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第1話:地味な僕の日常

「相変わらず存在感ないな、お前。」


朝。


教室に入った瞬間、親友の神谷悠斗が笑った。


こいつは成績優秀。


イケメン。


運動もできる。


女子人気が高い。


僕からすると妬ましい限りだ。


「ほっといて。」


僕――黒崎玲人はため息をつく。


黒髪。


黒縁眼鏡。


平均的な身長。


成績も普通。


運動も普通。


クラスメイトからは名前すら覚えられていないこともある。


そんな目立たない男子生徒だった。


「そういえば例の銀髪ちゃん見た?」


「またその話?」


教室中で話題になっている。


最近ネットを騒がせている謎のダンジョン攻略者。


銀髪赤目の美少女。


SNSでは


『銀の魔女』


『赤眼の姫』


『ダンジョンの妖精』


など様々な呼び名で呼ばれている。


「めちゃくちゃ可愛いよな。」


「そうだね。」


「会ってみてぇ。」


「そうだね。」


「なんか冷たくね?」


「そうだね。」


僕は苦笑した。


会ってるどころか本人なんだけど。


学校では誰も知らない。


なぜなら僕の趣味は――女装だからだ。


家に帰るとすぐに部屋へ向かう。


扉を開く。


そこには大量のウィッグや衣装が並んでいた。


銀髪のロングウィッグを手に取る。


鏡の前で装着。


続いて赤色のカラーコンタクト。


そしてメイク。


数十分後。


鏡の中には美しい銀髪の少女が立っていた。


「よし。」


黒崎玲人は消える。


そこにいるのは謎の美少女探索者だけ。


誰にも正体を知られてはいけない。


なぜなら――。


女装しているなんてバレたら恥ずかしすぎて死ぬからだ。


僕は転移ゲートへ向かった。


そして今日もまた、ダンジョンへ足を踏み入れる。


世界中が追い求める『銀髪の美少女』として。

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