……。)

視界が暗転し、再び意識が落ちていった。

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