第8話 6歳
6歳になり、やろうと決めていたことがあった。
それはゲインから武器を使った戦い方を教わることだ。
前世では柔術などの徒手系統にはそれなりに自信があった。
特に柔術は人間相手ならかなり強いと思っている。
よく総合格闘技で元柔道出身者とボクシングやキックのストライカーの試合があるが、前者は打撃が拙いので投げたあとにサブミッションにもっていく。
しかし現実では足場がスプリングの入ったマットなわけがなく、投げた時点で大ダメージを与える。
ましてや綺麗に投げようとせずあえて中途半端に“落とせば”それで勝負はついてしまう。
個人的に四天王には鬼塚や薬師寺よりも島袋が入ると思うのだ。
人間相手なら道を外して壊すことに要点を置けば柔はとても危険なものになる。
しかし、それは相手が人体の構造をしており牙や爪がなく、また武器の有無に左右される。
前世に魔物なんて非常識はなかったし、現世では盗賊も普通に存在し、治安など比べるべくもない。
特に武器の有無は間合いが大きく変わり、ファーストコンタクトの時点で命を奪えるのだから。
これらのことを考えてまず武器の習得を、と決めていた。
この世界で最低限、自分を守って生きていくのなら、力が必要だ。
ゲインはよく部下を食事に招待する。
その際に、部下の人からゲインの強さを聴かされてきた。
最初はよいしょしてるのかと思ったが彼らの様子は心酔しており、本当なのだろう。
朝食のときにゲインに頼んでみた。
「父さん、戦いかたを教えて」
「急にどうした?誰かと喧嘩したのか?」
「喧嘩なんてまだ誰ともしたことないよ」
「そうだよなぁ。
だから余計なんでだろと思ってな。
カイリにはまだ早いんじゃないかな」
まあそう言われるとは予想していた。
「だって父さんすっごく強いんでしょ!
この間来たミゲルさんが言ってたよ!
だから僕も父さんみたいに強くなりたいよ!」
「!!
そうか!
カイリも父さんみたいになりたいのか!
父さんの剣や槍さばきはなかなかだぞ」
「すごい!」
「よし!じゃあ父さんが休みの日は稽古をつけてやろう」
休みの日だけ……。
それだと少ないな。
「それじゃあ父さんみたいになれないよ!
いっぱい練習したいんだ!」
「え、おう、そうか!
じゃあ休みの日以外は朝食前に稽古するか!」
「うん!毎日ね!」
「ま、毎日か?週に一日じゃあ駄目なのか?」
「父さんみたいになりたいんだ!」
「よし!じゃあ明日の朝からはじめるぞ!」
「お願いします!」
言葉は悪いが、ちょろいな