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黒龍殺しの付与術師  作者: しきな かいどう
少年期
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第9話 息子2 ~ゲイン視点~

 カイリに稽古を頼まれて3年がたった。


 カイリは今8歳だ。

 結果だけ言えばこの村でカイリに勝てるのは俺だけだろう。

 自分でも信じられないがそのくらい、強くなった。



 3年前にカイリから、「父さんみたいに強くなりたい」と言われたときは嬉しくて気軽に引き受けた。

 カイリはよく女の子に間違われたりしているがやはり男の子だなと感心したのだ。

 今はそれだけではけっしてないと感じている。


 稽古量がおかしいのだ。


 あの歳の子供につける稽古にしては自分でいうのもなんだが十分過ぎるほど厳しくしている。

 それでもカイリは納得しない。


 負けて当たり前の模擬戦でも悔しがり、同じ負け方はしない。


 わからないことがあればしつこいくらい聞いてくるし、俺が仕事の間、一人でも時間があれば木剣や杖を振っているらしい。


 また、子供の癖に勝負の駆け引きにやけに長けていた。

 いわば勝負勘というやつだが、稽古を始めた5歳の時点で子供が部下以上のモノをもっているのだから驚いた。

 この子は天才だと思った。

 勝負勘はセンスによるものと経験によるものがある。

 カイリの年齢を考えればセンスのはずだ。

 が、実際に手合わせをすると違う、と感じた。

 うまく口では言えないが閃きよりも反復と工夫、そして経験によるものとだと感じた。

 それが余計に不可解だった。


 スキルや魔力、ステータスの伸び方次第では10代の子供がベテランの騎士や冒険者を凌ぐ力を持つ事はごく稀だが“ある”。


 昔、そういう本当の天才達を見たことがある。そういう人は周囲を理不尽な強さで分からせるのだ。納得ではない。そういうものだと()()()()()のだ。


 しかし、カイリは……別だろう。


 はじめは騎士団のあの副団長やSランク冒険者のような天才だと思い、こちらもさらに稽古に熱が入ったが次第にこの子は違うと気付いた。

 この王国で英雄と称される騎士団の副団長の実戦を見たことがある。

 とても人間のなせる技ではないと目の前の光景が信じられなかった。

 敵だけでなく味方までもが戦慄したのだ。

 他にものちにSランク冒険者になった者の子供時代に関わったことがあったが、その時も“理不尽なまでの才能”を感じた。


 しかしカイリにはそれがない。

 秀才ではあるかもしれないが、それすらもこちらが呆れるほどの努力と工夫によるものだ。


 天才ではないが、稽古量と質によってカイリのステータスと技術は同年代どころか俺の部下よりも強くなっている。


 一度、なぜそんなに頑張るのか聞いたが、


「頑張れるときに頑張っているだけだよ」


 笑いながら返してきた。


 子供の笑顔とは違った。

 生き急いでいるように感じ心配になったのを覚えている。

 この子にただ戦い方を教えるだけでいいのか、もっと他に伝えていくべき事もあるんじゃないかと悩むようになった。

 まだ答えは出せないでいる。 

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